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薄紅色の三日月 (ディーノとM.M)


(うわ、凄い時間寝てたかも・・・)
窓の向こうは綺麗な茜色に染まっている。飛び起きた自分の視界に最初に入ってきたのは薄青から橙色のグラデーション、つまりは夕暮れ。ちなみにひとつ前の記憶は昼前に仕事の打ち合わせで相手を待っていた事。軽く見積もっても6時間は経っている。
「やっちまった・・・」
久し振りに部下を連れて来なかったのは失敗だったかもしれない。携帯電話を確認するとロマーリオからの着信が何度も入っていた。マナーモードで鳴らなかったことが原因かな、と部屋を見回しそこでやっとテーブルを挟んで反対側のソファに眠っている娘の存在に気づいた。今日の仕事相手ことM・M嬢はトランクケースを枕の代わりにしてあどけない顔をして眠っている。(こうしてみると暗殺者には見えないな)
よくよく考えてみれば女性の寝顔をまじまじと眺めるなんて失礼なことだが、整った西洋人形のような彼女を見つめていると赤紫の睫に縁どられた瞳がゆっくりと開いた。ぶつかる視線。海の底のように深青の瞳に見つめられ動けずにいると、彼女は不敵に笑った。
「やっとお目覚め?」
薄紅色の唇が綺麗に弧を描き、俺は不覚にもそれに魅入った。



薄紅色の三日月


(M.Mとディーノ。金色獣は夢を見るの続き)




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