☆★STAR★☆
加藤★きっかけA
そう、誰も助けてくれない・・・そう思った矢先、一人の少年が走って近づいてきた。
「だっ、大丈夫ですかッ!?こんな大怪我をして…大変だッ!!きゅ、救急車ッ!!」
小さい体、俺と同じ1年生か?
「救急車は…よぶな…」
「えッ!?でも…」
「いいから呼ぶな」
「こんなに大怪我なのに…」
うざい。
何だこのガキ。
「呼んだら殺す」
「…わ、わかりました」
すると少年は俺の体に腕を差し入れた。
「おい…何をしている」
「えっ!?あ、ごめんなさい!痛かったッ!?…君を保健室に連れて行こうと思ったんだけど…、動かさない方が良いかなッ!?」
「俺は…かとう、みつる…だぞ?」
「はへッ!?こんな状況で自己紹介ッ!?れ、礼儀正しいね。不良で有名だから少し意外。俺は1年の真輝」
「・・・。」
天然だと思った。
別に自己紹介をしたかった訳では無い。
だが驚く事に、この真輝と名乗った少年は俺を悪名高い不良の加藤充と知ったうえで助けようとしていたのだ。
「無理に動かしたら痛いよね!?ゴメン、それじゃあ保健室に行って薬剤を取りに行くから待ってて!」
立ち去ろうとした真輝の腕を俺は無意識のうちに掴んだ。
「加藤くん?」
「いい…」
「え?」
「肩を貸せ」
「う、うん」
俺は小さい体の真輝に覆いかぶさるように肩を借りて保健室まで運んでもらった。
華奢な体で俺を運ぶのは大変だったのか、真輝は息を切らせていたが…
「もう直ぐで保健室だから頑張ってネ!」
「……。」
「ごめん、出来るだけ揺らさない様に心がけてるけど、痛かったら言って」
「……。」
終始無言の俺に対して真輝は移動中に何度も俺に気を使って声を掛けてくれた。
歪んだ性格の俺は御節介で煩いガキだと、この時はそんな風に思っていた。
保健室に辿り着くと保健の職員はおらず、誰もいなかった。
真輝は俺をベッドに寝かすと薬品棚を漁って、不器用な手付きで俺の手当てを始めた。
「ッ!…イテーよボケッ!!」
「ひぃッ!ご、ごめんなさいッ!!」
「下手糞がッ!もっと丁寧にやれ」
「ごッ、ごめんなさいッ!!」
俺の悪態に真輝は怯えたが、謝罪しながらも俺の看病を続けた変な奴。
「制服もドロドロだね…、良かったら俺のジャージを着て帰ってよ」
そう言って真輝はスポーツバックを開けた。
「いらん。お前の臭いジャージなんて小さくて着れない」
「今日ジャージ使ってないから綺麗だよ?それに、じゃじゃ〜ん♪」
真輝は鞄から取り出したジャージを広げた。
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