☆★STAR★☆
加藤★きっかけC
真輝歩夢の柔らかくて可愛らしい雰囲気に合ってるアダ名だと思ったが真相をしって驚いた。
真輝歩夢の姉は、学校で1番可愛いと人気で評判の真輝歩美だった。
俺は別に歩美には興味無いが、国文慎吾さんの彼女だったから存在はそれなりに知っている。
姉の名前が一文字しか違わぬ事と、神聖化されている真輝歩美と区別するように歩夢の語尾を取ったアダ名だった。
学校で1番と評されてる真輝歩美なんかより、歩夢の方が真に輝いて見える俺は変なのだろうか…。
同じ男なのに、真輝歩夢を見かけるたびに胸が躍るようになって、アイツの声が聞こえるたびに嬉しくなって、すれ違うだけで幸せな気持ちになっていた。
同じ男なのに・・・。
男に対して抱く感情では無い。
こんな気持ちを同性に抱くなんて異常である事も脳内では理解しているが、感情が俺の理性を壊しつつあった。
自分の間違った気持ちには蓋をしなくてはならない、そう思っていた。
だが、ある日のこと…
その日は朝からずっと曇りで、かったるい俺はずっと保健室で寝ていた。
いつも通りのサボりだが、この日は少し体調が悪く、どうやら俺は風邪をひいてしまったようだ。
時計を見ると下校時はとっくに超えていた。
校舎には生徒数も少なくなって薄暗くもの静かだった。
今日は真っ直ぐ家に帰ろうと、咳き込みながら玄関に立った俺は外を見て固まった。
物凄い土砂降りの雨だった。
体もダリーし、頭も痛いし…このまま此処で雨が止むまで足止めも嫌だし、マジで体調的にもキツかったから適当に傘をパクって帰ろうと傘立ての所を見たが、帰宅が遅かった為か、見事に1本も残っていなかった。
最悪。
濡れて帰ったら、絶対に体調が悪化する。
俺は雨空を見上げて舌打ちをした。
そしたら、背中をツンツンと突かれたので背後に振り返った。
見れば真輝歩夢が立って俺を見上げていた。
その瞬間俺の心臓はバクバクと脈打って、風邪の熱なのか何なのか意味わかんねー程に体が火照った。
真輝歩夢から俺に接触をしてきた。
あの日以来の初めての接触!
男に対してこんな感情を持っちゃいけないと気持ちを抑制しつつも、やっぱり嬉しかったが、天邪鬼だった俺は眉間に皺を寄せて本心とは真逆の、ウザそうな表情で真輝を見下ろした。
「あ゛?」
俺が小さく威嚇すると、真輝はやっぱり不良が怖いのか怯えた表情になったが、震える手で鞄から折りたたみ傘を出した。
「よかったら…これ、使ってよ」
そして、真輝は俺に青色の折りたたみ傘を差し出した。
「はぁ??」
「さっき保健室から出てくるの見かけたし…風邪ひいてるでしょ?体調悪そうなのは見てたら解るよ」
「…。」
「濡れたら悪化しちゃうから、コレ使って帰ってよ」
真輝はオドオドしながら説明した。
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