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☆★STAR★☆
エコ

早く帰りたい・・・そう思っていたのに・・・。



「あの・・・スミマセン、杉田君?」

「なぁに〜?何食うか決めた?」

「・・・あ、ゴメン、まだ」

条件反射で謝ってしまうヘタレな俺が今いるのは某ファミレス。
メニュー表を目前に黙り込む。


真っ直ぐ家に帰してくれると思いきや、杉田君のバイクが向かった方向は繁華街だった。

彼曰く「腹減ったから、何か食べてから帰ろう〜♪」・・・だった。

そして杉田君が俺の返事を聞く事も無く、戸惑う俺の腕を引っ張ってズカズカと入店した訳ですよ。




「歩夢ちゃん〜、好きなの頼んじゃって〜。俺の奢りだからモリモリ食ってねぇ〜」

「いや、自分のモノは自分で払いますのでお気遣い無く」

はぁ・・・、杉田君やキングといった、このてのタイプの人間は基本てきに“我が道を行く!”系だから、今さら彼の自由行動に悩むことも無いか・・・。
俺は大人しく飯を食うことにした。


杉田君がベルを鳴らし店員を呼ぶ。

「歩夢ちゃんから頼んで良いよぉ」

いきなり振られた。店員さんも俺を見た。

ってか、俺まだ決めてねーし!
・・・とは言い切れず、広げられていたページで一番目立っていた料理を適当に指差した。

「あの・・・コレで・・お願いします」

「かしこまりました」

あ、この店員さん俺のタイプかも。笑顔の可愛い店員さんに向かって俺もニンマリしてしまう。

キモイ?

仕方ないよ。だって、ゴリラ姉以外の女子と関ることが少ないもん。

俺はここぞとばかりに目の保養をする。

何て可愛らしい笑顔なんだ・・・一日の疲れを癒してくれるような美少女の微笑みがたまらん!
最近は事故続きで何故か男に唇やら何やら奪われてしまっているけど、本来ならこんな美少女とチューとかしたいよなぁ。
あぁ・・こんな笑顔のキュートな彼女が欲しいぜぇ〜・・・と、下らない妄想をしながら店員さんをぼんやりと見ていた。

「それじゃあ、俺は〜コレとコレ!」
杉田君がメニューを指差して注文していた。

「それとぉ〜、灰皿持ってきて」

出た!不良め!・・・しかし、制服じゃ無理だろう

「お客様。申し訳御座いませんが、身分証明書などはお持ちでしょうか?」

「あぁ、はい」

杉田君が店員に見せたのは学生証だった。

・・・って違ーう!確かに身分証明書だけど、それじゃ意味ナーイ!・・・これはボケだよな?わざとボケてるんだよな?俺が変わりにツッコミを入れたほうが良いのか?

「あの・・・お客様・・未成年には・・」
「ハハハ!冗談♪冗談♪ゴメンねぇ〜困ったぁ?」

あぁ、良かった。やっぱり冗談か・・・リアルボケだったら病院に連れて行こうかと思ってたよ。

杉田君が無邪気に笑う様を、店員さんは頬をほんのり赤く染めて見ていた。

・・あれ?これはアレですな・・杉田君にフォーリンLOVEですか?

凄いな杉田君。天性のスケコマシだ。
ってかイケメンって得だな。多分コレが俺だったら、どつかれていたと思う。


暫くして、あの可愛い店員さんが料理を運んできた。

「おまたせ致しました」

テーブルに注文した品が並べられた。彼女は可愛らしく御辞儀をして厨房へ戻っていった。

杉田君のトレーにだけ伝票とは違う紙があったので俺は何気なく手に取って見てみた。

「わぉ・・・」

紙には可愛らしい文字で名前と電話番号が書かれていた。

そして最後には“よろしければ、れんらく下さいv”と、これまた可愛らしいお言葉が書かれていた。

たまらん!
俺だったら即、連絡しちゃいます!

・・・俺だったらね。

やっぱり女はイケメンが良いのかよ・・・ちょっとジェラシーの炎を燃やしつつも俺は杉田君にその紙を渡した。

杉田君は俺からその紙を受け取ると「ふ〜ん」と言って、噛んでいたガムをその紙で包んだ。

「ちょっ!杉田君、何してんだよ!?」

「何って?ガム食いながらご飯は食えないじゃん?」

「いや、そうだけど、そうじゃなくて!その紙!」

「紙?あぁ・・・宜しくないからリサイクルした。破って捨てるより良いでしょ?俺って超エコロジストぉ〜♪」

「・・・・」

最低だと思った。


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