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「あれ?勉強するんじゃなかったの?」

食器を洗いながら姉に声をかけると

「うるさいぞ愚弟よ!いき抜きも必要なのよ」

一瞬コッチを見た姉がまたテレビ画面を見る。


・・・だったら、あんな急かすように皆を帰す必要も無かったんじゃないのだろうか・・・。


姉はテスト期間中になると普段やらない掃除や料理を始めたり、息抜きと称してテレビを見たする癖がある。

そう言えば姉が真面目にテスト勉強をしている所を見た事が無い・・・大丈夫なのか!?

ってか、おろかな姉に愚弟とか言われたくないぞ!



「同じ中学だった慶斗と加藤はともかく、さっきので姉ーちゃんの性格が悪いって新たに二人にバレちゃったね」

「バレたも何も別に隠してないもの。さんざん仕事で愛想振りまいてるんだからOFFの時くらいは本音出さなきゃやってらんないわ〜」

姉はロングソファに横になってTVを見ながら、着替えた家着(スウェット)のズボンに手をさし入れて尻をポリポリかいていた。


うわぁ〜・・・家に帰ってきて素を出しまくっている姉の場合、本音も何もそれ以前の問題だと思う。

行動や言動の全てがオバさん通り越して、俺にはあの真輝歩美が女には見えない


うん。姉は女じゃない!

あれはヒドイ。人様に見せられたモンじゃない。



「ただいまぁ〜」

グラスを拭き終えて戸棚に食器とトレーを戻している時に玄関から母さんの声がした。


「おかえり母さん」

「ただいま歩夢くん、歩美ちゃんもただいまぁ〜」

買い物袋を両手に持った母は冷蔵庫に購入してきた食べ物をしまう。

エコバックを買っても使っている母を見た事が無い、母さんの事だからいつもレジについてようやくエコバックを忘れた事に気が付くんだろうなぁ。



環境によろしくないマザーだぜ。



「あら?そう言えば歩夢君のお友達は?」

「全員帰ったよ」

「残念だわぁ〜、今日は大勢いるからご馳走を作ろうと思って沢山食材を買ってきたのに・・・不良なのに以外と皆帰るのが早いのね」


母は夕食の準備を始める


息子が不良と関っている事についてはどうでも良いらしい。


食事が出来るまで部屋で漫画でも読んでおくか・・・と思い部屋に上がろうとした所で、父さんが帰ってきた。

「おかえり父さん」

「ただいま歩夢」

軽い挨拶を済ませて俺は自室に戻った。


ふと、勉強机の上に置かれた携帯が目に入った。


・・・だが、この携帯は俺のじゃないぞ


「誰んだ?」

携帯を手にとったけど、他人の携帯を勝手に開けて良いのかどうか躊躇ってしまう。


「個人情報が沢山詰まった携帯を忘れるなんてドジっ子だなぁ〜」

と、誰かも解らないこの携帯の主に対して独り言を呟いた俺は自分の発言を後悔した


俺も昨日携帯をファミレスに忘れてたじゃんよ・・・・何て俺は愚かなんだ。


はぁ〜・・・とため息をついた時に家のチャイムが鳴った


「歩夢くーん、お友達よー!」


母さんが俺の名を呼ぶ声を聞く前に、俺は携帯を手に持って部屋の扉を開けていた。


階段を降りると玄関に立っていたのは


「わりぃ・・・携帯忘れた」

「キングだったの!?・・はい、コレでしょう?」

俺が携帯を渡すとキングは小さく礼を言う

「すまない。また・・明日な」

「うん!またね」

キングが扉を開けるのと同時にキッチンの方から母さんが顔を出した。

「ちょうど良かったわ!お友達も上がってちょうだい!ご飯沢山あるから食べてってよ」

そういや食材を沢山買ってきていたな

「キングが良ければ、ウチでご飯食べてってよ」

キングは少し驚きつつも頷いたから、俺はキングをダイニングへと招き入れた。



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あきゅろす。
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