☆★STAR★☆
うた
カッコイイ加藤が、今みたいに綺麗な歌声でこんな歌を女性の前で歌ったら女性が発狂して大変な事になりそうだと思った。
男の俺でも…何か、ちょっと、ときめいて…、ときめいて……??!?
いやいや、おちつけ俺!
加藤は只歌ってるだけだ。
あれは歌詞であって、作詞家が作った詩で加藤の言葉では無いのだから落ち着け心臓!
俺がドギマギしていると加藤の曲が終わった。
「心を込めて歌ったんだけど、ムー君!俺の歌はどうだった?心に響いた?」
とても上手だった!マジ凄い、カラオケで感動しちゃったよ!!…と、言おうとした時、俺よりも先に…
「超キモかった。歌詞が臭い、マジ悪臭。ネットリとした歌声がスッゲーいやらしい感じがして鳥肌!オエッ☆」
杉田君が満面の笑みで加藤の歌を貶していた。
「は?テメーに聞かせるために歌った訳じゃねーんだよ。勝手に俺の歌声を拝聴してんじゃねーよ、耳塞いどけ。拝聴料を徴収するぞクソ犬!」
「うざ」
又しても杉田君は短く答えると、気にする事無くデンモクで曲を選んでいた。
マジでマイペースすぎるよぉー!
事実なのでフォローと言うわけでは無いが
「加藤、凄く上手でカッコ良かったよ」
俺が言うと不機嫌顔が一瞬のうちにフニャッ!とした笑みに早代わりしてオーラがお花畑になった。
このタイミングで丁度、カラオケのスタッフさんが注文の品々を運んできたので、一先ず皆で乾杯をした。
次に浜田君の曲が始まった。
テンポが早くてノリの良い洋楽だったが、完璧に歌いきっており聞いてる俺も楽しかった。
こんな難易度の高い曲を上手に歌う浜田君も凄い!
浜田君の歌が上手だからかもしれないけど、聞いてて楽しい曲だったので歌い終わった浜田君に曲名を聞いて、最後に感想を述べたら浜田君は少しハニカミ顔で頭を下げた。
「歩夢先輩に褒めてもらえるなんて恐縮っす」
次は慶斗だ。
慶斗とは時々、二人でカラオケに行くのだが、俺が以前、好きだと言った歌を選曲していた。
安定している歌声、落ち着きのあるメロディーラインに乗せて慶斗の声が耳に心地良く響き、何だかホッとする。
歌い終わった後、俺は無言で慶斗に向かってグッドポーズをしてニコッ!と白い歯を見せて微笑んだ。
すると慶斗もニコッ!と笑顔を返した。
ゆったり系だった慶斗の曲とは変わり、杉田君の曲はパンクロック的な曲だった。
難しそう〜…と思っていたのだが素人とは思えぬオーラと歌声でライヴさながらの迫力があった。
ってか、マジで一般人には思えない歌唱力だ。
歌でこの場を魅了する杉田君は下手なアーティストより全然凄い。
ってか俺を除くメンバー全員まじでスゲー歌上手いしカッコイイんですけどッ!!
最後に歌う俺が可哀想な事になるじゃん!!
だが、俺は何となく全員歌が上手くてカッコ良くなる事を予想出来てはいた。
だから、俺は卑怯にも正面から立ち向かわず、ネタ的な曲を入れたのだが・・・むしろ、その選曲自体が残念な結果を招きそうで怖いです。
-チャンチャカチャン♪
-チャンチャカチャカチャン♪♪
げっ、俺の曲が始まった。
伴奏からフザケテル感じがして少し恥ずかしい。
だが皆が真面目に歌った分、俺も真剣に歌う事にした。
梅干の歌を。
「梅干食え!梅うめー〜ッ!」
と、いう歌詞なのだが・・・皆、ポカーン…とした顔をしていた。
だが、引くに引けない俺は最後まで歌いきる事にした。
「梅干はクエン酸の宝庫っ!イェ〜♪」
や、やったぞ。
途中、あまりの羞恥に崩れ落ちそうになったが俺は歌いきった。
梅干の歌。
実はこの曲、姉が匿名で超ふざけて作詞作曲したモノで、ノリでネットにUPしたら再生数が凄い事になり、ついにはカラオケにまでなったという誕生秘話からしてフザケタ曲なのだ。
一部のネットユーザーに大人気だったから、この曲を歌えばウケると思っていたのだが、すべった。
こんなにも恥ずかしいモノだったとは…おそるべし梅干の歌!
自分が蒔いた種だが俺はセルフ羞恥虐に耐えた。
歌っている最中は皆、無言で見ており、ノッてくれなかったので超ドン引きされてるかと思いきや…
「ムー君かわいいぃ〜!何この曲、梅干の歌??」
「歩夢先輩、可愛いながらも大和魂を感じたっす」
…大和魂?この曲で??
何と言うか、全ての演歌歌手に謝罪したい気持ちになるよ。
「可愛いね!歩夢ちゃんの小梅ちゃん部分を食べたくなっちゃった♪」
…俺の小梅ちゃんって何ッ!?
いったい、どの部分ッ!??
不可解な発言をした杉田君だったが、危険な香りがしたのでココはあえて突っ込まないでスルー。
一回りした所で加藤が割り箸に何かを書いていた。
そして、割り箸を握った手をテーブルの中央に出す。
「王様ゲームしようッ!!!」
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