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似た者同士でお互い様!〜告白は優しくロマンチックにやりましょう!〜Part2
『嫁になれ』
初対面からそんなぶっ飛んだ告白されたら、普通ならややヒくもんだ。
勿論、桃子はヒいた。

たとえ、その発言の主がいかに美形であろうとも。
まぁ兄貴は別だが。

普通の女性が、兄貴に同じ事を言われたら、
「はい!喜んでーー!!!」
と鼻血爆発しながらオッケーしたとしても。


だが桃子は、この金髪に青い目のきらめく美青年に真っ直ぐ見つめられて言われて、嬉しくない訳がない筈がなかった。

つまり答えはノー。

なぜなら兄貴の顔は彼女には全く好みじゃなかったから。


それにしても、どうして兄妹でこうも違うのか。

妹のアマーロが初対面のリゾットに告白した時と言ってる事は、大して変わらないのに。









その数秒後、その場が血で血を洗う戦場になる!


いざゆけ!血祭り!
血祭り!英語でいえばブラッディー・カーニバル!!!!?
ホントか嘘かは知らないが!!






「(…勝手な事言って!何この人!おどすなんて最低!
銃を突きつけるなんて……!
逃げられないようにですって!どんだけ信用されてないのっ!何で、こんな怖い思いしなきゃいけないの!こんな…こんな…人の為に!)」

「おい、どうした?
返事したらどうだ」










プッツンッ!


何かの千切れる音。



「…………だからって」

「あ?小さくて聴こえねぇよ」
















「イケメンだからってホイホイ引っ掛かると思ってんのかッッッッッッ!





段取りを…

段取りふまえてから!告白しやがれーーーーーーーー!!!!」










ジャキィいいいン!!!!


桃子の懐から飛び出した懐刀。

それが刹那、紫電一閃!
雷の紫の光が疾るようにギラリと光る刃!

桃子の細腕が疾風怒濤でリボルバーを一瞬にして真っ二つに!




「お嫁さんにしたいなら!

私を!倒してみろッッ!!!

話はそれからだァアアアアああああああああッ!!!!」




そして、そのまま刀を持った腕を勢いよく振り上げた!

狙うは兄貴の眉間!










ーギィイイいいいいいいン!!!!

それを間一髪止める銀色の光。

刃と刃がぶつかり合う音!
それは兄貴がいつの間にか抜いた仕込み杖の刃!






「…くっ!
やりますねッ、上手く避けやがって!!!!」

睨み付けながら、ギリギリと懐刀を負けずに押し返す!

「クク……ッ!
クククククッッ!
ハハハハハハハ!!!!


面白ぇなオメェ………なかなか気が強ぇな!ますます気に入ったッ!







いいだろうッッ!
勝負だ!!!!」


「その調子にのったナンパヅラなんか!
今すぐ真っ二つにしてやるんだからッ!!!!」



びりびりびり!!!

そう叫びながら、桃子は着物の右足部分を一直線に破く。

バラッと翻る足元!そこから覗く白い太もも!
ハレンチだが、今の桃子はちっともためらわなかった。
全てはこの傍若無人色男を地に伏せる為に!









「…ええっ!
桃子さん!どういう事!!!」

騒ぎをききつけ駆けつけた康穂と定助。警察を呼びますかと言うと、桃子は激しく首を振った。


「ダメです!
邪魔しないで下さい!!
これはッッ命をかけた真剣勝負なんですからッ。

おら!
ハラワタを!ぶちまけろォオーーーーーーーー!!!!くらいやがれぇえええ色男ーーーーーーーーッッ!!!!」


せめぎ合いからの足元からの顎を狙った直角蹴り!
それを兄貴が避けてる間に、ショーケースに隠してあった護身用日本刀の箱をダン!と開け、ズバッと腹を狙う斬りつける。
それはあっさりと素早く避けられる!!!!


ギィンギィン!!!!
バババババババッ!!!!
襲いかかる桃子!
兄貴、仕込み杖を背中に担ぎ上げた構え『貴婦人の構え』で迎え撃つ!

イタリア式ロングソード剣術で『貴婦人の構え』というそれは、ドイツでのその名は『憤怒の構え』!!!!

どんな相手の構えにも一方的に力任せに薙ぎ倒す、マシンガン並みの手数の攻撃をバンバンくりだす体勢だ!

この男!
いくら気に入った相手でもストレイツォよろしく容赦しなかった!!!!





「え………えっと…………定助。どうしようコレ」

「大丈夫だよォ、康穂。
何かじゃれてるようにしか見えないし。とりあえず、見物しよ。本当に桃子さんが危なくなったらオレのシャボン玉で何とかするから」

「そ、そうね…、ペイズリーパークも何も作動してないし…」



そんなこんなで、闘いは誰にも邪魔される事なく続行した!

あまりに見応えのある闘い。

西洋のロングソードVS日本刀!

男女の闘いで、兄貴のバカ力と体力にも負けず桃子は奮闘する。

途中一回危ないシーンがあった!

せめぎ合いになり、刃を互いに押し合ったその時、にやりと笑った兄貴が、いきなり桃子に顔を近付けズキュウウン!とチューをかましたのだ!!!

それに動揺し、態勢が一瞬崩れる。

狙い通りに行ったと兄貴は突こうとしたが、彼女は
「このっ!
このハレンチ男ォオーーーーーーーー!!!!初めてなのにぃいいーーーーーーーーッッ」
と泣きながら、刀を頭上にガンッと弾き上げて、斬りつけてくる!


「ッ、悪いなッ。
なんだ初めてだったのか」

「バカバカァァァアア!最低!大嫌い!死ね!」


さっきよりパワーアップした威力に兄貴はマズいなと思いながらも、目元を赤くした桃子が可愛い、嫁さんにして可愛がりたいとますます惚れ直し、その原動力が全ての攻撃をありえない角度からの攻撃も完璧に避けていた!


そんなチャンバラ対決にいつしか、康穂も定助も拳を握り、瞳をキラキラさせ、自然と魅入ってしまった!
















だが三十分後勝負はようやく決着を迎える!




バキィイイン!





「…くっ!!!!?」




桃子の衰える気配のない憤撃を、右は柄を握り左は刃に手を添えた『第三の構え』で火花を散らしながら受け止める!

それにすかさず左手を押してクルッと刀回すと、カウンターで日本刀の刃を真っ二つに打ち砕いたのだ!

吹っ飛ばされる刀。

手の中は空っぽになる桃子。

「ハァッハァッハァッ!う…………っ、


私の………負け、ですね」

「いや…オメェも…………相当強かった……やるな…」


ガクリと膝をつき俯く彼女に、兄貴は手を取って立ち上がらせる。

互いにゼーハーゼーハー息を吐きながら、それでも桃子は狙う。

「くらえッ!!!!」

腹を狙ったボディブローを!
油断を狙ったのだ!

「…うおッ!!!危ねぇな!!!!」

だがそれすら、流石に場数を踏んだ兄貴には見破られ拳を受け止められる。

受け止めた桃子の拳をほどいて手を取りながら、見下ろす兄貴。

その乱れた前髪と、色々と身体中に桃子がつけた小さい刀傷の数々。

それを見て、桃子は今更ながら自身は全く傷がないのと気付いた。
凄くショックを受けていた。

「うっ………ふぇえっ!貴方全力じゃなかったのッ!
完全に!私の負け…だったのね!」

実は手加減されたのに悔しいやら、
いきなりの決闘で自分が怪我をしなかったのに感謝すればいいのかいやそもそも彼が悪いんだ、

でも傷だらけにしちゃったと、ようやく色々分かった彼女は、様々な感情が頭を渦巻き、グスグス泣き出す。


「おい、泣くなよ。オレも結構ヤバかったんだぜ」

「嘘つき!嘘つかないで!

…うっ、ごめんなさい。いっぱい怪我させちゃって…!」

涙目の桃子は、すぐ懐から桜模様の手ぬぐいを出すと、兄貴のでっかく切られた頬の血をぬぐう。


そして、少し頭が冷えた彼女はまた俯いて、こう言った。


「うっ……もう好きにして下さい…。
頭ブチ抜いても、下僕にしてもお嫁さんにしても…もういいです……。
レジにもお金ありますから、持って帰って怪我の治療費にしても全然構いません……。

私は負けましたから………」

「…………えらく諦めがいいな、オメー」

「よく言われます…………武士に二言はありません。武士じゃないけど。

さあ、どうぞ覚悟は出来てます。

さっきチューされちゃいましたし……。

チューされたら結婚しなきゃいけません…………そういうものなんでしょ?…」

そうして諦めた様子の桃子に、兄貴は顔をしかめ、頬に手を添える。

ビクッと震える桃子。


それを目にして、兄貴は今更思い知った。













「…やめだ!

約束は守らなくていい」


「え?
あのっ、何で…?」

鞘にしまった仕込み杖を持つと、くるっと背をむける兄貴。

そのままツカツカと店の外へ出ていこうとするのに、桃子は慌てて腕を取る。


「私が言ったんですよッ!!!!
私を嘘つきにする気ですか!倒したら貴方のお嫁さんになるって!」

「…嫌がってるじゃねぇか。
だからだよ。そんなんじゃ意味ねえだろ。好きな女に悲しそうな顔をさせちまうなんてな。
オレも馬鹿だなぁ…、惚れたからって独りじめしたいなんて思っちまって。
気が短いにも程がある。
ちっと家庭内でムシャクシャしててな。
そんな事してもしょうがねぇのによ」

「………そう、なの?
じゃあ結婚しなくていいの…」

「当たり前だ。通り魔にあったと思えばいい。
大体キス一つで結婚だったら、この辺りのガキ共なんかバンバン結婚しちまうだろ。

…じゃあな、今度こそ帰る」

桃子の握った手をゆっくりほどく少し寂しそうな兄貴。

その表情に何故か胸がキュンと痛くなる。


「…また来ていいか?

お前にまた会いてぇんだ」


そう言って帰ろうとした兄貴の後ろ姿に、何故だか桃子はどうしようもなくなり、自分でも思いもよらない行動に出た。










「ま……待って!」

桃子は慌てて、意識せずに背中に抱きついた。


「あの…、最初に言いましたよ…段取り踏まえろって…………。

あの……貴方のお気持ちは解りましたし………、その…………………あのですね……………びっくりしたけど…、


貴方のチュー……今思うと…そんなイヤじゃなかった………というか………次は優しくしてほしいなとか………………………、いや、おかしな話なんですけどね………………………、


…段取り踏まえて下さったら……3ヶ月後に手繋ぎ、半年後にチュー……とか…私、ちょっと男の人怖くて申し訳ないですけど………その……我慢して下さったら……お嫁さんになっても…………………


とにかく、また来て下さい…。

それと、あの…貴方強かったから、あの…剣技を教えてほしいし…。

連絡して下さったら、出来立てのごま蜜団子用意して待ってますから…」




「!!?」



真っ赤になる桃子。

あまりの超展開に絶句する兄貴。


ご都合主義というか、こう見えて兄貴同様頭の中がジャ○プ漫画になってる桃子。
『昨日の敵は今日の友!』が余裕でまかり通るトンデモ思考回路の持ち主だったのだ!





この直後、大喜びした兄貴は桃子をかき抱き、好きだ好きだと連発する事に!

更にその後
「次は優しくって言ったよな。
…さっきの記憶、塗り替えてやる」
と、腰を抱き寄せた桃子に笑いかけると、
「…え?………うっ…ふぅっ………あっ…!」
と甘く甘く吐息まで酔いそうな優しいキスを熱烈にお見舞いしてやったとの事だ。

当然桃子は顔を真っ赤にし腰がくだけて、倒れ込んでしまったが、兄貴のスーツを自分から握っていたから嫌ではないだろう。


なお見物してた康穂と定助はその甘ったるい雰囲気にあきれた様子で、とりあえず店の中を片付け初め、
なぜかいつの間にか現れてたカビ頭は、うっかり同席したアバ茶怪人のアバ茶を飲み干してしまい、悶絶しながら暴れた挙句、炊きたての餡子の熱々の巨大鍋をひっくり返し、全身火傷で死亡した。

当然ながら誰も心配してなかった!!!!





とりあえず、実質兄貴は未来の嫁さんを手に入れた訳で………………………………………………。



















































その数日後。










「アレ?お兄ちゃんどこ行くの?」

「ああ、事務所の茶うけを買いに行ってくるんだ。

まぁ、ちっと帰りが遅くなるかもしれねぇ」

「え………、あ、…うん………っ。

(へ?お茶うけのお菓子、お兄ちゃん昨日買ったばかりだったのに?)」






アマーロはそれが不思議でしょうがなかったが、何故か心なしか門限も伸びたし、デートの邪魔も以前より減ったので、まぁいいかなと思う事にした。



普段通りに見えながらも、心なしかやたらキラキラしてる兄貴がちょっと怖かったが。





































→To be continued.




















ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


今回は中身グダグダ気味だけど、アラウンドザワールドの兄貴と桃子さんが出せたからよしとします。
ちなみに妹はちゃんと兄貴に謝りましたよ。兄貴と話して、門限を少し伸ばしてもらえたようです。

出したかったジョジョリオンの皆も出せたのは満足。

定助、歴代ジョジョで何気に一番好き。なんか可愛いし、ちょっと邪悪な所もいい。


あ、いつかブラックモアさんとかリンゴォが出せたらいいですね。






2014.1.14(火)

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あきゅろす。
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