「たとえば、夢や幻ではなく」
「生身の骸様がそばにいてくれたなら」
「わたしはもっとしあわせかもしれない」
私は我儘だからひとつ幸せを手に入れると新しい幸せが欲しくなるの。ねえボス。骸様を仲間外れにしないであげて欲しいの。ソファでうたたねをしているボスの手を取り両手で包んだ。伝われ、伝われ、と祈りを込める。
「…髑髏?」
「…ボス」
うっすらと目を開けたボスが不思議そうに私を見つめている。寝ぼけ眼に不安そうな自分の顔が映る。言ってしまおうか。言ったら叶えてくれるだろうか。叶えてくれることを望んでいるくせに戸惑うなんて矛盾している。この人は優しい。優しいからきっと私の我儘のために力を貸してくれるだろう。だけどそれを骸様は望むだろうか。そんなことを考えるといつもどうにもならなくなるのだ。
願いは宙に浮かんだまま
(綱吉とクローム。昔に書いたのを発掘)
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