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☆★STAR★☆
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広告から視線を扉へとスライドさせるとよく見知った顔が視界に入ってきた。

「あ、慶斗」

「おっ!こんな朝早くに歩夢に会うとは、珍しい事もあるもんだ!」

向こうも俺に気付いた様でニコニコと右手を少し上げ俺に挨拶し、喋りながらドカッと俺の横に腰掛けた。

俺よりも体重と身長の高い男らしい体格の慶斗が座った振動はもろに俺にくる。
慶斗とは同じ中学出身で高校でも一年二年とずっと同じクラス。

対人関係は浅く広くがモットーな俺にとっては唯一の例外と言いますか、一言で言えば腐れ縁なんだがコイツには本音で言いたい事をぶつける事が出来る。
ちょっと臭い単語を使うと“親友”ってやつかな・・(照)。



「そうだ、歩夢!」

突然の呼び掛けに肩がビクッ!ってなってしまった。超ダサい、俺超ダサいよ。
素知らぬ顔で慶斗に顔を向けた。

「何?」

「歩美先輩歌手デビューも決まったってな!」

「…ふ、ふ〜ん」

マジで?知らなかった。
別にシスコンって訳じゃないが兄弟の俺よりも先に友人が知ってるって、どうなんだ?

そもそも慶斗が知ってるという事は世間の皆さんも結構知ってる訳だよなぁ。

って言うかさ…

「ケーイートォー!癖なのは解るが、お前あんまり学校で歩美先輩とか言うなよ!先輩とか。何だかんだでバレたらどうしてくれんの?」

「解ってるって!今は俺ら以外誰もいないから言っただけ〜♪」

「だけ〜♪じゃねーよ!責任取れんのかよ!」

「大丈夫!そんなヘマはしないさ!それに、もしバレたら責任はちゃんと取ってやるよ!」

「俺の精神的苦痛の慰謝料は高いぞ」

「案ずるな!!体で払ってやる!」

「マッジで超いらねーよソレ」

「何だと!?俺のナイスボディを好きにして良いんだぞ!」

「野郎の体をどうしろと?キショい!慶斗さんキショーい」

「キショいって二回も言うなよ!俺のクリスタルなheartが傷付くじゃん」

「ゴメン!じゃ〜、気持ち悪い」

「いやいや、意味同じですから!そっちのが傷付きますから!…でも、俺は何が有っても何を言われても歩夢を一番に考えているからな!」



慶斗は笑いながら俺の頭をポンポンと触りながら終始笑顔、子供扱いされてる俺としては勘に触る事この上ないが、何と返したら良いか言葉が見つからない俺は
卑怯にも、とりあえずシカト決定。

こいつは俺が照れてる事にも気がついてるはずだ。

黙り込む俺の髪を弄りながらニタニタしてる。

この人をバカにした態度がスゲェームカつく。

だが、慶斗とのこうしたバカなやり取りや会話は結構好きだ。

自然と笑顔になる。




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あきゅろす。
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