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☆★STAR★☆
板ガム



「何だ歩夢、会田にかつ上げされたのか?」

かつ上げ!?
横から物騒な言葉を放つ人物を見上げると

「慶斗ッ!」

「おはよ、あゆむ」

「おはよう。ってか別に今のは、かつ上げとか…そんなんじゃないぞ」

俺が弁解すると、慶斗は笑って俺の頭をクシャクシャと撫でた。

「わかってるって!会田の事だからどうせビジネスだろ?」

・・・会田のやっている事がビジネスと言えるのかどうか謎だが、とりあえず俺は頷いた。


ってか流石慶斗!俺と付き合いが長いだけあって、俺の扱い方を心得ている。
何がって?

昨日の件で恥をかいた俺が、今日気まずくならない様に出会い頭から平静を装ってくれている。

あんなに恥ずかしい姿を見られたのにも関わらず、慶斗が普通だと、つられて俺も普通を装ってしまうのだ。

何だか流されている気がするが...、細かい事は気にするなってやつだ。





普段通り時間は流れて、昼食時間となっていた。



「歩夢、一緒に飯食おうぜ?」

いつも通り慶斗が俺の元へ来る。

「うん。今日は天気も良いし屋上で食べよう」
と、俺が提案すると慶斗は頷く。

「慶斗は先に屋上で待ってて!俺、売店で飯買ってから直ぐに行くから」

「了解!じゃあ、先に屋上へ行って場所取りしておくから早く来いよ」

「あんがと。では、慶斗殿!場所取り頼みました!」

俺と慶斗は別々の方向に歩き出した。




やはり売店は凄く込んでいて戦場だった。

やっとの事で弁当を購入した俺は、次にドリンクを買いに自販機まで歩きながら胸ポケットを探る。

確か小銭をいれたままだった気がする。

ポケットに指を差し入れた俺は、今朝、会田氏から貰った板ガムに触れた。

何気なく包みを開けてそのガムを口の中へ…、安いガムなのか少し噛んだだけで味が薄くなったが、気にせずガムを噛みながら廊下を歩き、自販機で、へ〜いお茶を購入。


屋上へ向かうため階段を上り進めていたら背後から

「歩夢ちゃ〜ん!」

と、最近聞きなれてしまった声が...。

振り向くと、やっぱり

「杉田君」

でした。

杉田君はニコニコ笑顔で俺の元まで階段を上ってくる。

「あれ?杉田君ひとり?キングは?」

「千秋ちゃんは〜、今ぁ、屋上でタバコ吸ってると思う。俺も今から屋上に行こうとしてた所。歩夢ちゃんも屋上?」

「うん、慶斗と一緒に昼食を屋上で食べる約束をしてるんだ」

「ふ〜ん、じゃあ俺も歩夢ちゃんとご飯食べる」

「食べる…って、杉田君手ぶらじゃん、ご飯は?」

「ない」

「ないのかよッ!!」

「でも、大丈夫!俺、歩夢ちゃんを食べるから!」

「えっ!?俺食われるの!?杉田君、人食ッ!!?それ何というホラー!!?」

「ん〜、そういうニュアンスじゃないんだけどなぁ〜。ま、いいや!じゃあさ、歩夢ちゃんのご飯わけて?」

何でそうなるのさ!…と、内心では突っ込むが、これ以上彼と会話を続けても時間の浪費だと悟った俺は大人しく頷いておいた。

少しくらいなら俺の戦利品(弁当)を分けてあげよう・・・。
手に持った袋をキュッと握り締め、杉田君と俺は階段を上り進める。



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あきゅろす。
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