夜に溺れて(ﾘｿﾞｯﾄ・うなぎ様へ)
※連載「Uno croce nera...」のヒロイン
※微裏
素肌が捉える、シーツ特有の感触。
それを感じながら、一糸纏わぬ姿のアマレットは頭をリゾットの胸へ預けていた。
「アマレット……寒く、ないか？」
「……っ、はい」
リゾットさんが温かいから、寒くないです。
聞こえないよう、小さく呟いた言葉。
しかし、彼が愛しい少女の声を聞き漏らすはずがないのだ。
「ふっ……可愛いな、アマレットは」
「っ！ き、聞こえて……！」
恥ずかしい。
刹那、羞恥で頬を染めた彼女が、慌てて男と距離を取ろうとする、が。
グイッ
「あ……」
「離れるな」
リゾットの大きな手が腰へ回され、再び彼の腕の中に収められてしまう。
全身が嫌でも感じる、自分とは違う逞しい身体。
視界を覆う胸板にいたたまれなくなり、おずおずと顔を上げれば、こちらを見つめる赤い瞳と目が合った。
「アマレット」
「っ、ん……リゾットさ、ん」
名を呼ばれ、降ってくる優しい唇。
額へ、瞼へ、鼻の先へ、頬へ――そして、先程嬌声を紡いだばかりのアマレットの唇へ、リゾットはゆっくりとキスを落としていく。
「……」
「ん……っ、ふ」
――たまらない、な。
照れくさそうに、だが嬉しそうにそれを享受する少女を見て、身体の芯が再び火照り始める。
自分は元々、人並みの性はあれど、我慢強かったはずだ。
「っぁ、リゾッ、ト、さ……んんッ」
「……アマレット、もっと舌を出せ」
しかし、それもアマレットの前では簡単に崩れてしまう。
当然であるかのように歯の裏をなぞると、目を見開く少女。
だが、今更止められるはずもなく――
「は、っ……はぁっ、はぁ」
口内を貪ることに夢中になっていたらしい。
トントンと弱弱しく叩かれた拳に、不満に思いつつも唇を離し、彼女の口端から伝う唾液をねっとりと舐めとれば――キッと睨み上げられてしまった。
「リゾ、トさん……激し、すぎです……っ！」
「すまない、つい」
「！ ついじゃ、ないですよ！」
息絶え絶えに言葉を紡ぎ出す名前。
気持ちよさそうに応えていたではないか――リゾットは事実を告げたくて仕方がなかったが、そうすれば彼女がベッドを飛び出してしまいそうな勢いだったので、そっと口を噤むことにした。
「もう……っ///」
「……アマレットは」
「？」
「キスが、嫌いなのか？」
さらに自分の胸へ顔を埋めて、眠る体勢に入った少女にふと思ったことを聞いてみる。
すると――小さく首を横に振られてしまった。
つまり否定。
肌を掠める艶やかな髪にくすぐったさを感じつつ、首をかしげた男は続けざまに問いかける。
「違う、のか？」
「っ……明日、答えますから」
「ダメだ。今教えてくれ」
このままでは、気になって眠れない。
むしろ、アマレットを襲う。
というか、今にも襲ってしまいそうだ。
その警告もかねて彼女の耳元に囁けば――観念したと言うかのようにアマレットはそろりと顔を上げた。
「リゾットさんの……キスが、嫌いなわけじゃないですよ？ その、気持ちいいなって、思いますし……好きな人からだし。でも――」
「！」
少女の口から出た思わぬ告白。
――アマレット……！
その華奢な肩をすぐさまシーツへ縫い付けてしまいそうになりながらも、なんとか理性を保つ。
理由はただ一つ。言葉の続きが気になるからだ。
「……でも？」
「…………眠れなくなるんです」
「は？」
「〜〜ッ、ドキドキして、眠れなくなっちゃうんですっ！」
「……」
なんて、なんて可愛い答えなのだろうか。
「きゃっ！？」
気が付けば、リゾットは赤い顔を隠そうとするアマレットをさらに強く抱き寄せていた。
「アマレット……」
愛しくてたまらない。
耳に吐息を感じたのか、びくりと肩を震わせる少女。
そして、彼女がそのまま動かないことをいいことに、白く細い首筋へ唇を押し当てようとすれば――
「り、リゾットさんっ！」
「ぐッ！？」
悲鳴に似た叫びとともに、両手で壁を作られてしまった。
「さっき、したばかりじゃないですか……！」
「オレはアマレットとなら、何度でもシたい」
本音を口にすると、湯気が出てしまうのではないかと思うほど赤くなる少女の顔。
「！ リゾットさんの、変態！！」
「ふっ、その変態を求めて、腰をくねらせていたのは誰だ？」
「〜〜っ/// 知らないッ」
どうやら、拗ねてしまったらしい。
するりと自分の腕の中で回り、背を向けてしまったアマレットに、今まで余裕だったリゾットもさすがに焦る。
「アマレット……？」
「……」
「アマレット、頼むから何か言ってくれ」
「リゾットさんの……ぜ、ぜ……絶倫っ」
「！？」
何か言ってくれ、とは言った。確かに自分は言った。
しかし――
「だ、誰だ！？ アマレットにそんな言葉を教えたのは！ メローネか？ メローネなのかッ！？」
「お……落ち着いてください！ 教えてくださったのは、プロシュートさんですけど……」
「プロシュートォォ……！」
――ペッシの作った料理で、喉でも詰まらせろ！
今頃、自室で酒をあおっているであろう男へ、届け殺意。
「いいか、アマレット。プロシュートの言葉を簡単に受け入れるんじゃあない」
「え？ でも……」
「い い な？」
「は、はい」
リゾットの圧に押されたのだろう。
意地を張っていたことも忘れて、少女はコクコクと頷いた。
その反応に、ようやく臨戦態勢を引っ込める男。
「いい子だ」
そして、いつもしているように彼女の頭をなでれば――
「っ///」
「！ ……アマレット？」
ギュウ、と密着する身体。
再び感じることのできた柔らかさに目を見開いて、彼がそっとアマレットの顔を覗き込む。
すると――
「私……やっぱり、リゾットさんになでられるの……好き、です」
チュッ
「ッ！」
一瞬。
だがそれでも、少女から贈られる可愛らしいキスはリゾットにとって一番甘く、幸せなものだった。
「……おやすみなさいっ！」
放心気味の愛しい人。
そんな彼を少しの間見上げていたアマレットは、嬉しそうに微笑んでそっと瞼を閉じた。
夜に溺れて
これも、大切な人との欠かせない時間。
〜おまけ〜
「……っ、あの、リゾットさん……！」
「どうした？」
「な、何か当たってっ」
「アマレットが可愛いことを言うから、こうなってしまった……もう一回シよう」
「！？ あ、明日って確かお仕事じゃ……ひゃっ」
「そういえば、そうか。だが、昼までに起きればいい――つまり、５ラウンドはできる」
「えっ、なんで増えて……あん！」
「アマレット……愛している」
朝――いや、実際は短針が十二を過ぎたころ。
腰に襲い来る激痛と羞恥に堪えながら、顔を真っ赤にして怒るアマレットに対し、リゾットは「可愛いなあ」とまったく反省も後悔もしていないのだった。
相互記念リクエスト。
リーダーと連載ヒロインでピロートークでした。
二人の関係がようやく裏へ突入したということもあり、今できる精一杯の甘さで文章を書かせていただいたつもりですが……うなぎ様、どうでしょうか？
そして私が書くと、リーダーがセクハラ常習犯というか過保護すぎるというか……お気に召していただけると幸いです。
これからもよろしければ仲良くしてください。
また、感想などもございましたら、ぜひどうぞ！
ありがとうございました！
polka
【管理人より】
という事で相互リンク記念にPolka様から頂きました小説です。
この変態ぶりが…溺愛ぶりが……いい………。
個人的には最初のチューする場面が艶っぽくてドキドキするので、そこがかなり好き。
ああ、リゾットの大人な魅力を改めて思い知りました。私も精進せねば。
甘いもの大好き、リゾットが大好きな私にはとても満足な贈り物でした。
相互リンクありがとうございました！
えっと…もう少しで私の方も出来るのでもう少々お待ち下さい。
［次へ#］
無料HPエムペ！
携帯モード]
[
URL送信]
