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くたばりぞこないとわらうがいいさ (マーモンとスカル)


ざり、と砂を踏む足音がこちらに近づいてくる。普段音もなく忍び寄る癖にこういうときだけ心の準備をさせるのは如何なものかと思う。悪趣味。唇を動かすだけで呟けば背後から近づいた黒いコートの同胞が「お互い様でしょ」と見透かしたように吐き捨てた。相変わらず可愛くない。

「マーモン」
「今度こそ、僕ら御終いみたいだよ。絶体絶命って奴だ」
「そうですね」

軽口で放たれた言葉に隠された毒にはあえて触れずに返す。もう疲れた。そろそろ終わりにしてもいいと思う。正確にいえば本当に終わることはないのだが。マーモンの言葉を借りるのならば巡るだけ。果てしない繰り返し。それともおしゃぶりが奪われたらくだらない繰り返しに終止符が打たれるのだろうか。考えていても答えなんて出ないって知っているけれど考えずにはいられない。答えを知っていそうな先輩たちはもういない。

「きみはどうするのさ」
「さぁ。なるようになるんじゃないですか?」

所詮呪われた俺達はまっとうな死に方なんてできないんだろうから。自嘲気味な呟きは「ふざけんなよ」と低い声によって遮られた。驚き交じりに顔を上げるとぎらぎらと輝く光を宿したマーモンの瞳に射抜かれる。こんな状況で何故この幻術師は生気の漲った顔をしているのか。「僕はこんな無様に終わってやるつもりはないよ。きみだってそうでしょう?」いつの間にか根性の才能を開花させやがったんですかアンタ。多分この人が所属している暗殺部隊の悪影響なのだろう。少しだけ、ほんの少しだけそいつらに感謝した。



ただで死んでやるほどお人好しじゃない


(くたばりぞこないとわらうといいさ。マーモンとスカル。元拍手。)



あきゅろす。
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