☆★STAR★☆ 状況説明? …何だこの状況。 どうすれば良いんだ? 尋常ではない程、何かに怯えている慎太郎さんを見てると、マジで俺のほうは超冷静になってくる訳で…、上体を起すと俺は自分で床に散ばる制服をかき集めてパンツから穿き直した。 絵図ら的にはもの凄くシュールな光景だと思う。 股間も体も精液や体液でベトベトしていて、そのまま服を着るのは気持ちが悪いけど贅沢は言ってられない。 ズボンも穿き直してワイシャツのボタンを閉めている時にフリーズから立ち直った慎太郎さんが俺の手首をガシッ!と掴んだ。 「歩夢君ッ!!!」 「はッ、はいッ!!」 「話があります!」 「…、はい。」 「ここじゃあ他の生徒が来るかもしれないから、ひとまず生徒指導室に来てもらうよ」 「…わかりました」 俺が頷くと慎太郎さんは俺を抱きかかえた。 「ちょっ、慎太郎さん?…ぅわ!」 慎太郎さんはもの凄い速さで走り出した。 俺は一通り制服を着なおしており、慎太郎さんのジャケットを抱えた状態で彼の腕の中にいた。 ・ ・ ・ 授業中という事もあり、幸い移動中は誰にも会わずに無事に生徒指導室まで来た。 慎太郎さんは指導室に入ると念のため鍵を閉めてソファーに俺を降ろした。 俺は手に抱えていた慎太郎さんのジャケットをソファーの背もたれに出来るだけ皺にならない様に置くと、腰掛けたまま慎太郎さんを見上げた。 慎太郎さんは眉間に皺を寄せて落ち着き無くウロウロしてブツブツと独り言を始めていた。 「歩夢君を性に盛んな男子高校生から守るために派遣されたのに、私は何て役立たずなんだろう…、この失態が社長に知られたら…ッ!!想像するだけで恐ろしい」 と、社長がどうのこうのと独り言を言った後、俺を見た。 「すまない、歩夢君。私は今、教師なんだ」 「…そ、そうですね。」 「教師は生徒を守らなくてはいけない。それなのに私は自分の事ばかり心配をしていた。今、一番辛いのは歩夢君なのに教師の私が冷静さを欠いてしまうなんて本当に申し訳ない!…怪我はしてない?」 「大丈夫です」 「そう、良かった。…ねぇ、歩夢君」 「はい」 「ごめんね。少し…、質問して良いかな?」 質問・・・。 この状況で何を質問されるのか大方予想は付く。 俺は少し返答に困ったけど、心配そうな顔をして俺を見ている慎太郎さんが何だか可哀想に思えた。 慎太郎さんの不安を取り除く為にも、正直に答えてあげるのが一番の得策かとも思って小さく頷いた。 「良いですよ」 「ありがとう。私が今から質問する事に対して嫌悪感を抱いたり少しでも答えたくないと思うなら右手を上げてね」 「はい」 「あの3人には虐められているの?」 「いいえ。普段はそこそこ仲の良いクラスメイトで今日までは普通の友達…でした。心当たりも無く急に変な事をされたけど・・・俺はこれからも彼らの事を友達だと思っています」 俺の返答に慎太郎さんは少し目を見開いた後に眼鏡を掛け直し眉間に皺を寄せた。 「これからも友達?…歩夢君は彼らに酷いことをされていたんじゃないのか?」 「…確かに酷い事をされました。だけど…」 俺は事の経緯を1から順に慎太郎さんに話した。 嫌な事をされたのは事実だけど、俺が本当に嫌がったら止めてくれた事、それに彼らも友達の俺に無理矢理あんな事をして後悔していると思うこと。 根は優しくて本来なら友達を大切にする奴等だって事も、俺の考えや思いも織り交ぜながら全て話した。 たぶん阿部たちは今後、俺に対して強引に酷い事をしたりはしないと思う。 最後の本当に申し訳無さそうな表情で俺に謝った彼らの顔を見たら確信できる・・・ような気がしたのだ。 俺は全てを話し、慎太郎さんはずっと黙って聞いてくれた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |