☆★STAR★☆
ガム泥棒
最上階まで来ると辺りは少し薄く暗く、誰もいない。
しかしこの扉を開けるといっきに開放感に満ち溢れた青空広がる屋上野外なのだ。
今日は天気が良いから、きっと風も日差しも気持ちが良いだろう。
俺は屋上へ上がる階段の暗さと、いざ屋上へ出た時のの明るさのギャップが結構好きだったりする。
薄暗い空間から光の世界へ向かう感じに何故かテンションが上がるアホな高校生の俺。
静まり返った扉の前で杉田君は俺の顔を覗き込んだ。
「どうしたの杉田君?」
「歩夢ちゃんガム食べてる?」
俺がドアのノブに手をかけようとした時に杉田君からの質問。
「ガム?うん、食べてるよ」
「俺も食べたい。ちょーだい♪」
「え?!ゴメン、俺も貰い物で一枚しか貰ってないから…ないよ」
「あるじゃん」
「?」
杉田君の顔がどんどん俺の顔に近づいてくる。
「えっ!?・・・ちょっ!?杉田くぅt」
突然、キスをされた。
…えっ!?な、何でッ!?何で!?意味わからない!
いきなりキスをされて俺はかなり戸惑う。
だって意味不明すぎるだろ!
ってか、杉田君の場合は普段から言動も行動も思考も俺には意味不明すぎてついていけない!!
また、俺をからかってるのか!?
童貞で女にモテなくて地味でヘタレな俺の恋愛経験値が低い事を見抜いて、悪ふざけでキスなんかしてるんだろ!
からかわれていると思うとムカついて、杉田君から離れようとした。
だが、腰を抱き寄せられ身体を密着させられた。
に、逃げられないッ!!
「…んっ!!」
触れ合う二つの唇の一方から濡れた舌が・・・。
訳が分らないまま、俺の咥内に杉田君の舌が侵入して俺の咥内を我が物顔で蠢く。
−ピチャッ−ピチュウゥ...
「…んっ、…ッ、はっ、ちょっ…すぎた…くぅん」
薄暗い最上階で濃厚なキスをしている。
何故?
俺の咥内に侵入した杉田君の舌に翻弄され、お互いのソレが絡み合う…
「…んっ、はっぁ」
−ぴちゃっ…
お互いの唾液が絡まり、混ざり合う…
この扉を開けたら眩しい青空が広がっていて、慶斗とキングがいるはずで、もしかしたら他の生徒もいるかもしれないのに...、扉一枚隔てた場所で俺は同性の杉田君と、こんなにも卑猥なキスをしている。
ーチュッ…
音を立てて杉田君が…杉田君の唇が俺から離れた。
俺は困惑した顔で杉田君を見上げた。
すると杉田君は濡れて光る唇をニッと左右に広げ笑った。
「あるじゃん♪」
「えっ?!」
「ガム。いただきぃ♪」
「んなッ!!?」
杉田君はガムをクチャクチャと噛んでいた。
そして、俺の咥内にあったはずのガムが...無いッ!!
もしかして...、いや、もしかしなくても杉田君が食べているガムって...
「俺のガム!?」
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