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短編駄文
連鎖と螺旋


「ごめんね…レナ…」


魅ぃちゃんは儚くも清々しい表情で私に笑顔を見せ、頬に涙を伝わせた。


「なんで…どうして…!?」


必死に問いかける。


「答えて…魅ぃちゃん…!」


何度も。


「ねぇ!答えてよ魅ぃちゃんッ!」


何度も何度も…。


「ごめん…なさい…」


「あッ…う゛うぅ゛っ…!?ぐぅ゛っ…ッ…!!」


ぎりっぎりぎりぎり…


「お゛ぇッ…うぐっあ゛ぁぁ゛ぁ…!!」


ぐっ…ぐぐっ…ぐぐぐぐぐぐぐぐ…


「み゛ぃちゃ…う…うぐうぅうぅ゛ぅッ!?」


遠い。この世界が…遠い。
幸せだった。何もかもどうでも良くなるくらい、幸せだった。
その当たり前の様に感じていた幸せが今はこんなに遠い、夢のような話になってしまった。


…遠い。今私を締めつけているあなたが…


とおい


みぃちゃ
















「ごめんね…レナ…」


魅ぃちゃんは苦しそうな痛々しい表情で私に苦笑いをして見せ、目尻に涙を溜めた。


「なんで…どうして…!?」


声を張って問いかける。


「答えて…魅ぃちゃん…!」


何度も。


「答えてよ…魅ぃ…ちゃん…」


何度も…何度も…。


「ごめんね…レナ…」



「あッ…やめっ…!?あぐぅ゛っッ…!!」


ぎりっ…ぎりっ…ぎりりっ…


「ッ…!!があ゛ぁぁ゛ぁ…!!」


ぐっ…ぐっ…ぐっ…ぐぐっ…


「みぃッ…ちゃッ…うッ…きいてッ…」


私は魅ぃちゃんの目を…ずっと、ずっと見つめ続けていた。
もし…また会えたら…あなたのその目を思い出したいから。
そして…謝りたいから。


魅ぃちゃんは表情を崩して手の力を一層強くし…言葉にならない絶望の呻き声を鳴らしていた。






ごめんなさい。






ごめんなさい。







ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…









遠くなる魅ぃちゃんの顔は歪んで見えた。














「ごめんなさい…レナ…ほんとに…ごめんなさい…!!」


魅ぃちゃんは掠れた声で過呼吸になりながらも必死に謝って、瞼を閉じては溢れる涙を見せまいと強くも弱々しく瞼を開き此方を見た。


「…大丈夫だよ、魅ぃちゃん。」


魅ぃちゃんが怖がっているように見えたから…出来るだけ優しく語りかける。


「…魅ぃちゃん…レナこそ…ごめんね。」


私も謝り、魅ぃちゃんの目を見据える。


…魅ぃちゃんは何故私が謝るのか理解出来ていない様子で目を見開き唖然としていた。


「ごめんなさい…魅ぃちゃん…」


謝る。何度も。


「どうしてレナが謝るの…?」


「ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…」


何度も何度も。


「答えてよ…レナ…」


何度も…何度も…。何度でも謝ってみせる…。


「ごめんね…魅ぃちゃん…」


「あッ…えッ…!?あ………。」


ぎゅうっ…ぎゅ…ぎゅうっ…


「ッ…!!ごめんなさい…!!」


ぎゅぎゅうっ…


「レナ…聞いて…?」


私は魅ぃちゃんの目を見て、小さく頷いた。


「もう一度だけ…もう一度だけでいいから…私、レナを…」


…そんな事、もう分かってる…。


あなたが何のことを、何の話をしているのか…今の私ならわかる。


「…いいよ。全部…。」


当たり前の答えだった。


魅ぃちゃんの身体をそっと抱き返し、擦り寄った。


「ありがとう…」

世界が明るく見えた。一度失った光がまた私の目の前に現れてくれた。
その光はまるで、何年も…何十年も前から私を見守って、一緒に居てくれた気がする。
失って初めて気付いたその光の大切さが…今は私にとっての存在価値。


「レナ…キス…しよう…?」


時々光の眩しさに慣れてきて、光から目を反らしたくなる時があった。だけど闇を知った今、それはもう無いと思う。
光の眩しさがどれだけ大切なのか…知ることが出来たのだから。


「…だめ…?」


もう闇の中に戻らない。光の暖かさを理解したから。


「…キス…したい…」


光が私を照らしてくれるのなら私は光を見つめ続ける。黒眼が焦げてしまおうと、ずっと光だけを見つめ続ける。

そう…ありたい。


「…キス…させて…?」


もう、見失わない。光はずっと…私を照らしていたのだから。














「魅ぃちゃん…キス、して…?」


愛してる。



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あきゅろす。
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