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短編駄文
言えない言葉

魅ぃちゃんと一緒に漫画を読んでいる。

私が読んでみたい漫画を魅ぃちゃんが持ってると言ってたから、一緒に読もう…ということになった。

布団に隣同士にうつ伏せに寝転がり魅ぃちゃんが持った漫画に目をやる。

…けれど、漫画なんてもう、どうだって良かった。

隣の魅ぃちゃんの体温と時折聞こえる息遣い、ページを捲る度に微かに擦れ合う肩と肩。

私の意識はそれらに全て持っていかれ、漫画が邪魔にさえ感じた。

魅ぃちゃんに触れたい。

…何をキッカケにしようか。

そんな事を頭の中でもんもんと考えていたけれど、結局はキッカケなんて要らないと吹っ切れて魅ぃちゃんの身体に擦りよる。

魅ぃちゃんはただ

「…んっ?」

とだけ、応える。

漫画に集中しているのだろうか。

照れ屋な魅ぃちゃんのことだからそういう素振りをしている可能性もある。

「はうーっ…」

魅ぃちゃんの肩に頬を擦り寄せ甘えてみる。

「うん。」

…もういいよ。

"はぅーっ""うん。"という何も成り立っていない掛け合いに溜め息をつくけれどそれさえ魅ぃちゃんは気にしてくれない。

それは段々と苛立ちに変わる。

「魅ぃちゃん…!!」

「…でしょー?」

こんなに私がアタックしてるのに当の魅ぃちゃんは漫画にぞっこん。

…もういい。

どうなっても知らないよ。

私は我慢できず魅ぃちゃんの腕を掴み、そのまま押し込み仰向けにさせては馬乗りに跨り、彼女の両手をぎゅっと握り布団に押し付けた。














レナと一緒に漫画を読む日。

私の持っている漫画をレナが読みたいと言っていたので、一緒に読むことになった。

しかし…この漫画はやっぱり面白い。

個性豊かなキャラクター、どんどん深まる謎。

うーむ。改めて読んでみるとまた違った解釈もできて面白い。

レナが身体を寄せてくる。

よく見えないのだろうか…。

私は漫画本をもう少しレナの方に寄せて

「んっ?」

と、とりあえずコレでいいかという意味で確認した。

するとレナは

「はうーっ…」

と応えた。

「うん。」

多分、これでいいのだろう。

まだ見え辛いならもう少し、と言えば済む話なんだし…。

再び私は漫画に集中する。

戦闘シーンに入るところだ。

レナが私の肩に顔を寄せた。

やはりまだ見え辛いのだろうか…それとも、首が疲れたのだろうか。

まぁ、戦闘シーンに入るのだから集中したいのかもしれない。

ここからが見所なのだから集中して貰わないと困る。

「魅ぃちゃん…!!」

私がページを捲るとレナが興奮露わに言った。

確かにここは感動する。その感動を共有したいのだろう…わかるわかる。

「…でしょー?」

やはりレナと私の考えていることは同じなのだ。ちょっとだけ嬉しく思った。

そして漫画の中では急展開に差し掛かろうとしている。

そこでレナが…突如私の手を掴んだかと思えばそのまま押し倒され、乗り掛けられては腕の自由も奪われる。

…こっちも急展開?…なんつって!

…と言ってみたかったけれどレナが何やら怒っているみたいで言えなかった。

「レナ…?どうしたのさ…」

漫画本が放られぺらぺらとページが閉じる音が聞こえた。

「…魅ぃちゃんがいけないんだよ。」

「どうして…?」

レナはどこか寂しそうに…

「知らないっ。」

と、小さく呟いて…私の身体を…胸を、触り始める。

ちょっと乱暴に。

ぎゅっ、ぎゅっと揉まれて…本当に急で困惑。

「レナ…なんだかおじさん、怖くなってきたんだけど…」

「優しくしないのも魅ぃちゃんのせいだから」

私の言葉を遮るように早口に、冷淡に言われ…よく分からないけれどレナに悪いことをしちゃったんだと感じた。

首や耳に這うレナの舌。
胸を虐めるレナの指。
シャツが擦れる静かな音と…時折漏れる二人の息。

何をしたんだ私。

…レナが漫画を読みたいと言ったのに…何故怒らせてしまったのだろう。

漫画があまり面白くなかったのだろうか。

…それは私のせいじゃない。

「…嫌?」

レナが怒った時の話し方はやけに冷たく事務的。

こういうレナが怖い…怒らせたくない。

なのに…私はまた怒らせてしまっている。

ここで嫌だなんて言ったらきっと…もっと怒らせてしまう。

嫌われるかも…。

「嫌…じゃ…ないからッ…怒らないで…」

レナの指が秘処に触れる。いつものレナならもっと優しくしてくれる…

私の覚悟ができるまで優しく愛してくれるのに…

今のレナは、ただ私に快感を与えて虐めたいだけ。

怖いけれど…

私が頑張らないと。

レナを怒らせたから…我慢しないと。

レナの激しい、乱雑な指の動き…衣服越しの秘処は擦られて微かに染みる。

恥ずかしい、嫌、怖い、優しくして、怒らないで、抱き締めて、キスして。

言えない…言葉。

私は臆病だろうか。

このまま何故怒らせたのかも分からないまま…


私は知らぬ間に涙を流していた。

レナのことを分かってあげられない自分が不甲斐なくて。

「…魅ぃちゃん…」

レナの手がそっと離れて私の髪に添えられ、そして何やら申し訳なさそうに

「…レナはね…寂しかっただけなの…。」

と、泣きそうな声で漏らす。

…そういうことか。

さっきまで怖かったレナの手を掴みそっと手の甲にキスをする。

レナより漫画を重視した私って一体…

こんなにレナは可愛く寂しがって、求めているのに…そんなことも分からなかった私は一体…。

…でも…少し嬉しかった。

以前はレナが怒ると私が泣いたって容赦なかった。

レナは…正直に言うと、独占欲が強いのだと思う。

私が他のことに目を移すのが許せないみたいで。

だけどレナは優しい子だから…言えなくて。

でもでも、やっぱり我慢できなくて私を虐める。

そう分かっていても私は…言って欲しかった。

寂しいなら寂しいって。

…したいなら、したいって。

言われないと分からないバカな私だから、そうして貰わないと…レナを怒らせてしまうから。

だから…今、レナがちゃんと"寂しかった"と言ってくれたことが嬉しい。

我慢しないで言ってくれたことが嬉しい。

「…我慢しないでいいって」

「…え…?」

「言いたいことがあるならすぐに言いなよ…おじさんは何言われたってレナを嫌いになんかならないよ。」

…ふと出た言葉。思った通りに伝えた…何の思考も無い、本能的な言葉。

けれど…我ながら核心をついたと思う。

「…ありがと」

レナは暫く驚いたように目を開いたまま私を見つめていたけれど、クスッと笑いつつ大したことの無い様に軽く礼を言う。

「…魅ぃちゃんが欲しいの。」

「…どうぞ。」

こんなに簡単なことだったんだ…って今更思うけれど、きっとレナだって同じことを思っただろう。

こんなことでは私はレナを嫌いにならない。

…そんな心配ももう、無用かな。

仲直りのキスをそっと交わして…なんだか照れ臭そうに笑うレナに悶えながら私は…身を預けた。

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あきゅろす。
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