☆★STAR★☆
2
強い!
・・・浜田くん凄いっ!身のこなしの速さは狂犬と異名を持つ杉田君にも匹敵するんじゃないだろうか?!
「・・・ねぇ、まだやるの?」
浜田君の面倒くさそうな声。
確かに、こんだけ実力の違いが有ったら、これ以上喧嘩?を続けなくても結果は明らかだろう。
「ってか俺、これから飯食いに行くって用事があるし、君達に付き合って歩夢先輩と過ごす時間が減るの嫌なんですけど。これ以上やるってなら俺も早く終わらせたいから手加減しないかもよ?ぶっちゃけ君達ザコ過ぎて食前運動にもならねーよ」
…浜田君…いくら実力が有っても、彼らが弱くてもそんな事を言ったら可哀想だよ。
彼らが弱いんじゃなくて君が強いだけだと思う・・・。
不良さん達も、ここで止めておけば良いものを、やられた仲間を見て後戻り出来ないと思ったのか、不良としての意地なのか彼らは怯えた表情をしながらも懸命に浜田君に向かってきた。
そして・・・
キレイに蹴飛ばされてしまいました。
本当に、綺麗なやられっぷりでした。
うん、まるでプロのショッカー役の様でした。
コンビニ裏の駐車場に見事に横たわる5人の不良さん達に向かって、俺は心の中で手を合わせた。
・・・あれ?
5人?確か、はじめに転ばされた人も合わせて合計6人いたはず・・・
「動くな浜田ッ!!」
「ッ!!?」
男の声と同時に俺は背後から身体を拘束された。
鼻と口から血を流した強面の不良さんが俺の首に腕を回して、右手にはサバイバルナイフを持っていた。
ナイフを前に俺の瞳孔が開閉した。
「歩夢先輩ッ!!」
「動くなッ!この弱そうな男がどうなっても良いのか?!」
弱そうな男って…、間違っちゃいないが他の例えは無いものか?
「クソ野郎、歩夢先輩に擦り傷一つでも付けてみろ、殺すぞ?」
今迄の表情とは別人の様に浜田君の眼光が厳しくなって俺を拘束する不良さんを睨んだ。
「それは浜田純哉、貴様次第だな。まずは俺に土下座しろ。地に膝と額を付けろ!そして俺が良いって言うまで大きな声で謝罪を続けろ。貴様の無様な姿をムービーで撮影してやる」
何て最低な男だ!
「浜田君!こんな卑怯なヤツの言いなりにならないで!!」
思わず心の声が漏れて、うっかり叫んでしまった。
「黙ってろッ!!」
不良は俺の髪の毛を鷲掴みにした。
そしてナイフが俺の顔目前に構えられた!!!
髪を強く引っ張られる感覚が痛いのと、恐怖で声が震えたが俺は続けた。
「浜田君ッ!!俺も男だッ!顔に傷が付こうが、殴られようが構わない!卑怯に屈服する行為の方が許せないッ!!」
ナイフは怖い。怪我だってしたくない。
だけど、こんな卑怯な男に屈するくらいなら痛い方が良い。
別に女の子じゃなから顔に傷が出来ても良い・・・それよりも俺のせいで浜田君がこんな男の言いなりになるのが嫌だ。
それに、こういう最低な男は要求がエスカレートしていくと思ったから。
だから初めから言うことを聞いちゃダメだ!
だが、浜田君は俺の言葉を聞かず、不良の言う通り地面に膝をつけた。
掌を黒いアスファルトにつけ、頭を垂れる。
「さぁ、額を地面につけろ!!」
下品に笑う声。
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