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ドゥー・ドゥー・ドゥー・ドゥー・ドゥー・ハートブレイカー(プロシュート) その2
「お兄ちゃん!!ちょっと待ってよ!落ち着いて…………


…あっ、
あっ、きゃっ!!?」


転がった酒瓶に足を滑らすアマーロ。

リゾットはすぐその手をとると、倒れかけた身体を支え、抱き起こしてやった。
そして彼女をこの場に巻き込む訳にはいかないと思い直し、冷静さを呼び戻す。








「…気をつけろ」

「あっ……ありがとうございますッ。
(やった!一瞬だけど抱き締めてもらっちゃった!)」


リゾットは、アマーロと同じ視線にしゃがむと、その手に紙幣を渡した。


「ここは俺が何とかする……。

すまないが、重要任務だ。

ホルマジオと一緒に、何か胃に優しいものを買ってきてくれないか?



しばらく…そうだな、2時間ほど帰らなくていい。
残った金で甘いものでも食べるといいだろう。

ホルマジオ。疲れている所、悪いが彼女を頼んだ…。

あとで時間を調整して、もう少し休みを作ろう…」

「まったくしょうがねぇぇぇな〜。リーダーも大変だなぁ〜。

おら、行くぞっ。ちゃんとこのホルさんの手を離すんじゃねぇぞ」

「うん!勿論だよ、ホルさん。

…いつもごめんなさい、リーダーさん」

「いいんだ…、気にするな。

それにアイツがいると案外気晴らしになる……」


少し涙眼になったアマーロを安心させようと、リゾットはわずかに口の端を上げてそう答えると、アマーロの顔は真っ赤に染まった。

それが何故なのかよく分からなかったが、とりあえず涙は消えたので彼は内心ほっとした。
















「……さて、とだ」


玄関のドアが閉まる音を確認するとリゾットは、大抵のギャングなら泣いて逃げ出すであろう、その秘めていた鋭い刃物の光のような殺気を一気に放出し、目がすわった、こちらもまた猛獣を思わせる凶々しい殺気をみなぎらせるプロシュートに向かって、強く指差した。









「……いいだろう。
貴様のその沸騰しきった頭の血を全部ぶちまけさせてやる。

その喧嘩、引き受けてやる。
サシだ。
恨みっこなしだ。
公平に、いつも通り、素手のみの勝負だ。気絶したら即終了だ。
武器は認めん。


…だから、そのメリケンサックを床におけ。
チッて言うんじゃない。
その割れた瓶もだ!!すぐ捨てろッ!




ったく、油断もスキもないな………」


そして、彼は懐から常に持ち歩く黒い手鏡を取り出すと、それに向かって声をかけた。



「イルーゾォ、いるか?」



「はいよ、どうしたリーダー」



この鏡は身支度の確認の為だけで持っているのではない。これは、イルーゾォに連絡する鏡だった。

そこにイルーゾォの姿がパッと写ると、彼はさっとそこから出てリゾットの隣にスタッと足をつける。



「……ってうぉ!どうしたんだコレ!!
酒臭いし煙草臭ぇ!!」

今気付いた惨状と、睨み合う二人の殺気に今更ながらイルーゾォは驚く。
リゾットは申し訳なさそうにしながらも、イルーゾォに言った。



「すまないが、いつものアレだ…。

またオレとプロシュートのスタンド以外を許可して鏡に入れてくれないか?

……ここじゃ、収集がつかなくなりそうだ」



「はぁ……っ、埋め合わせしてくれよな。了解。










『マン・イン・ザ・ミラーッ!!』」







そして、これで何十回目か分からない二人の殴り合いは始まった。

その様子を見る気分でもないので、イルーゾォは今使ってる装飾の美しい鏡を手に持ち、外でゴミを集めていた。

鏡の向こうで聞こえる言い争いにため息をつきながら。










「この馬鹿がッ。
そんなエネルギーがあるなら、やれそうだよな!もっと任務を増やしてみるか!!」

「誰のせいだと思ってるんだ!!
オレは、認めねぇぞ!このド変態のトンビ野郎!!」

「何を言ってやがる!!こんなに散らかして!!
誰がいつも片付けてると思ってんだ!!!!
貴様は何もしてねぇみたいな涼しい顔をしやがって!!

この年中発情期のビーバー野郎!!」

「んだとコラ!!
初対面でテメェが人のツラぶん殴ったから、前歯がグラついたのを忘れてやがんのか!!

テメェのツラをアザとコブだらけにして、アイツの100年の恋も冷まさせてやる!!」

「何だか分からねえが、やれるもんならやってみろ!!!!!!

それにあの時貴様は、俺の顎にヒビを入れた挙げ句、肋をブチ折り、首を絞めて、火までつけただろうが!!!!」








この殴り合いは長い間続いた。

自分の能力が続くうちに終わってもらわないと、アジトが崩壊するか、ご近所に迷惑がかかる。

そう思い、いよいよイルーゾォが肝を冷やし始めた時に、リゾットがコンコンと鏡を叩いて終わりを告げた。






「『マン・イン・ザ・ミラー』、二人を外へ。


…大変だったな、リーダー」


二人はお互い衣服がひっぱられたせいでボロボロになり、髪の毛はグシャグシャになっていた。
今日は若干リゾットの方が被害が少ないようだ。

リゾットは脇に抱えた酔いつぶれたプロシュートを、傾いたソファーに放り投げる。

あんなに暴れたくせに、当の本人は天使よりも美しい寝顔で眠っているのだから、憎らしさが増してやまない。

なので、もう一発だけ拳骨をくらわせようとしたら、プロシュートは眠りながらもリゾットの拳を受け止め、逆に右ストレートの強力な拳を繰り出してきた。


それを避けながらも、コイツは寝たフリをしてるのかと見ても本当に寝ているのにあきれ果ててしまう。

もう自分が抑えるしかないと、リゾットはグッと我慢をした。

そして、その二人の姿に、イルーゾォは改めて、この二人にマジで喧嘩を売ってはならないと心の中で呟く。







腹がたつ程に安らかな寝息を立ててるプロシュートに目をやるリゾット。

目頭に指を押さえて、再び大きなため息をついた。




「はぁ、恐ろしいヤツだ……、日々新たな殺人技を会得しやがる………。

特に今日の絞め技はキツかった………。
ヤツの酔いが回って途中でひっくり返らなかったら、結構危なかったな……」

なぜ、あんなに酔っても全然支障がなかったのかと感心もした。



「お前も、しばらくヤツが苛ついた時は逃げた方がいい………アレはきつい……。

多分ヤツは、しばらくあの技の実験台を何かにつけて探すだろうな………」

「マジかよ、リーダー。
オレ、コイツに近寄らないでおくわ…ッ」























その後、プロシュートは酔いつぶれたままソファーで眠り、何があっても起きようとしなかったが、アマーロがやって来るとムスッとした顔で起き上がった。






「…なぁ、シュガーマグノリア。

本当にヤツがいいのかよ………」

二日酔いの薬をもらったが、んなもん必要ねぇと涼しい顔をし、プロシュートはアマーロにどうしても確認したかった事を聞く。



「え!?

…もしかして、あたしのせい……?

この前リーダーさんに恋したかもってアレ………?
さっきお兄ちゃん荒れてたのって……?」


「おい、質問に質問で返すんじゃねぇぜ。




………だから、どうなんだ」

プロシュートのすっとぼけたらブッ飛ばすという真剣な目付きに、ヒヤヒヤしながらも、アマーロは視線を真っ直ぐにして、見つめかえした。








「うん。
あたし、あの人がいい。

後悔しない。

いつかそれで死んじゃっても」









その揺るぎない目にプロシュートは表情を少しだけ緩め、大きなため息をはいた。







「覚悟は出来てるようだな………。


はぁああ………ッ、クソッ、折れてやるよ。
好きなだけアタックしてこい。
許してやる。
(五十発でも足りねぇな)


オレの勘じゃ、アイツもお前に満更じゃねー筈だから、諦めなけりゃ、いつか上手くいくだろうぜ…………」







「!!

あ、ありがとうお兄ちゃん!!」





















「………という訳でだッ」





プロシュートはどこから出したか分からない大量の重火器と暗器をバラバラ出すと、アマァ―ロの前にそれをズラズラと並び始めた。





「え…………?

あの、コレ?
どういう事?」


何が起きるのか、それは誰だって理解不能なはずだ。


目を真ん丸くするアマァ―ロを横目にプロシュートは、デザートイーグルを撫で廻し、それをバンと撃つ真似をしながら不適に笑う。












「リゾットの……ギャングの野郎に釣り合いてぇんなら!嫁になりてぇんなら!!強くならねぇとな!!!!

今日から本気で戦い方を教えてやる!!」







大変だ、これは実に大変な事になったんじゃないかとアマァ―ロは思った。



だが、リゾットの足手まといになりたくないと思い、なんとか気を取り直し、
「…うん!あたし頑張る!」
と強く返事をした。










それも、数分後に彼女は強烈な泣きの眼を見る事になったが…………………。



































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という訳で、アンケートに兄貴が入ってたので、兄貴夢のつもりで書きました。
とりあえず、うちの兄貴はこんなヤツだと大体書けたので個人的には満足です。

アンケートご協力ありがとうございました!

イルーゾォに入れてくださった方がいたので、せっかくなので彼も出してみましたが喜んでいただけたら幸いです。

まだ本編では登場しませんが、イルーゾォはヘタレだけど結構頼りになる有能な男にするつもりです。





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あきゅろす。
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