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meshi







慎太郎さんが去った後、俺達も歩き出した。




麗しの和食、寿司に逢いに行く為だ!!

待っていろよ!俺のSUSHIッ!!


俺はテンション高めで、スキップする様に風をきって歩いていたが……


立ち止まって背後の浜田君を見た。


「…浜田君、ちょっと質問ですが、寿司屋ってドコ?俺はいったいドコへ向かって歩いているの?」

「はい!?」

気付けば闇雲に歩いていた。
目的地を決めずに俺はいったい何処へ向っていたんだ!?
って、いうか土地勘が無いから何処に店が有るかもわからない…。

栄町にはよく行くが、栄町に着く前に降りたこの場所は滅多に歩かない。
だから普通に考えて、道も、店が何処にあるのかも知らない…それなのに俺は先陣をきって歩いていたのだ。


「…俺、よく考えたらこの辺の道、全然知らない」

「知らないのに、あんな威風堂々と歩いていたんですか?」

「……ぅん」

マジで馬鹿まるだしで、さっきとは違う意味で恥ずかしい。
俺は浜田君の質問に小さく頷いた。


「迷い無く歩いていたのに?」

「…うん。だってお腹すいていたし、愛しの寿司を想うとついついテンションが上がって…足が勝手に動いていたんだもん」



「…歩夢先輩って、かなりの天然ですね」


浜田君は俺を見るなり白い歯を見せて笑った。


「ボケてるって言いたいの!?」

馬鹿にされたと思った俺は少しだけ唇を尖らせて怒った表情を作った。


「可愛いって言いたいんです」


そう言った浜田君は俺の所まで歩み寄ると頭をヨシヨシと撫でた。
後輩に頭を撫でられた俺は、じゃっかんプライドが傷つきましたが、色んな意味で頼りない先輩の俺としては浜田君に子ども扱いされても文句が言えない。

「もしかして歩夢先輩は食い物に釣られるタイプですか?」

「どういう意味?…まぁ、美味しい物は好きだぞ?」

「じゃあ、美味しい物を沢山ご馳走しますから、これからも二人きりで会えたりします?」

「何で二人きり?」

「えっ!?…あ、それは…あの…何といいますか…」

「?」

浜田君は何故か視線を泳がせた。
俺はそんな浜田君を見て首をかしげた。


「…あっ!そうそう、沢山人がいると飯代が大変だからです!俺は歩夢先輩だけに奢りたいんです!!だから二人きりって言った訳で、決して下心が有る訳では無いです。ましてや加藤さんに内緒で歩夢先輩にイタズラしようなんて考えては無い!……とは言い切れませんが、俺の中のオスの性を抜きにしても、純粋に歩夢先輩と一緒にいる時間を少しでも増やしたいなぁ〜…と思いまして…」

何だか挙動不審に変な事を喋り続ける浜田君のマシンガントークを聞き流していたら俺の携帯が鳴り出した。

手に取ってみると

「慶斗」

電話のサブディスプレイに表示された名前を見て何気なく言葉に出した途端、急に浜田君が黙りだした。


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あきゅろす。
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