☆★STAR★☆
絶対命令
手元の棒をコッソリ見ると俺の棒には番号の記載。
「王様だれだ?」
俺の問いに加藤が誇らしげに立ち上がった。
「ムー君、いや…姫ッ!我が城へお連れしよう」
「今度は加藤が王様か」
加藤が俺に向かって手を差し伸べていたが、気にする事無く俺は目前にあったオレンジジュースを飲んだ。
加藤は意地悪そうな表情で笑いながら周りを見回した。
「王様の命令は絶対!」
俺以外の3人は明らかに加藤から視線を反らして嫌そうな顔をしている。
「まず、褐色肌の腹黒野郎は土下座して俺の靴を舐めろ、それから帰れ。赤髪の男は金だけ置いて帰れ、黒高の1年生取締り役は…普通に帰って良いぞ。一番可愛いプリンセスは俺の嫁」
「おい、バレバレの匿名じゃなくて番号で指示をしろよ」
慶斗がごもっともな意見を述べた。
まぁ、加藤も半分冗談だったのか…いや、目がマジだったから、じゃっかん本音っぽかったが普通に座ると少し考える素振りをした。
「やべぇ…これ、失敗したら怖いな。…神様お願いします!!!」
たかが王様ゲームだが、加藤は独り言の後に神頼みをしていた。
「頼む神様ッ!仏様!その他の妖怪とか妖精!この際幽霊でも良いから俺に力を!!」
おいおい、マジになりすぎだろ…。
加藤は目を瞑って願い事をしていたが、瞳と同時に口を開いた。
「@番が正面から俺の膝に跨ってお尻をつけて座った後に7分間のベロちゅー!!!」
何かが吹っ切れた様にハッキリと言いやがった。
皆がいる前でディープキスとか超ぉ〜恥ずかしい指示だ。
ってか、7分間のチューは長いよッ!!
そもそも何故に7??
すると、杉田君が棒を持った手をゆっくり上げると…、加藤は此の世の終わり、そう、地獄の業火に焼かれる様な形相をした。
「ま…まさか‥狂犬が@番ッ!?」
加藤は一気に顔が青ざめた。
浜田君と慶斗はニヤニヤと笑を堪えてる顔をしている。
杉田君は天へ向かって棒を握った拳を突き出すと…
「よっしゃっ!俺、4番ッ!!!死を免れたー!1番が慶斗ちゃんか浜田純哉だったら面白すぎて腹筋崩壊〜♪」
何とも紛らわしい事に只のガッツポーズだった。
・・・あれ?
そう言えば1番って…。
「俺2番です」
浜田君が番号棒を披露すると慶斗も棒を出す。
「俺は3番」
「「「「「………。」」」」」
少しの沈黙の後、全員が一斉に俺を見た。
慶斗・浜田君・杉田君は先程の加藤の様に真っ青な顔をしており、加藤は見る見るうちに血色が良くなっていく。
棒を確認すると…
「あ。俺が…いちばん…です」
ちょこん…と挙手をすると、加藤は立ち上がってガッツポーズをした。
「ィよっしゃァーーーーーーーーッ!!!!!」
雄たけびを上げて喜ぶ中、再びソファーへと着席をすると加藤は俺を見ながら自分の太モモあたりをポンポンと叩いた。
す、座れって事だよな。
王様ゲームで命令の断りをしたら興が冷めてしまうし、ノリの悪い人って感じになってしまう。
恥ずかしいけど、王様ゲームってそういうモンだから、やるしかない!!…よね?
俺は席を立ち上がると加藤の近くまで移動する。
すると加藤は手を伸ばして俺の腕を掴み引くと腰に手を添えた。
確か対面する感じで加藤に跨るんだったよな?
うわ、…急に恥ずかしくなってきて俺は視線を泳がせた。
「ムー君、耳まで真っ赤。かわいぃ〜、さぁ座って」
「う、うるさいな。……わかってるょ」
俺はバランスを崩して転ばないように加藤の肩に手を置くと足を上げてソファーに右膝を乗せる。
それから、ゆっくりと左膝も乗せてソファーに座る加藤に跨った。
「ムー君、跨るだけじゃなくて座るんだよ?」
「…ぅ、うん」
皆が凄い見てる。
痛いほどの視線を感じる中、俺はお尻を加藤の足にペッタリとつけて座った。
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