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短編駄文
小さな勇気の罰ゲーム。
序盤某洋画パロでギャグノリ。途中から甘め。










とある部活での罰ゲームで私は目隠しをされ、手足に手錠をかけられた。

1位のレナによる提案でこんなことになってしまったのだが、罰ゲームだから仕方ない…とは言えやはり身の危険を感じる。

お持ち帰りされてしまわないだろうか…

「椅子に座って」

そう命令されたが何も見えないのでどうしたものかと手足をくねらせるとパイプイスの金属音が鳴り、誰かの手…と言っても恐らくはレナの手により座るよう促された。

座ったものの手足と視界は自由が効かない。

やはり不安。

何をやるのだろう…レナはあれで容赦ないし、躊躇しないから…余計に怖い。



暫くそのまま放置された。周りでは扉が開け閉めされたりと何やら忙しそうだった。

そして、やがて。

「それじゃあ始めるよ」

と言う声に思わずびくっと身体が小さく跳ねる。


何を始めるつもり…?

「やぁ、魅音。レナは…じゃなくて…、私はゲームがしたい!」

…ゲーム?…なんだか分からないけれど面白そうな展開だ。

「いいよ、受けて立とうじゃないか。」

とは言うものの四肢拘束で目隠しされた私に何をしろと…?

マジシャンのように縄抜けイリュージョン的なことをしろと言うのだろうか。

「…魅音、君の胸は大きい。それ故に多くの貧乳達に絶望と敗北感を与えてきた。」

…へ?

ちょっと…いきなり何を…

恥ずかしい反面、そんなつもりは無いので少しムッとした。

「君に貧乳の辛さがわかるか?そこで今日は君に胸を馬鹿にされる者の辛さを味わって貰おう。」

…?

何だコレ、としか…

「今から君に質問をする。君はそれに答えろ。それだけで君は救われる。しかし…答えられなければ君は胸を揉みしだかれる。君はその大きな胸を持つにふさわしいか試されるのだ。」

「…何言ってんのレナ…」

ふさわしいも何も、勝手にこうなったのだから仕方ない。別に私は望んでないし…

けれど今はとにかくこの罰ゲームに打ち勝つしか無い。

それしか胸を守る方法が無いのだから。

「制限時間は10秒だ。それでは早速…」

…本当に早速だねぇ…まぁ、おじさんは負けないよ?

「魅ぃちゃ…魅音。君の3サイズを答えろ。」

…なッ…!?

そういうことか…ッ!!

「わっ、分かんないよッ…測ったこと無いしッ…!」

「なら予想でいい。言って…言え。」

そんなぁッ…

顔が熱い。どうしよう…周りにはきっと皆も居るんだろうし…例えレナだけでも自分で言うのは恥ずかしい…

「さん、にぃ…」

「まっ、待って…!」

「いちっ…ぜろっ!」

う…ばっ、ばか…レナのばか…!

「ばかばかばかばかばかっ!レナ最低…。」

と、悪態をついた瞬間、宣言通りに胸を鷲掴みにされ、むにゅむにゅと揉みしだかれた。

「ひあぁぁッ…」

恥ずかしい…けれど不思議と嫌では無いのが余計に無性に腹が立つ。

何だろう…この敗北感。

「柔らかーい…」

あ、素に戻った。

…いつまで揉んでいるつもりなんだろう…

むにゅむにゅむにゅむにゅ、と上下左右に暫くこね回されて…なんだか…へ、変な感じになってしまう。

「いい加減…許してよ。次、次!」

「あ…ごほん、それでは次の質問だ。」

もうヤケだよ…どんと来い。セクハラなんて糞食らえっ!

「胸とお尻を触られるなら…どっちがいい?」

…!?

逃げられない…どちらを選んだって触られる…

胸がマシ!?胸ならさっき触られたばかりで少し慣れてるっていうのもあるけれど…

でも胸を触られるのはなんだかやっぱり変な感じになっちゃうし…かと言ってお尻を触られるのはなんだかそれもそれで寧ろ恥ずかしい…

「さん…にぃ…」

「あ…あぁぁ…待って待って…!」

「いいぃぃぃいちぃぃぃぃい!」

「レッ、レナが好きな方!」

自分では決められなかった…これでも一応答えたことにはなるだろう。そう願う。

「…いいだろう。」

…え…どっちの意味?

その答えでいい、ということ?

それとも…好きな方ならどちらを触られても構わないと言う答えに対しての了解としてのいい、ということ?

そんなことを考えているうちに私の肩に手を添えられた。

…あぁ…また触られる…むにゅむにゅ地獄が…

と思いきや。

急に目隠しがパサリと落ち、久々の視界が眩しくて目を細めつつ前を見るとレナがにっこりと微笑んでいた。

相手の姿、表情、行動が確認できるようになるとなんだか不安が無くなる。

「それじゃあ続きを始めるよ?準備はいいかなっ?かなっ?」

準備も何も…私には答えるしか道は残されていない。

周りを見渡してみると…他の三人はどうやら居ないみたい。

「圭ちゃん達は…?」

「帰ったよ?レナの罰ゲームだからたまにはレナだけで楽しみたくて…いけなかったかな?かなっ…?」

…勝者なのだから悪くは無いと思う。

寧ろ皆に胸を触られたりしなくて済んだから助かったかもしれない。

特に圭ちゃんに触られたら…蹴り飛ばさずにはいられないだろうから。

「いいんじゃない?…それより早く来なよ…次もおじさんの勝利だよ?」

余裕ができたからか私の勝負好きの魂に火がついてきた。

さぁ、来い。上手く答えてやろう。

「…よーし、レナも負けないよ?」

そう言えばレナが素の口調に戻っているのは何故だろう。というより、最初の口調は一体なんだったのだろう。誰だったのだろう。


…まぁいっか。

「それじゃあ質問っ!レナは今何を考えてるでしょうかっ!」

「…えっ、えっ?それ…無理だって、分かんないよ…」

「…ろぉーく、ごーお、よぉーん…」

うぅ…こうなったら当てずっぽうだ!

「おじさんの胸が触りたい!」

「違うんだよっ、だよっ!」

「お持ち帰りしたい!」

「それも違うよっ?」

「かぁいいものを全て手に入れたい!」

「違うよぉーっ…」

「だーっ!分かんないってー…」

レナが考えそうなことはだいたい挙げたのに…正解なんてあるのだろうか。

「魅ぃちゃんが目を閉じたらヒント…あげるよ。」

…やけに怪しい言い方だし、なんだか負けた気がしてやるせないけれど…結果的に勝てればいい。その為にここは従っておこう…

私は少し悩んだけれど結局は目を閉じ、ヒントを待った。









何かが私の頬に触れる。

…それはレナの手。

何故?これがヒントだと言うのか。

「…ヒントだから…ね?」

…何…?

"だから…ね?"って何がさ…

「ヒントは…いくよ?…ヒントはね…」

レナの声が僅かに震える。

「…早く言いなよ」

と、急かした私の声までも震えるのは何故だろう。

…私は…抵抗しなくていいのだろうか。

実はわかってる。

"ヒントだから…ね?"

その意味もなんとなく…予想でしか無いけれど。

それでも…抵抗しなくていいのだろうか。

いや…抵抗する気が無い私自身にそんな自問自答をしたところで意味は無い。

目を閉じているのが辛い。黙っているのが辛い。

"ヒント"を待つのが…辛い。

胸は忙しく高鳴り息を飲みその時を待つ。

いっそのことまだ目隠しをしていたかった。

目を開くという選択肢があるから私は待つのが辛い。

目を開けて…今、レナがどんな表情で私を見つめているのかを確認したい。

目隠しがあれば…そんな思いにかられずに一方的に…ヒントを与えて貰えたのに。

「…早く」

我慢できずに私は伝えた。出来るだけ気付いていないフリで。

「やっぱり待って…」

…レナは自分から仕掛けたくせに何故か臆病になっていた。

…私はその"ヒント"を…望んでいるのに。

…あ。もう私、答えを知ってる。

「レナが望んでいるのは…」

「…えっ…」


























「キス。」


















「あっ…えっ…えっ?」

「…違った?」

私は目を開く。

するとレナははっとして離れ、目線を逸らす。

そして

「正解だよ…だよっ。」

と唇を尖らせ不本意そうに、だが嬉しそうに答えた。

「…じゃあ…次は手錠、外してくれる?」

「あ…うんっ…」

レナは虚ろな目でぽーっと顔を赤らめては私の両手と両足のどちらともの手錠を外した。

…って…両方とも外しちゃうんだ。

どうやら動揺しているらしい。

動揺というよりは…混乱?

「おじさんの勝ちだね…レナ、罰ゲーム!…わかってるよね?」

自分で言ってておかしかった。

私が負けたことによる罰ゲームで私が勝って、レナが罰ゲームを受けるのだから。

要するに罰ゲームの罰ゲーム。

だけど今のレナは違和感を感じなかったらしい。

いや…もしかしたら違和感を感じても罰ゲームを受けたかったのかもしれない。

私が考えた罰ゲームをレナがお見通しならそれは十分に有り得る。

でも、私はレナの予想を越えてみせる。



「レナ…おいで。」

ちょこちょこと小さくゆっくりと歩み私に近寄るレナがかわいい。

「…罰ゲームだから。許しなよ。」

「…えっ…待って…ッ」

私はレナに有無を言わさずに彼女の両肩をグイと掴み引き寄せ、強くレナの目を見つめる。

「…待って…魅ぃちゃん…そんなに見ないで…」

「おじさんは…レナより早いよ。ずっとね。」

レナは"ヒント"を出すのが遅すぎた。

珍しい躊躇が私に勝機をもたらした。

このゲームは私の勝ち…。

だから、何をしたって…文句は言えないでしょ?

…でも…レナが"ヒント"をくれない限り、私は勝てなかったかもしれない。

だから…

「ありがとう、レナ…勇気を出してくれて」

「えっ…う…うん…」

ありがとうの気持ちをこめて。









私はそっと優しく…唇を近づける。

罰ゲームという名を借りた告白ゲームに勝利できた祝い、そしてその勝者の権利を行使する。

目を閉じたレナはそっと顔を僅かに上げて、斜めに傾ける。

可愛いね、レナ。

自然とそう思い、滲み出た微笑み。

「頑張ったレナにプレゼントだよ…受け取りな?」

レナにだけ聞こえるように告げて。

私の初めてのキスを捧げ、レナの初めてのキスを奪った。











抱き締めたレナの身体は細くて柔らかくて…あったかかった。

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