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☆★STAR★☆
千秋★初恋呪縛F

少しだけマキの面影がある女性がテレビに映っているのだ。


『今、人気急上昇中の真輝歩美ちゃんですっ!!!いやぁ〜可愛いですねっ!』



「・・・まき…まき、あゆみ・・・?」


俺はすぐさまネット検索をした。


【 真輝 歩美 】


「マキッ!!?」

迂闊過ぎた。
まさかマキは名前では無くて苗字だったとは…。


マキの情報を見た瞬間、全身に稲妻が走った様な感覚に襲われ、この日から真輝歩美に関する情報は徹底的に調べるようになった。


だが、真輝歩美の事務所は鉄壁で金やコネクションを使っても彼女に直接会うことが出来ずにいた。


それと同時に真輝歩美を見れば見る程に違和感が沸いてきた。



あの時のマキとは微妙に違う。

具体的に何が違うとは言えないが、見れば見る程に何かが違う。

これは成長による変化なのか?
どちらにせよ画面越しでは分からない。


真輝歩美がマキ本人なのか、もしかしたらマキは真輝歩美の姉か妹かもしれない。

兎に角、進展が無いままモヤモヤとした日々を送っていた。









高校にあがった俺は1年の集合写真を撮る際に、親父に言われて黒ウィッグを着用するように言われていた。

いずれは財閥を継ぐ可能性が有る為に、将来、学生時代のヤンチャが流失しない為だとか何とか・・・。

本気でどうでも良い内容だったので俺は断ったのだが、その話を聞いた広樹が面白がって賭けをしてきた。


広樹が賭けで勝てば俺が黒髪のダサいカツラを被って集合写真に写ると言う物だった。

俺が勝てば、無抵抗の広樹の腹と顔を本気で10発殴って良いとの事だったので賭けに乗った。



結果は俺が負けた・・・。



集合写真に写る俺を見て広樹は腹が捩れるほど爆笑していた。


集合写真の撮影が終わると俺は財布に入った真輝歩美の写真を見ながら、今後について考えていた。


どうしたら真輝歩美と接触できるだろうか・・・・?


余所見をしながら階段を降りているとカスみたいな男子学生に体当たりをされた。


ムシャクシャしてたし、このモヤシ男をサンドバッグにしようと誰にも邪魔されない空き教室に連れ出した時に、衝撃的な展開になった。


このモヤシ男が持っていた写真が…俺の知ってる、俺が捜し求めていた“マキ”だったのだ。


マキの写真を見て胸が高鳴った為か俺にも理解が出来ない感情だったが、何故か俺は目前にいるモヤシ男をマキと重ねて見てしまい、一瞬だけ心臓がキュッ!と甘く締め付けられた。


勘違いだと思った、この感情が本物だと知るにはもう少し後の事になる。









一夏の…しかも子供の頃の青臭い恋なのに、何故こんなにも思い続けているのか自分でも解らない。


何度もマキの事を忘れようとした。

マキの居ない隙間を誰かで埋めようとした事もあった。

もう、二度と逢え無いかもしれないという悲しみと恋い焦がれる苦しい気持ちから逃れる為に、沢山の女を抱いたし恋人ゴッコもした。

お前じゃない女を愛せていたら俺は、こんなに苦しみ続けなかったと思う。

だけど、駄目なんだ。


俺は1日だって・・・お前を想わない日なんて無かった。


他の誰かを愛したくても出来なかった。


幼い頃に出会ったマキへの恋という名の呪縛からは永遠に逃れられないと思っていたのに、男である真輝歩夢に出会った。


歩美がマキかもしれないと言う状況でも、何故か俺は歩夢と共に居る時間が凄く楽しかった。

あの時みたいに同じ空間に居るだけで心が満たされていく様な不思議な感覚に気付き始めていた。




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