☆★STAR★☆
ディフェンス
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学校の人を含めて他の人に手を繋いでいる姿を見られるのは、ちょっと恥ずかしいので無理やり二人の手を振り切った。
そして、とりあえず校舎から出て、普通に道を歩いているのだが・・・
「これから、どこに行くの?」
俺は右上を見上げて隣で鼻歌を歌いながら歩く加藤に質問した。
ちなみに、加藤は俺の右側を歩いていて、左を浜田君、後に慶斗がいる。
加藤はニコッ!と、白い歯を見せて微笑みながら
「ムー君はどこに行きたい?…ムー君が放課後デートで行きたい所で良いよ?どこへでも連れて行ってあげる♪」
加藤は喋りながら俺の腰に手をまわそうとしていたが、後ろを歩く慶斗が空かさず加藤の腕を掴んで俺に触れるのを阻止して放り投げた。
加藤は目を薄めて背後をチラ見すると“チッ!”と、短く舌打ちをした。
って、言うか…
「放課後デート!?…2人きりでも無いのでコレはデートとは言えないのでは…??」
俺は普通に、疑問に思った事を発言した。
すると、加藤はまたしても俺に笑顔を向ける。
「そうだねムー君、2人きりになりたいね!って事で、すまんが純也、それと…とてつもなく邪魔な後の黒い奴、帰れ。特に黒い奴は超帰れ!今すぐ帰れ!」
加藤は後を向いて、手を“シッ!シッ!!”と掃う。
もともと加藤と慶斗はあまり仲良く無い感じだけど、ハエを追い払う様な加藤の酷い態度に慶斗が傷付いてないか心配になって、俺は背後を見た。
だが、こんなにも失礼な対応をする加藤に対して慶斗は涼しい顔をしている。
「加藤、お前が帰れば良いんじゃないか?」
「はぁ?」
「歩夢が困ってる顔してるだろ。迷惑な発言ばかりしているのは加藤、お前だよ。いちいち険悪ムードになる様な下らない事を言って、歩夢に気を遣わせるな、可哀想だろ」
「……」
加藤は急にシュン…となって、俺に小さく「ごめんね」と言いながら、俺の前髪を撫でた。
謝る相手がちょっと違う気がするけど、俺は加藤に笑顔を向けた後に浜田君と慶斗を見た。
「4人で遊びに行ける所に行こうよ!ボーリングとか、カラオケとか!!」
「それ、いいですね!歩夢先輩ナイス提案です!!」
俺の提案に浜田君が便乗してくれた。
このメンバーでボウリングとかカラオケは始めてかも。
ボウリング…。
ボウリング?
ちょっと、まてよ。
ノリで発言したが実は俺…ボーリングが苦手だったりする。
ってか、超ーへたくそ。
重いボールを持って投げると、変な体勢になるし・・・。
そこで色々と想像してみた。
まず、この4人でボーリングをしたとして、慶斗も加藤も浜田君も運動神経抜群だからかなりのハイスコアを出す事は間違いない。
そして、存在自体が無駄に目立つし、見た目もカッコ良いから、ボーリング場にいる女子の視線は自然と集まる。
3人がストライクを投げた後、俺の番になるが高確率でガーター、しかも投げ方がキモイ。
しかもイケメン3人組みのお陰で注目が集まっているだけに女子を含めて沢山のお客さん達に俺の失態を晒す事になり、ボウリング場にいる人達に失笑される。
うわ…。
このメンバーでのボウリングって怖ッ!!
どうしても被害妄想&マイナス思考が働いて仕方が無い俺は、自分で提案したにも関わらずボウリングは無しにしたいと思った。
「ね、ねぇ…皆。カラオケに行こうよ!今から行けばフリータイムで長時間歌えるしお得じゃん??」
カラオケなら個室だし、音程を外しても聞かれるのは今ここにいる3人だけだ。
「いいね、カラオケに行こう!ムー君ッ、俺とイチャラヴュしながらデュエットしよう!!」
「ごめん加藤。俺、あまりデュエット曲とか知らないから歌えないかも。…あ、でもお互いに知ってる曲だったら一緒に歌おう!俺は姉と違って音痴だから、一緒に歌ってる時に音を外しちゃったらゴメンね」
「一緒に歌ってくれると言ってくれただけで俺はもう超幸せッ!む〜君は本当に優しいネ。マジ天使、超可愛いッ!!」
勢いあまった加藤が俺に抱きついてきそうだったが、俊敏な動きで俺と加藤の間に慶斗が割り込んだ。
「どさくさに紛れて道端で歩夢にセクハラするのは止めてくれ」
慶斗は静かな声で加藤に注意をすると、色々と気に食わないのか、またしても加藤やムッとした表情になった。
微妙に雲行きが怪しいが、何はともあれ俺達はカラオケに行くために表通りに向かった。
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