☆★STAR★☆
花一相撲@
ある日、歩夢が運動不足と言っていたのを聞いたキングは自宅のプライベートジムに誘った。
設備の整ったジムにはトレーニング器具が豊富に有ったが、ジムルームの隣にあるフィットネススタジオに歩夢達はいた。
いきなり本格的な機材を使った筋肉トレーニングよりは、ストレッチやヨガ、マット運動などから始める方が歩夢には向いてるとキングが判断したのだ。
ストレッチやヨガなどを行うスタジオは広く床がクッションフロアになっているので、歩夢は床に座ってストレッチをしていた。
キングからジムウェアを借りた歩夢の服装は身体にフィットした腹出しのノースリーブに、スパッツタイプのハーフパンツで、誰がどう見てもレディース用ウェア。
しかし、普通のレディースウェアでは無く、変態紳士キングの特注品であった。
ウェアの色は白で、ご丁寧に胸パットは抜き取られているのでボディにフィットした薄い素材のウェアからは、乳首の色や突起が薄っすらと浮き出て見え、パンツも尻のラインがまる解りのウェアだった。
ジム系ネタのAVで使用しそうな、変なジムウェアに当初は歩夢も戸惑っていたが、流されやすく基本的にアホな子の歩夢は疑問に思いながらもキングに言いくるめられて、下着を着用せずエロウェアを着てストレッチをしていた。
可愛い歩夢がエロい姿で、無防備にストレッチをしている姿を眺めたり、一緒にトレーニングと称して手取り足取りナニ取りとアレコレ出来るチャンスでキングとしては最高の日になる予定
だった・・・。
最高のシチュエーションを設定したキングだったが、先程からキングは不機嫌な顔をしていた。
何故なら…
「歩夢ちゃ〜ん、背中押そうか?ってか、俺が股を広げてあげるよぉ〜♪」
「テメー狂犬、ムー君の背中に触るな腐るッ!!サポートと称して身体を触りまくる気だろ!?」
「加藤さん、その手つきは何ですか?怪しさ全開ですよ。あゆむ先輩のお世話は後輩の俺がします。何故なら直々の後輩ですからッ!!」
「歩夢の面倒は俺が見るから浜田君は気を使わずに自分の筋トレに勤しむと良い。隣の部屋に良い器具が沢山あったよ?」
杉田広樹、加藤充、浜田純哉、佐川慶斗という野獣達が床でストレッチをする歩夢を狙っているのだ。
どこで情報を掴んだのか野性の嗅覚が優れているのか、キングの家なのに堂々と寛ぐ男達。
しかも筋トレをする訳でもなく歩夢の周りに群がって、発情した顔でエロいウェアを着た可愛い子をネットリと鑑賞してるのだ。
しかも彼らは運動する様な服装では無く、慶斗と加藤はYシャツを着ており、杉田も浜田も普通の服装で、唯一キングだけがスウェット姿だった。
ストレッチをしながら歩夢も困った顔をしていた。
「おい、歩夢以外は帰ってくれないか?その前にセキュリティーが万全な俺の家にどうやって侵入した。お前らは本当にゴキブリみたいな野郎だな」
「千秋ちゃんの家は、もう俺の家みたいなもんじゃ〜ん♪それと、歩夢ちゃんが残る限り俺は帰らないよ」
「いや、帰れよ。マジで邪魔だ…。お前らが居る必要ないし、何もしないで歩夢に群がるだけの害虫だろ?…殺虫剤を噴霧しようにも、歩夢に薬剤が触れてしまう可能性が有るし非常に困っている所だ」
「おい、俺は害虫じゃねーぞ。むー君の旦那だ、以後宜しく」
「死ね」
加藤の旦那発言に杉田は笑顔でブラックワードを返した。
歩夢は運動不足を解消したい為にジムに来ていたのに、周囲が煩くて正直困り果てていた。
「ねぇ、皆。喧嘩は止めてくれないかな?…せっかくキングに素敵な場所を提供してもらったんだし、仲良く運動しようよ?」
歩夢の発言に慶斗が考える仕草をした。
「このメンバーで仲良く運動かぁ…。ん〜、皆で楽しめる遊びとか?」
「うん、何かないかな?」
:
:
暫く皆で悩んだ末に何故か古風な遊びの花一匁をする事になった御一行であった。
はないちもんめの遊びで欲しい子を引き取る手段はジャンケンで勝負というのが多い所、せっかくのジムなので何か身体を動かしたいと言う歩夢の希望で簡単な相撲で決着をする事になった。
クッションフロアにテーピングで円を描き、その円から追い出す、又は床に相手を倒した方が勝ち。
負けたほうは対戦相手の陣に下る…。
と、いう花一匁をパロった何かの遊びが始まった。
全員で6名だったので3名2組に分かれるが、くじ引きでメンバー分けを行った結果・・・
Aチーム
キング、歩夢、慶斗
Bチーム
杉田、浜田、加藤
と、いうグループ分けになった。
「うわぁああああぁーーー〜〜〜!!ムー君が悪魔軍の手中にいるなんて…嘆かわしい、今すぐに助けるからね姫ッ!!」
加藤は歩夢と別の班になった事を大いに悔しがっていた。
一方、子供っぽい遊びが好きな歩夢は目を輝かせて、古風な遊びに胸を弾ませていた。
そして2組は一列に並んで対面をするが・・・
キングと慶斗の間にいる歩夢は左右の人と手を繋いだ。
歩夢の左右に居る二人の男は大好きな歩夢と手を繋げて幸せそうな顔をしており、思わず両者とも柔らかい手をニギニギして優しく握り返したりと、歩夢の手の感触を満喫していた。
だが、それを正面から見ている男3人は額に血管を浮き上がらせていた。
通常、花一匁の遊びは手を繋ぐ伝統が有るが、ここは暗黙の了解なのか当然の如く、杉田、浜田、加藤のメンバーは手を繋がない。
そんな中、遊び開始の歌が始まった。
何故かBチームの杉田達が急に低い声で歌い出し、歩夢達の列に歩数を進めるが、最初の歌詞が思い出せず適当に鼻歌が混じる。
「な〜んとか何とかぁ〜はないちもんメッ!!」
−ドガッ!!!
「くそ、お前ら…」
花一匁は歌詞の “め” の部分で片足を軽く蹴り上げる遊びだが、杉田はキングの頭部を目掛けてハイキック、加藤は慶斗の太ももにローキックをブチかましていた。
キングは空いている右腕で杉田のハイキックを防御したが、慶斗は太ももに加藤の蹴りがヒットしていて眉を顰めた。
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