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アイ・ビロング・トゥ・ユー
「…アマーロ」
「ん……………っ」

その朝、任務帰りのリゾットはアマーロを腕に抱き締めて眠っていた。

昨夜アマーロは自分と二人じゃ狭くて休めないでしょと遠慮がちに言ったが、
任務から無事に帰りながらも、何処と無く疲れた顔の彼が、少し、さびしそうに
「………そばに、いて欲しいんだ…」
と伏し目がちに呟くのを聞き、しょうがないとニッコリ笑い……、本当は、そう言うまでに心を許してくれた彼に嬉しくてたまらなくて………、腕を広げて、彼の広い胸に飛び込んだ。



そしてその朝。

悪夢を見ずに彼は眼を覚ました。
冴え渡る頭に視線を下ろせば、幸せそうに眠る彼女。
心地よい気持ちになり、前髪をかきあげて額に口付け、いとおしげに彼女の名を呼ぶ。



「アマーロ、…起きろ」

そうすれば、ゆっくり開く。
雪の結晶の破片を思わせる睫毛から覗く真紅の瞳が。

「リィーダーさん…………っ」
目覚めは魂が空ろなその眼も、リゾットの姿を眼にすれば、鏡のように光り出す。
たちまち太陽の笑顔がこぼれる。




「…もう、朝だ」
首を僅かに伸ばして、彼女に優しく口付ける。

重なり合う影。
口付けた時はとじられた瞳も、間近で見つめ合う時には行かないで欲しいと切なげに揺らめく。



「朝だね……、あっという間だね……。
リーダーさんと会えるまでは、すごく、長いのになぁ……。













ね、もう一度」



「…ああ」



ねだる彼女に再びキスを。
一度だけのつもりが、彼女があまりにも嬉しそうに眼を細めるものだから、その肩を抱いて何度も何度も重ねてしまっていた。


その合間、唇の隙間からもれる彼女の声はトロリと甘い。





「貴方を愛してる…
愛してる……


愛してるの……………っ、誰よりも……」


(………俺も愛してるんだ。お前を…)




囁く声に目眩を覚えながら、きつく抱き締める彼は態度で愛情を示していく。

そうして、唇を離せば、互いの頬に手を添え合って、静かに笑いあうのは一緒にいる時の変わらない事。

アマーロはこの時の朝日に透ける淡い緑の瞳を眺めるのが好きだった。
それ以上に彼のかすかな笑みを見るのも大好きだった。

この上なく幸せだった。




「よく、眠れた?」

「ああ」

「私もすっきり…………。
いつもリーダーさんといると安心出来るからかなぁ。

だってリーダーさんの腕の中って、すっごく優しいから…」

「優しい腕か。
よく、俺にはわからないな…」

「私も貴方の『優しい腕』であってほしいなぁ…………」

「…お前といると、落ち着くが…。


……お前だけだ…………誰かといて安らかな気分になれるのは………」

「……そうなの?


嬉しい…っ」




髪をさらさら櫛けずりながら言葉にする意味のない問い。

それさえ、彼女は更に笑みを深くして寄り添ってくる。



…ああ、どうしてこんなに愛しいんだろう。









「今日は、仕事いくまでどうする…?
また届いた書類があるから、片付ける…………?
私、まだ帰らなくていい?邪魔しないよう静かにしてるから…」

少し不安げに揺れる目線にすぐ気付き、アマーロのそらした顔を引き寄せて、まっすぐ眼を合わせる。



「…お前を邪魔だと思った事は一度もない…。

変に気を使わなくていいんだ………。

もっと甘えてくれないか」


髪に口付け、耳に口付け、頭をなでながら彼は言う。

「アマーロは…どうしたいんだ?」


「!………………………………っ、
うん。

今日は出かけるまで一緒にいて……………っ。


サンドイッチ持って外に出てね…、一緒にご飯が食べたい……。

私ねカンノーロ作ってみたの。
初挑戦なんだけど…、あの…リーダーさんが好きって聞いたから。
食べて…ほしくて……。

でね、いっぱい話したい事があるの………。




あとね、気が向いたらで、いいから…………………




いっぱい抱き締めて。


髪を撫でて…。


さっきみたいにキスして……………」



「…お前は欲がないな……………。

…分かった」






とりあえずまずは朝食にしようとリゾットは言い、アマーロに手を差し出し、ゆっくり立たせてやる。


アマーロは握られた手と耳元で不意に囁かれた言葉に顔を赤らめ、
「わ…、私!先に顔洗ってくるね!」
とパタパタとバスルームへ走っていった。
顔を洗って、熱い顔を覚ます為に。


『………………』
…その言葉に胸が熱くなる、涙がこぼれそうになる。


(私も……っ、
私も、そう、だよ………)

その言葉は彼女の胸の中だけに。





その後ろをゆっくりついていくリゾット。

しばらくすれば、きっと身支度をするアマーロを背中から抱き締めて、彼女がここにいる事をもっと堪能するだろう。









朝、一緒に起きる。




ただ、それだけの事なのに、この二人にとって、あまりにも貴重な時間。


…それは幸せで、

愛しくて、

離しがたくて、

何よりも大切な時間だった。














































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兄貴とメローネのカオスな短編を書いて胸焼けをしたので気分転換に書いてみました。

リーダーが夢主に言った言葉は、読んだ人の想像にお任せします。

書きながら聴いてたのはミューズの鉄拳の振り子のあの曲。

歌詞はとにかく、始めは静かで盛り上がりが優しく鮮やかなメロディーがなんか二人に合ってるなと思ったので。

タイトルには同じアルバムに入ってる同名の曲。

アンケートにリーダーを入れてくださった方ありがとうございました。
気に入ってくださると嬉しいです。
(^-^)








あ、あと管理人ヘビーメタルとハードロックばかり聴いて、他がよく分からないので、綺麗めなメロディーのラブソングとかあったら教えて下さるとすごく助かります。

いつも音楽聴いてテンション支えながら文章もどき書いてるので。








2013.8.28.(水)

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