短編駄文
candy and whip
夏休みのある日。
私と魅ぃちゃんは二人きりで図書館に来ていた。
よく考えればデートなのだけれど…これはデートだと意識するほどのことでも無い。
涼しいところで勉強ができて、気紛れに他の本を読むことだって出きるし…その本も宿題の参考になるかもしれない。
だからとりあえず来てみた…と、そんな感じで。
「…だーッ!何これ!レナぁ…これ何語…?」
「…英語だよ魅ぃちゃん…」
「あー…こ、これ、どんな意味?」
と、頭をかきむしる魅ぃちゃんが私に見せたのが
evening
という単語、たった1つだった。
「えーべにんぐ?えべーにんぐ?えーべーん、いんぐ?」
……………………。
嘘だぁ…。
「それはイブニング。夕方だよ…?」
「夕方…グッド・イブニングってのはいい夕方ですねって意味?」
「…こんばんはだよ…魅ぃちゃん…」
魅ぃちゃんは頭が悪いという訳では無い。
英語だけなのだ。
他はある程度、生きていく上で必要な程度くらいはできる子。
けれど英語だけは本当に…溜め息をついてもつききれない程に。
魅ぃちゃんはアメリカの首都をメキシコと言ったり
「ロンドンの県庁所在地はアフリカだよね?」
と自信満々に聞いてきたりする。
魅ぃちゃんなりの一発ギャグなのかとも考えたけれど…どうやら本気で間違えているみたい。
横文字が苦手なのだろうか…とにかく愛する魅ぃちゃんと言えどそろそろ私も1から英語を教えるというのは苦痛になってきた。
「魅ぃちゃん、自分でちゃんとお勉強しなきゃ。このままだとレナと同じ学校…入れないよ?」
「うー…分かってるってば…」
可哀想だけれどアメとムチ。今はムチを多めに打っておこう。
「分かってるなら…ほら、これはなぁに?」
私が指差したのは
"naitgh"
という謎の文字列。何…?ないとぅぐ?ないとぐふ?
「…ナイト。夜。」
「…書き直し。」
「…ちぇっ。」
…こんな感じのお勉強会だった。
「レナー…今日はそろそろ…ねっ?」
甘えた声でおねだりする魅ぃちゃん。
「…じゃあじゃあ、これで終わりにしよ?ファイト、魅ぃちゃんっ!」
「えーっ…」
ふてくされる魅ぃちゃん。
…これでも甘やかした方なのに。
「私は鳥になりたいです…アイ…アイ・ウォント…」
I want to be a bird!
「アイ・ウォント…フライ…」
…いつになれば終わるのだろう。
「終わったー!!」
「終わった…」
はぁーっ、と二人同時に吐いた溜め息。
…打ったムチの分だけアメをあげないと。
「頑張ったね、魅ぃちゃんっ。」
なでなで。
「…ありがと。」
頬を赤らめ上目遣いに私を見つめる魅ぃちゃん。
はぅー…お持ち帰り…
と言っても、今日は本当にお持ち帰りするのだけれど。
「それじゃあ…頑張った魅ぃちゃんには後でご褒美あげるから…ねっ?」
意地悪のつもりでそう…あえて言ってみたのだが魅ぃちゃんは
「…今がいい。」
と、我が儘を言いだした。
私の意地悪はあまり伝わっていなかったのだろうか。
「今…欲しいのかなっ…かなっ…?」
困ったことに物理的なアメは今、持っていない。
なでなでじゃ足りないのなら…キス、しないとなのかな…
「今じゃなきゃヤダ…おじさん、頑張ったじゃん…。」
上目遣いに…少しべそをかきながら。
そんな顔されたら…お持ち帰りせざるを得ない。
そしてキスせざるを得ない。
私は周りを執拗に何度も見回し、誰も此方を見ていないことを確認して…向かいに座る魅ぃちゃんに小さく手招きし、魅ぃちゃんが寄ってきたのを見てすぐに私も軽く身を乗り出し…
ちゅ。
とソフトに口づけした。
「…ありがと。」
照れたのか目を細くし目線を逸らしながらもどこか嬉しそうに、魅ぃちゃんは口を尖らせて呟いた。
「どういたしましてっ。」
やっぱり可愛い。
大好き…。
思わず頬が緩んでしまう。
「ッ…なっ…なによー…なんで嬉しそうな顔してんのさー…」
「…魅ぃちゃんが可愛いからだよっ?だよーっ?」
「…ばーかっ。」
それから宿題を片付けて、少しだけ魅ぃちゃんをからかったりしてから図書館を出た。
―――私のベッドに勢いよく腰かけた魅ぃちゃんはそのまま身体を倒し、寝そべって
「んんんーっ…」
と背伸びをした。
魅ぃちゃんは今日、私の家にお泊まりするのだ。
夏休みに入ってからは頻繁に互いの家に寝泊まりしている。
宿題を一緒にやるから…と言えばお父さんは滅多なことでダメだなんて言わない。
"レナと魅音ちゃんは仲良しなんだね"で済んでいる。
嘘をついているのはちょっぴり悪い気がするけれど…
とてもじゃないけど言えない。
魅ぃちゃんと本気で愛し合っている、だなんて。
それに…魅ぃちゃんと夜を過ごす為なら小さな嘘くらいなんて事は無い。
「レナー…おじさん喉乾いちゃった。」
「レナもだよー…はぅー、お茶持ってくるね?」
魅ぃちゃんは私の前だと、我が儘だ。
遠慮もしないし思ったことを言う。
そんな我が儘が…私の前だけで見せる魅ぃちゃんの子供っぽい一面が可愛くて。
すぐに言うことを聞いてしまう。
叱れない私はダメな子なのだろうか。
一階へ下り、冷蔵庫を開けてお茶を取る。
大きめのグラスに氷を数個入れて、お茶を注ぐ。
氷が僅かに溶けて…カラン、と崩れる。
お父さんは…最初のうちは気を遣ってお菓子を買っておいたりしていたが、最近はもう魅ぃちゃんを家族のように思っているみたい。
慣れというものだろうか。
その証拠に現にお父さんは今、テレビをのんびりと見ながら
「あれ、今日は魅音ちゃん来てたっけ…」
なんて天然ボケを披露していた。
「来てるよ?あっ…ご飯はレナが作るからっ。お父さんはゆっくりしてて?」
そんな会話を交わして私は部屋へと戻る。
「お待たせーっ…はい、どう…ぞ…っ」
自室のドアを開けて驚いたのは初めてかもしれない。
そこには…下着姿でベッドに腰かけ、足を組んで両手をシーツに着かせ…挑発的に私を見つめる魅ぃちゃんの姿が。
「おかえり。」
胸が高鳴る。
…触れたい。
抱き締めたい。
魅ぃちゃんの急な誘いが…凄く可愛くてかっこいい。
「お…お茶、ここに置いとくね…」
出きるだけ目を合わせずに机にお茶を置いた。
目を合わせると吸い込まれそうだったから。
「ありがと。」
淡々と。だがどこか妖しく艶やかにお礼を言う魅ぃちゃん。
机にお茶を置いたきり…振り向けない私が居る。
どんな顔をして振り向けばいいだろう…
照れてしまってそんなことさえも分からなくなる。
しどろもどろに悩む私。
そんな私を見かねてか…もしくはただ単に触りたかったのか
魅ぃちゃんが私のお尻をさわっと撫で回してスカートを乱す。
「もうっ…魅ぃちゃんっ…」
魅ぃちゃんが相手ならセクハラされるのも嫌じゃないし、寧ろ振り向くきっかけが出来たから助かった。
けれど…魅ぃちゃんは振り向いた私の手首をきゅっと握りそのまま自らの肩辺りまで引っ張って、私を引き寄せた。
「きゃっ…みっ…魅ぃちゃんっ…?」
「…くれるんでしょ?ご褒美。」
「もう図書館であげちゃったよ…?」
…キス…してあげたよ…?
私は引っ張られ、掴まれた手を魅ぃちゃんへと伸ばしたまま…もう片手は魅ぃちゃんの膝に添えて、許して…と伝えたく思い見つめる。
だけれど魅ぃちゃんはあぐらをかいたまま私の手を離そうとはしない。
私の目線には気付いているはず。
さっきからずっと…お互いにお互いを見つめ合っているのだから。
やがて魅ぃちゃんは髪を結うゴムを外してポニーテールを解いた。
軽く頭を左右に振って、綺麗な髪をさらりと纏める。
…何故、今髪を解いたのか…私にはその理由が分かる。
「シャワー…浴びてきちゃダメかな…かなっ…」
「…おじさんは今すぐがいいんだけどなぁ…。」
…この身勝手な魅ぃちゃんが可愛くてかっこ良いのだ。
抗えないし、抗いたいとも思わない。
好きにして欲しいと心から思える瞬間。
私は無言で承諾する。
私の手を掴む力が僅かに強くなり…ぐっと引っ張られ私は不意に魅ぃちゃんの顔のすぐ側に顔を近寄らせてしまう。
そんな私を、翻弄されっ放しの私を見て魅ぃちゃんは…優しく微笑んで…私の頭に、髪に手を添える。
私は自然に理解した。
キスしないと…。
魅ぃちゃんの目を見つめながら…顔を傾け唇を近づける。
私は魅ぃちゃんの二の腕を軽く掴み…目を閉じる。
魅ぃちゃんの暖かい唇と私の唇が触れ合い…小さく吸い合う音が
ちゅ…ちゅ…
と響く。
キスに夢中になっていると魅ぃちゃんはその間に私の衣服に手をかける。
されるがままに衣服を脱がされ下着とスカート姿になった私を魅ぃちゃんはまじまじと観察し…
「綺麗だね、レナ」
と…何ともないように、造作なく囁いた。
私は…照れて照れて仕方がなく、応えることも出来ずにただ…魅ぃちゃんの唇が再び此方へ近づくのを待っているだけ。
首…耳、鎖骨。
唇と舌が交互に触れて…私を惑わせ、酔わせる。
心地よさに目を閉じ酔いしれるばかりだったからか…下着を外されるのに気付いたのは肩から紐がするりと腕へ落ちた時だった。
下着を外されたということは…。
否が応にも期待してしまう自分が恥ずかしい。
けれど…胸を隠そうとする気も無い私はそれだけ素直なのだ。
魅ぃちゃんに…大好きな魅ぃちゃんにだけ、見て貰いたいと…自ら望んでいる。
魅ぃちゃんは無言でニヤリと笑み、鎖骨から胸へと舌を滑らせては片手で片胸をゆっくりと揉み…もう片胸に舌を這わせる。
…素敵。
魅ぃちゃんのやること全てが私を高ぶらせ、感じさせる。
「んぁぁっ…ひぅ…」
声が漏れてしまうけれど…それが恥ずかしいけれど、仕方ない。
魅ぃちゃんが素敵過ぎるのが悪い。
むにむにと揉まれ…ぺろぺろと先端を舐められ…
熱くなる身体は魅ぃちゃんの身体を欲して、無意識に愛する魅ぃちゃんの胸へと私も手を添えてゆっくりと力を込める。
むにゅ、むにゅ…
柔らかで癒やされるその感触。かぁいい感触。
それはただ単に大きいからではなくて…魅ぃちゃんの胸だから。
だけど私の反撃なんて所詮は魅ぃちゃんに適いっこない。
魅ぃちゃんは私の身体に慣れているのか…私の弱いところばかり意地悪に刺激し、その度に笑む。
「…触らないの?」
快感に意識を持っていかれそうになる私に魅ぃちゃんは小馬鹿にするような悪戯な口調でそう問う。
悔しいのでもう一度魅ぃちゃんの胸に触れると…魅ぃちゃんはさせぬと言わんばかりに私の胸を吸い、舐め、摘み、弾く。
到底私はたまらず喘ぎ、身を反らす。
…抗えない。
そんな状況が更に私を陥れる。
「レナ…腰、あげて…」
スカートを軽くたくし上げられ更に下着に手を忍ばせられても…私は恥じらうだけ恥じり、命令には従うのだった。
腰からお尻を伝い太股へ…魅ぃちゃんの指が触れる。
膝の辺りまで来ると私はお尻をベッドについて足を軽く上げる。
するると抜けていった下着は…魅ぃちゃんの指に吊される。
「もらったー…。」
「…もうっ…魅ぃちゃんのばかっ…」
恥ずかしかったから私は下着を奪い、ベッドの端へとポイと投げた。
「足…開いて」
「…うん」
けれど…恥ずかしいのが好き。
魅ぃちゃんにされる意地悪が、悪戯が…気持ち良い。
だから今も私は大人しく言われるがままに足を開き…魅ぃちゃんの顔がスカートの中に入っていくのを黙って見つめている。
やがては舌が秘処に触れる。
俯瞰する私には魅ぃちゃんの顔が、スカートの中が見えない為にそのタイミングが分からなかったから…唐突な強い快感に思わずぴくんと身体が跳ねる。
ぺろーっと濃厚に舌が上下に擦りつけられ…耐えようと思ったって腰が浮いてしまう。
時折聞こえる"ちゅっ…"という吸引音が聴覚さえも感じさせる。
「ひぁぁぁんッ…魅ぃ、ちゃあっ、んッ…!!」
遂には舌は敏感なところを執拗にぺろぺろと舐めて弾き…指が入り口をくにくにと弄ぶ。
「すっごい濡れてるし…入れるよ…」
「言わッ、ないでッ…んんんッ…!!」
すっごい濡れてる…だなんて、自覚が無かったから…改めて言われてしまうと、もう、狂いそうなくらいに恥ずかしくて気持ち良くて…嬉しかった。
魅ぃちゃんの宣言通りに指が遂に膣に入り…私は身を反らす。
すると魅ぃちゃんはスカートの中から顔を出して私の肩に手を添え
「横になりなよ…きついでしょ?」
と、優しく…気遣ってくれた。
私は言われた通りに横になる。魅ぃちゃんに支えられながら枕にそっと頭を預ける。
膣内で曲がったり回ったりと忙しく蠢く指に…私は堪えきれず
「あぁぁんッ…いやぁッ、きゃぁッ…ひぅ、ひぅぅぅ…」
とはしたない声で休む間もなく喘ぎ続けた。
やがて前後に指が擦れ、入り口から奥まで満面なくかき混ぜられる。
くちゅ、くちゅん…
水音が次第に大きくなり…私に抱かれているという実感を与えてくる。
息も荒くなり喘ぎ声は艶やかに。
気持ち良いんだから仕方ない。
魅ぃちゃんに抱かれているのだから仕方ない…。
「レナ…好き…好き…。可愛いよ…すっごい可愛い。」
そんなことを耳元で囁かれれば私は意識せず自ら腰を動かし
「気持ち、いいッ…魅ぃちゃんッ、気持ち、いいよぉッ…ひぁうぅんッ!」
なんて恥ずかしいことを言ってしまう。
きっと後からそれをまたからかわれるだろう。
それでも私は伝えたかった。
魅ぃちゃんに抱かれて…魅ぃちゃんにえっちなことをして貰えて、レナは気持ち良いよって。
幸せだよって。
「魅ぃちゃんッ…好きッ…!!んぁ、だめ、もうレナッ…!!」
「いいよ…おじさんが最後まで見ててあげるから…レナ、イッてごらん?」
「好きッ…見ちゃだめッ…いやぁッ…見ててッ、魅ぃちゃんッ、見ててっ…あぅぅぅぅッ…!」
指の出し入れは速度を増し魅ぃちゃんの声と吐息にも熱と艶を帯び…
私は声を高らかに、包み隠さずに絶頂することを魅ぃちゃんに伝えて…
全身を痙攣させ、躍動感の中…快感に唇を噛み締め、腰を浮かし身体を反らして…魅ぃちゃんの視線を感じながら…イッた。
「いやー…今日のレナもすごかったわー…気持ち良いよーって言ってたよ?」
「なななな何のことかなっ…かなっ…」
ほら、やっぱり言われてしまう。
でも…こんな魅ぃちゃんだって大好き。
結局はどんな魅ぃちゃんも素敵なのだ。
勉強しながらべそをかく魅ぃちゃんも。
眠たそうにあくびをする魅ぃちゃんも。
ご飯を食べてる時の魅ぃちゃんも。
…えっちの時の魅ぃちゃんも。
…えっちが終わってもまだ意地悪をしてくる魅ぃちゃんだって。
全部全部大好き。
「…それじゃ、おじさんの番はシャワーを浴びてスッキリしてからにして貰おうかねー!」
…こんな色気の無いことを言う魅ぃちゃんだってかぁいくて大好き。
「魅ぃちゃんだけズルいー…」
「知らないよーだ!」
…そしてちょっと勝手な魅ぃちゃんも…レナは大好きだよ。
「んじゃあおじさんは先にシャワーを浴びてくるよ…ご飯作っておいてね!」
「…ふんっ。魅ぃちゃんのばーかっ。」
魅ぃちゃんは着替えを持ってドアを開くも一旦此方に振り返り
「レナっ。」
と私を呼んだので
「なぁに?」
と聞いてみると
「素敵なご褒美…ありがとね。」
とだけ言ってドアを閉め、どたどたと階段を下りて行った。
私は自らの唇にそっと指をあてて…
「まだご褒美…あげてないよっ…」
と、悪態をついてみてちょっと勝った気になってみた。
ムチよりアメの方が多くなっちゃうかな…なんて考えたりしたけれど。
魅ぃちゃんに明日も頑張って貰いたいから…ご褒美、たくさんあげよう。
机に置いていたお茶は入れすぎた氷のせいか…グラスから少し、溢れていた。
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