恋より愛がほしい 19. 一哉side "愁、待ってるからな" 今思えば、無茶な願いだった。 一年間も愁と離れるなんて、堪えられなかった。付き合ってから卒業まで、毎日一緒だったのに...急に会えなくなるんて...。 俺の通ってる高校は進学校で、相当勉強しないと、愁には厳しかった。 それでも愁は、頑張ると言ってくれた。本当に嬉しかった。一年後にはまた、毎日一緒に過ごせると思えば、堪えれると思っていた。 最初の二ヶ月は我慢出来た。会えなくても、電話で声を聴けば安心していた。 二ヶ月を過ぎ、三ヶ月経った日。どうしても愁に会いたくて、学校帰りに待伏せして、驚かせるつもりだった。 待伏せなんてしなきゃよかった。 あの日、ワクワクしながら隠れて愁を待っていた。 「愁、一哉先輩とは卒業してから会ったりしてるのか?」 「会ってない」 「笑顔で言う台詞か?寂しくないのかよ?」 「寂しくないよ」 「そんなもんかぁ」 「だって...」 頭が真っ白になり、とにかく走った。この三ヶ月会えなくて、気が狂いそうになる程、寂しかったのは俺だけだったのか。 一緒に過ごした一年間も、俺だけが想っていたのか...。 [*前へ][次へ#] [戻る] |