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☆★STAR★☆
Lovesong





人通りの多い通りを歩いており、目前にカラオケの有るビルが見える。

カラオケビルの自動ドアを抜けようと入り口付近に来た時に…。


「あれぇ〜〜?歩夢ちゃん!」

声がしたので後ろを振り向けば、見知らぬ不良さん達と一緒に杉田君がいた。


「…お?よく見れば知ってる顔の生き物が3匹。…歩夢ちゃんたちはこれからカラオケ?」

「うん。杉田君はお友達と何処かに行く途中?」

「別にたいした用事でも無いし、俺も歩夢ちゃんと一緒にカラオケに行く!!」

杉田君は数人の不良さん達に手を振りながら「バイバ〜イ」と言って俺らのグループに加わり、杉田君と一緒にいた見るからに柄の悪い不良さん達は、加藤と浜田君の存在を確認して少し驚いた表情をした。

その後に慶斗を一眼して、次に俺の事をジロジロと、視線を上下させながらガン見していたが、杉田君に対して頭を下げると歩き出した。

杉田君が途中で加わった事により加藤と浜田君は露骨に嫌な顔をして、慶斗は小さく溜息を吐いた。

浜田君は杉田君に冷たい視線を向けると…

「こっちくんな狂犬。連合会の奴らと一緒にどっか行けよ」

「は?…やだ。」

杉田君は浜田君に対して短く答えると、俺の腕を掴んで鼻歌交じりにカラオケ屋に入店した。

受付を済ませて部屋に入るまでは、わりとスムーズに進んでいたが、今度は誰が俺の隣に座るか・・・と言う実に下らない事で加藤と浜田君と杉田君が揉めていた。

慶斗は3人を傍観しつつも、さり気無く俺の傍に近づいていたが、それを発見した加藤が何かと煩かった。

このままでは埒があかない。

「席順なんて、どうでも良いじゃん。皆でジャンケンして勝った人から順に右から座って行こうよ」

俺の言葉で部屋は静かになり4人は黙って頷いて、ジャンケンによる席順決めに納得してくれた。

って事で、俺を含めた5人でジャンケンをする事になり勝った人から順番に座ることになった。


結果は右から加藤、浜田君、慶斗、杉田君の順に着席した。

最後に残った俺は、ソファーでは無くて予備の丸椅子に一人で座った。

男子高校生5人全員がソファーに座ると、じゃっかん窮屈な感じがするので、もともと最後まで負け残った人は、背もたれも無い小さな丸椅子で、離れ小島の様に座ることになっていた。


席が決まると加藤は何故か凄くテンションが低くなっていた。

「ムー君と一番席が遠い…。これは何かの試練?」

ボソボソと独り言を漏らす加藤とは対照的に杉田君はニコニコ笑っていた。


「歩夢ちゃん、もっとコッチにおいで〜。椅子もソファーにくっ付けちゃえ」

「歩夢先輩!椅子はそのままソファーと離した状態にして下さい!!獣は何をするのか分らないので狂犬の隣は危険です」

せっかく席も決まって安心したのに、喧しさは改善されなかった。

杉田君と浜田君は慶斗を挟んでガンを飛ばしあっており、二人の間にいる慶斗は暢気にメニュー表を見ていた。

大人な対応が出来る慶斗が皆のドリンクを聞いていて、電話での注文は動きやすい席にいる俺がする。


ドリンクや軽食を注文した後にデンモクを回して加藤から順に曲を入れていく。


曲が再生されると加藤が歌いだすのだが…うまい…。

低音部分は男性特有の低くい響きでカッコイイし、ビブラートを聞かせたり、ハスキーっぽく少し掠れた声が歌にあっていて妙に色気が漂っている。

この甘い歌声と恵まれた容姿でラブソングを歌ったら、女子にモテる事は確実。

俺がボーー‥と、口を開けた間抜け顔で加藤を見ていたら、加藤は画面では無く俺を真っ直ぐに見た。



「一生幸せにすると心に誓う。幾度年を越そうとこの気持ちは変わらない。永遠に愛してる」


「・・・え?」


加藤があまりにも俺を見ながら言うから一瞬ドキッ!としたが、ディスプレイを確認するとこういう歌詞だった。





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