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▼いざないの午後
最近は日本の四季に触れる機会が多い。

前の記事に書いたものもそうだが
この間は仲間の秦と和装をして「梅祭り」へ出掛けてきた。
あいつが淡い抹茶色の羽織り、僕が藍色の羽織りだ。
上背のある男は和の装いも映えるな。


神社の遊歩道を歩きながら梅の花を鑑賞する。
さすがに薔薇科の花とだけあって
気品のあるほのかな香りが冬の空気を染めていた。
春の到来ももうすぐか。

濃く紫がかった紅色の品種が気に入った。
鯉の泳ぐ池の、ちょうど傍らに咲いていた梅だ。
秦は「初々しくて可愛いね」と白梅の方に夢中だったようだが
僕はあの花の、憂いた表情が好みだった。
手折ってしまってさらい帰るのも悪くはない。
そう思うだけなら構わないだろう?


…それにしても秦の鳩嫌いには驚かされたな。

待ち合わせ茶屋で買った黒蜜の甘い匂いに寄せられて
僕達の足元へやってきた鳩の姿を見るなり
普段の落ち着いた物腰はどこへ行ったのか
甲高い叫び声をあげて逃げ回ったんだからな。

信じられるか?
あの秦がだぞ。


聞けば「動きが生々しくて苦手」なんだと。
僕に言わせれば機械的な鳩の方がよっぽど奇妙に思えるが…
何が弱点となるか分からないものだな。

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あきゅろす。
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