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☆★STAR★☆
人生塩味






シャワールームには石鹸、シャンプー、コンディショナーまで置いてあった。


さては慎太郎さん、度々このシャワールームを私的に使用しているに違いない。

宣言通り遠慮なく備品を使用した俺はサッパリと清清しい気持ちで風呂から出るとバスタオルで体を拭いた。

念のため腰にタオルを巻いて生徒指導室に戻ってみたが、慎太郎さんはまだ戻ってきていないようだった。

俺は先程のソファーにちょこんと腰掛けると、半裸のまま慎太郎さんの帰りを静かに待っていた。


「・・・・・」

今日も色々なことがあったなぁ…。

結局、慎太郎さんにはセクハラ指導をされずに済んだけど……


ん?

いやいや、十分にセクハラな指導をされていたよ俺ッ!


だって、仮にも教師にあんな恥ずかしい体勢で縛られ、お尻の穴に…


「ギャーーッ!恥ずかしいッ!!」

俺は両手で顔を隠してソファーにゴロゴロと転がり、悶えていた。


そして、一人で騒いでる痛々しい現実と、さっきまでされていた恥ずかしい経緯を思い出して一人どんよりと心を静めていた。


一人で騒いだり沈んだり、俺って躁鬱病?

ちょっと自分が心配になる。


「…はぁ〜」

ソファーの上で体育座りをすると、膝にオデコをつけて目を閉じた。

友達には欲情されちゃったし、女性以外には興味が無いと思っていた慎太郎さんにまで変な事をされちゃったし、俺って変態ホイホイなのかな?


類は友を呼ぶ・・・だっけ?…そんなコトワザ的な言葉もあるくらいだし、ひょっとして俺が変態の中心だったりして…。


「うわぁ…」

色々と想像が脳内を巡り、俺は頭を抱えていた。

慎太郎さんが目標としていた順風満帆な生活、俺も憧れているのだが…、ってか、まずは巨乳美女とお付き合いをしてウハウハな高校生活を送るのが目標なのに、気が付けば巨乳美女どころか巨根美男にばかり囲まれてるよ…。


すごく・・・泣きたい。


人生って、しょっぱいなぁ…。

将来、俺が演歌歌手になる様なことがあったら【人生塩味】という曲名でデビューしよう。

まぁ、100%の確率で演歌歌手にはならないけどね☆


俺が得意の一人脳内劇をしていると…


−コンコン、コンコンコン!


外から誰かがドアをノックする音に俺は超驚いた。

もともとチキンって事も有り、マジで心臓が飛び出すほどに驚いた。


何て言ったって俺は腰にタオルを巻いているだけの半裸姿だ。


もし、誰か入ってきたら…気まずい!


一人であたふたと動揺していたが、さらに次の瞬間…


−ガチャガチャッ!!


「ひいっ!!」
思わず短い悲鳴を上げてしまった為、急いで自分の口を両手で塞いでみた。


どッ、ドアノブが回されているッ!!?

…だが、鍵が掛かっている為、ドアはガタガタと音を鳴らすだけで、外部者の侵入を防いでくれていた。


ヤヴァイ、心臓に悪い。


この場に居続けるのも落ち着かず、俺は足音を立てないようにソ〜〜〜…と、奥の脱衣所まで避難して、もしもの時の為に身を隠す事にした。


−コンコン!ガチャガチャッ!!

尚も訪問者は帰らずにドアを叩いたりノブを回そうとしていた。


「慎ちゃ〜〜〜ん、いないのぉ〜〜???」


…えっ?

ドアの向こう側にいる人の声を聞いて俺は息を呑んだ。


聞き慣れた、気だるく語尾を延ばすヤル気の無い声。


「慎太郎くぅ〜〜〜〜ん!…おー〜い、居留守ぅ??」


間違いない!



この声は、杉田君!!!?





何故に杉田君ッ!?



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あきゅろす。
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