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俺は通話ボタンを押すかどうか、少しだけ迷っていた。

慶斗たちに学校で恥ずかしい姿を見られて思わず走って逃げただけに今は未だ電話に出るのが気まずい。

もう少しだけ時間を置いて、俺の焦りがおさまるまで彼らとの接触は出来るだけ避けたかったのだが…


「歩夢先輩、何で電話出ないんですか?」

何かに気付いた浜田君は少し不機嫌さを表情に表して俺に言う。


俺が言葉に詰っていると・・・

「さっき歩夢先輩がノーパンだったのって……佐川先輩のせい?」

「えっ!?」

浜田君の質問に赤面しながらも俺は返答に困った。


ノーパン事件はいったい誰のせいなのだろうか。
一概に慶斗のせいとは言えない気がする。
じゃあ、変なパンツを俺にプレゼントした長澤さん達のせい?
それとも俺を羽交い絞めにした杉田君のせい?その場合、杉田君とグルだったキングのせいにもなる・・・。


思い出せば問題点は山積みだ。


ってか、低スペックな俺の頭で色々なことを考えるとショートしてしまいそうだった。


いや…ちょっと待てよ。

確かに友達にセクハラ的な事はされたけど、よく考えると…、欲に溺れて友達のいる場所で自慰をしてしまった俺が悪いよな…。

あああああッ!!

時間よ戻れッ!!

俺なんで、あんな恥ずかしい事をしてしまったんだッ!!

出来ることなら全て何も無かった事にしたいぃッ!!


心の中で叫び声をあげているうちに、手中にある電話の着信音が途絶えた。


すると浜田君は

「やっぱりイイです」

と、小さく呟いた。

「え?いいって何が?」

「やっぱり、さっきの質問答えなくていいです。あゆむ先輩、返答に困っていたようだし、たぶん内容を聞いたら俺、不機嫌になると思うので聞きたくないです。…俺は俺のやり方で頑張ります!」


…何をどう頑張るのか謎だが答えずに済んだので、とりあえず安心した。

浜田君はまた俺の頭を撫でると

「別の男の話なんて聞いても胸糞悪いだけだし、せっかく歩夢先輩と二人っきりになれたんだから俺は今のこの貴重な時間を楽しみます。そんな事より早くご飯食べに行きましょう!」

そう言って、俺の頭にあった浜田君の手が降下していき俺の手を握って歩き出した。

「浜田君?!」

「歩夢先輩、道が分からないなら俺が案内します。迷子にならないように俺の手をちゃんと握っていて下さい」

「ちょっ、俺はガキじゃねーッ!手ぇ離せよ」

「嫌です」

「浜田君、ぜったい俺の事馬鹿にしてるだろ!?ってか、その前に普通、男同士で手を繋がないだろ!?」

「…歩夢先輩、まさか忘れてないですよね?俺は普通じゃないですよ。ゲイだからこれが俺の普通です」


「…あ、そっか。これが普通なのか〜…、って、違ーうッ!!何で納得してんだ俺ッ!浜田君がゲイでも俺は巨乳ゥt…じゃなくて女性が好きなのッ!」

「女のどこが良いんですか?」

「はッ!?ど、どこってオッパ…全部だよ。とにかく俺は女性ラブなのッ!」

「今、オッパイって言おうとしました?女の乳なんて脂肪ですよ、ただの脂肪」

「そんなこと無い!巨乳は男のロマンだ!あの膨らみには俺の夢が詰まっている!浜田君に巨乳を侮辱する権利なんて無い!…オッパイの心地良さを知らないなんて可哀想すぎるぜッ!!」

「心地良いかは別にして、感触なら知ってますよ。中房の時で嫌って程、いろんな女抱いていましたから、女の胸なら小から大まで感触知ってます。あれは脂肪です」

「何だとッ!!?」
…今、サラッ!と、とんでもない事を言いませんでしたが?
まぁ、浜田君なら女の子にモテルだろうから不思議な話では無いけど、本物の胸を掌で揉んでおいて素晴らしさに気付かない時点でどうかしている!

…だから、ゲイなんだろうけどさ…。



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あきゅろす。
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