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単なる憂さ晴らし

慎太郎さんは俺を見ると

「歩夢様、あまり危ない遊びはダメですよ?貴方様に何か有れば、どこかの糞社長が取り乱してしまいます。それにしても人助けが出来て良かったです。…どこかの鬼畜社長が私に休暇をくれないから、プライベートが疎かになり先程、彼女に振られてしまいムシャクシャしていた所なんです。ちょうど中身の入ったスチール缶を人の頭部にぶつけてやりたい気分だったので、人助けという正当な理由で、自分の憂さ晴らしが出来て満足です。これぞまさに一石二鳥ってヤツですね?」

キレイな笑顔を見せる慎太郎さんだが、言ってる事とやってる事が大人気ない・・・。
ってか、俺に同意を求められても非常に困る。

まぁ…慎太郎さんのお陰で助かった事は事実だから良いのか・・・??

良い子の皆は中身の入ったジュースを人に投げてはいけません!

俺が何気なく倒れている不良さん達を見回すと、浜田君が自分の携帯で一人一人の顔を写メしていた。

「浜田君、何してるの?」

「あぁ、今日は歩夢先輩との時間を大切にしたいから、このままコイツらは放っておきますが、後日キツイ押し置きをする為に、顔写真を撮ってるんです。いちいち顔憶えるの面倒じゃないですか。コイツだけはしっかり記憶しましたけど」

そう言って、俺にナイフを向けていた不良さんをゲシゲシと足蹴にする浜田君。

ちなみにその不良さんは白目を向いて倒れていた。

慎太郎さんは胸ポケットからマジックペンを取り出すと、気絶している不良さんの顔に落書きしていた。

よく見ると不良さんの額に“長澤ウンコ”と、これまた大人気無い言葉が…。

彼女に振られた事がショックなのは分るが、関係無い不良学生の顔にその落書きは如何なものかと思います。

しかも慎太郎さんが落書きした顔の写メまで追加で撮影する浜田君。



・・・俺の周りの人間って・・・いったい・・。


俺は二人に有る意味関心しつつもあきれて、次の言葉が出てこずに黙っていると、慎太郎さんは腕時計を見て慌てふためいた。
どうやら今も勤務中らしく、出先間の移動中だったらしい。

仕事中に彼女から電話で、しかも一方的に別れを告げられたのか…可哀想な人だ。

可哀想だが、慎太郎さんの人格にも問題が有るのではないか…と、言葉には絶対に出せないけど落書きされた不良さん達を見て思った。


慎太郎さんは走りながら

「真輝歩夢さまと、そのご友人!!またねぇー!歩夢さまッ、今度は学校で会いましょう!」

と、手を振りながら叫んで、駐車していた業務用と思われるワゴン車に乗り込んだ慎太郎さんは颯爽と走り去って行った。


・・・学校で会いましょうとは・・・はて?何の事やら??


「あゆむ先輩って超人を呼び寄せる磁気が出ているんですかね?」

「はい?」

「歩夢先輩の周りって、ありえない人が多いですよね?普通じゃなく何かしら秀でた人が多くないですか?」

「・・・・確かに」
浜田君…貴方も十分、普通の人じゃないよ……と、地面に転がる不良さん達を見て思ったが言葉には出さなかった。





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あきゅろす。
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