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食前運動



「浜田君、お待たせ!」

何気なく浜田君の横まで行くと、不良さん達が一斉に俺を見た…すげぇー怖い。


「あ、歩夢先輩」

ニコッ!と微笑んだ浜田君は俺にタバコの煙が行かない様に、反対方向を向いて肺にあった煙を吐き出すと、タバコの火も消した。


「…彼らは浜田君のお友達?」

「友達では無いです。態度が気に入らなかったんで以前、加藤さんと慎吾さんと俺の3人でブッ込みに行った学校の野郎ッす!ボコって一応は黒高の傘下って事になったんですが、相変わらず態度が悪いんで注意してました。」

・・・ん〜と、意味がよく分からないけど、喧嘩では無くて安心した。

と、思っていたら・・・


「ウチの頭が黒高に伏しただけで、加賀見の全員がお前ら黒高の傘下になった訳じゃねーよ。調子にのんじゃネーよタコ!」

一人のヤンキーさんが凄みを利かせた声で浜田君に怒鳴った。

俺は思わず肩を竦めてしまうが、浜田君は欠伸をしていた。

人が話してるときにアクビって…浜田君も結構、態度の悪い方だと思います・・・。


「・・・タコ?俺が?ゴメン俺、人間。目ぇ大丈夫?眼科行けば?」

浜田君は興味無さそうに答えた。

すると不良さんの一人が額に血管を浮き上がらせて

「なめてんじゃねーぞゴルァ!!」

と、鬼の形相で浜田君に殴りかかってきたが、浜田君はズボンのポケットに手を入れたまま軽く避けると同時に足をピョコと出して、不良さんを転ばせた。

浜田君に勢い良く殴りかかった不良さんはアスファルトに顔面からダイブしていた。

俺はソレを見て内心で、うわぁ〜痛そう・・・と、顔を歪めたが、それよりも不良さんがカッコ悪すぎて、可哀想で同情した。

浜田君は面倒臭そうな顔をしていた。

「俺が黒高の浜田純哉と知ったうえで喧嘩を売ってくれるのは凄く嬉しいけど、別の日にしてくれない?俺は今日この手で愛しい人の愛しい部分に触れたの!だから今日は他の人間に触れたく無いという俺の気持ちを察してくれませんか?」

意味不明な事を流暢に話した浜田君。

しかし残った不良さん達は指を鳴らして戦闘態勢・・・


「知るかよボケ!!」

「こちとらまだ5人いる、相手は浜田一人だ。全員でかかれば黒高の浜田純哉を潰せる良い機会だろ」

「確かに浜田一人なら5人で袋叩きに出来る!前々からコイツのムカつくツラを殴り倒したかったんだ!覚悟しろ浜田純哉!」

群れて勝ち誇った顔をする不良さんは下品な笑みを浮かべて浜田君を見た。

ってか、案の定、俺は人数には加えられていない…眼中にも無いようだ。

良かったと言うべきか、何と言うか・・・俺って影が薄い人間だと改めて思った。

それにしても一人相手に五人がかりとは卑怯なッ!

卑怯、ダメ。絶対!


・・・しかし浜田君はズボンに手を入れたまま、やる気ナッシングッ!!?


どうでも良さそうに口を開いた浜田君は不良さん達に向かって

「あー…、じゃあ仕方ないから今日は足で遊んでやるよ。ほら、かかっておいで」

あくまでも拳は使わない気でいるらしい・・・


そんな浜田君を見た加賀見高校の皆さんは当然だが逆上して


「ふざけんじゃねーッ!!!」

「ぶっ殺したるわッ!!」

Vシネマのセリフの様な言葉を怒鳴りながら浜田君に飛び掛る・・・が、浜田君は言葉どおり蹴りのみで応戦する。


長い足で相手のみぞうちを蹴りとばすと、瞬時に身体を回転させてそのまま背後の人の顔面を回し蹴り・・・、本当に足だけで遊ぶように不良さんをいっきに二人も片付けた。



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あきゅろす。
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