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短編駄文


魅ぃちゃんを諦めて一年。

…いや、魅ぃちゃんを諦めたということにして一年…。

私は嫉妬していた。

雛見沢の冬は酷く寒く、例えずに言っても凍え死にそうな程。

その寒さのせいで。

私の心は冷たくなってしまったのだろうか。

圭一くんと二人で歩く魅ぃちゃんと私は偶然出会った。



…魅ぃちゃんを諦めてから一年。
鷹野さん達との死闘に勝利して二年。

私も魅ぃちゃんも圭一くんも雛見沢を出て学生生活に徹していた。



冬休みに帰郷していた私と同じく圭一くんと魅ぃちゃんも里帰りだろう。

仲良さげに手を繋いでいた。

「久しぶりだねーっ…もしかして、お付き合いしてるのかなっ!?かなっ!?」

「あ…あぁ…何がどうなってこいつと付き合ってんのか自分でも分からな痛ッ!」

「手ぇ繋いでて何言ってんのさ圭ちゃーん!」

本当に幸せそうに。

この瞬間が、私と久しぶりに会ったことより二人で居る時間であることの方が彼らにとって幸せな事象であることが辛くて嬉しくて。

大好き。

今でも、今すぐに…伝えたい。
魅ぃちゃんが…好き。

目を閉じると昔のまま思い出される貴女との思い出。

一方的な愛かもしれないけれど、大切で大切で仕方ない想い。

数少ない街灯に照らされ舞い散る雪のように

私の想いもまた、散るのだろうか。

ひらひらと。

「あ…レナ、急いでるんだった…またね、魅ぃちゃん…圭一くん!お幸せに!」

耐えられなくなって、逃げ出した。

お幸せにだなんて、皮肉。

本当は…滅茶苦茶になって欲しい。

二人の仲が滅茶苦茶になって修復不可能になって、そして魅ぃちゃんが負った傷を私が舐めて癒やしてあげたい。

降り積もる雪の中を走る。涙を凍らせて。



いつか二人で

雪が積もる頃に

二人だけが見た

二人だけで過ごした

あの白い時間、白い場所を

あなたと…



本当は会いたい。話したい。触れたい。

だけど魅ぃちゃんが幸せなら…私は今は何もできない。

幸せな時間は有限なのだ。

この雪がいつか溶けるように、幸せな時間も溶けてしまう。

熱を持てば持つほどに。

圭一くんとの時間が終わったらきっと次はレナの番。

その時が恋しくて恋しくて貴女を想うほどに雪は降り積もる。

私が踏んだ雪にはしっかりと足跡が残っていた。












私が帰る1日前に

幸せそうに買い物をする貴女を見た。

久しぶりに改めて顔を見てみると

目を奪われるくらいに美しくて少し大人びていて。

さよなら、また会えるよね?

そう問いかけてみた。

勿論魅ぃちゃんは私が居ることに気付いていない。

…圭一くんとの時間に夢中だから。

だけど、小さく。

貴女にバレないように本当に小さく手を振ってみた。

元気そうで良かった。

今の私にできることはこれだけ。

私の大好きな貴女が他の人と愛し合っているのが辛いわけじゃないけれど。

もう会えなくなるだなんて思いたくないから…

きっと、また会えるよね?

…約束だよ。

勝手に約束して、勝手に指切りげんまんした。

私の小指は相変わらず震えてて

とても寂しそうだった。

あの頃みたいにまた笑い合いたい。

私を見て欲しい。

でも…私のことなんてもう、眼中に無いんだろうから…

情けないくらいに涙を零して後にした。













泣いてないよ。


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あきゅろす。
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