君だけを想ってた 5. 「メールじゃね?」 聖二が俺の携帯に手を伸ばしていた。 「さわんなって!」 聖二の顔が明らかに曇った。自分でもびっくりする位、大きな声だった。 「ご、ごめん」 「....」 ぎこちない沈黙。絶対おかしいって思われた。 「いやぁ、俺も今彼女と喧嘩しててさ、内容見られんの、いくら親友でも恥ずかしいじゃん?だからごめんな?」 「そっか、喧嘩かぁ!そりゃ見られたくないよな!すまん!」 「あ、俺ちょっとトイレ行ってくるわ」 俺は急ぎ足でトイレに向かった。個室に入り鍵を閉め、携帯を開いた。 "新着メール1件" 迷わずボタンを押した。 題名 無題 本文 まだ寝てたらごめんなさい。起きたらメール下さい。 はぁ、と深いため息が出たと同時に、俺は意を決してメールを打っていた。 題名 起きてるよ 本文 おはよう。今夜会えないか? ピッ 送信してしまった。 暫く放心状態でいると携帯が震えた。慌てて画面を見ると、聖二からの着信だった。 「もしもし」 「もしもしじゃねぇよ。まだ?」 「いっ、今出るとこだよ!」 「わかったぁ」 電話を切り、問い合わせをしてみたけどメールはなかった。 そんなすぐに決めれないよな。 [*前へ][次へ#] [戻る] |