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☆★STAR★☆
がっこぅ

-キーン-コーン…



もうじき一時間目だってのに慶斗はまだ登校せず。

どうしたんだ?
HRが始まる前に急いで慶斗にメールを打ってみた。

・・が、返信が来る前にHRが始まった。教師が朝礼を始め、出席を取り始めた。

「会田!」
「はい」
「井上!」
「はい」

・・・あいうえお順に名前が呼ばれていくのを俺はただぼんやりと聞いていた。

「佐川!」
慶斗の名前が呼ばれた

「そういや佐川は風邪だと連絡がきたんだったな・・・、皆も気をつけるように!特に最近はインフルエンザが猛威を・・」
担任のマシンガントークが始まった。皆に向かって手洗いウガイをするように言っているが、そんな解りきった事を一々高校生に力説するのもどうかと思う。


って、え!?

慶斗ってば風邪ひいちゃったのか!?

大丈夫かな?帰りにお見舞いに行こうかな・・・あ、でも体調悪いときに行ったら気をつかうかもしれないし、もし寝ていたら起こしてしまうかもしれない・・・考えた結果とりあえず俺はメールで見舞っといた。


交友関係が浅く広くがモットーな俺は休み時間、昼食時間なども一人になる事は無かったが、やはり気心知れた本当の友達・・・親友?の慶斗がいないと何か物足りない・・・。
本日最後の授業を受けながら俺は慶斗の席を見ていた。

・・・はっ!ぼんやりしてる場合じゃない!
今日休んでいる慶斗の為にも俺がしっかりとノートをとってやらなきゃな!
黒板に書かれた数式の意味は全く理解出来なかったが、俺は一生懸命黒板の文字をノートに記入する。
慶斗なら授業を聞いてなくても、もともと頭が良いから、このノートを見れば今日の授業内容を大体理解出来ると思ったから。

俺とは脳の作りが全く違うんだZE★

そんでもってノートを見せる変わりに慶斗に勉強を教えてもらう気でいる俺は実に痛い存在だ。
教師の説明よりも慶斗の教え方の方が解りやすいのだ。

ドンマイ先生。
ドンマイ馬鹿な俺。

そうこうしてる内に最後の授業も終わり、いつものようにHRが終わって、帰りの支度をしている時だった。


「きゃ〜!」
「かっこいい」

などと女子の黄色い悲鳴が教室前方から上がっていた。嫌な予感がしたが、よくよく考えてみると心当たりのキングは今日休み。

なんてこと無い。俺には関係ねぇ〜…なんて思っていた俺が甘かった

「歩夢ちゃ〜ん、俺ずっと保健室で待っていたのに本当に来なかったね」
女子からキャアキャア言われていたのは杉田君だった。
あぁ、やっぱり俺か。

「杉田君・・・何故ここに?」
しかも何で少ししょぼくれてんの?俺、保健室に行くなんて約束してねぇし!
・・・俺・・悪くないよね?・・自分に非が無くても相手が堂々としていると不安になってしまうチキンなハートが憎いぜ。

「あれ〜?確か歩夢ちゃん、ケートちゃんと同じクラスだよね?一人?」

「うん。今日、慶斗は風邪で欠席だよ」

俺が言うと杉田君の表情が一気に明るくなった。

「千秋ちゃんも居ない・・・って事は、二人っきりだよ歩夢ちゃん!!」

杉田君が俺の腕を掴んで鼻歌混じりに歩き出した。

「ちょっ・・杉田くん!?」

「一緒に帰ろうよ!せっかくだしさぁ〜、ちょっと寄り道とかしたりしてさぁ〜♪あっ!バイクだし、海を見ながらツーリングとかどう?」

杉田君はとても嬉しそうに無邪気に笑いながら俺に話しかける。
そんな幸せそうな杉田君を見て、俺は熱いものがこみ上げて来た。

俺なんかと一緒にいてこんなに楽しそうにしてくれるなんて・・・他に友達・・・いないのかな?

3年生にまで恐れられている彼の事だから、キング以外にタメ口で話せる様な友人がいないのか・・だから新しく友達になった俺にこんなにも構うのか?
友達が欲しいのに作れないなんて・・・可哀そうだ・・・。

よしッ!!
とことん杉田君と仲良くしてやるぞ!

「杉田君!友達作りに大切な事は優しさと少しの勇気なんだ!」
ともに頑張ろうぞ!

「んぁ〜?何の話ぃ?・・それより、ほい。メット」

ヘルメットを手渡されたので、とりあえず俺は装着して、杉田君に促されるまま後部座席に座った。

今朝と同じく杉田君の体にしがみ付くとバイクが発進した。


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あきゅろす。
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