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隣人はおホモたち2
「ギョッ…







ギョワァアァアァアァアァアァアァアァアァアァアァアァアァアァアァアァアァアァアァアァアァアァアァアァアァアァアァアァ!?」











「どうしたのっ!」


引っ越してから数日後のこと。

ジェラートは突然真夜中の静寂を切り裂いた相方の悲鳴に天蓋付きダブルベッドから飛び起きて悲鳴の聞こえた洗面所へと駆けつけると、そこにいたのは強面の顔面を真っ青にしたチュチュア○ナのピンクのネグリジェを着たソルベで、彼女は腰を抜かしてアワアワと天パってるところだった。


「ちょっと!
どうしたのよォ?ソルベェ。
大丈夫?」


「あああっ、ジェラート!来てくれたのねっ!


私ここが怖いわ!












だって!ここ、幽霊がいるのよーー!
私見たのよぉおおーーーッ!」

「…は?」

大号泣しながらソルベは主張した。
数日前から気のせいだと思いながらも、何かうっすら気配がしていて時々自分を刺すような視線を感じていたのだと。

「見られてるってねぇー。
アンタ、自分で言うのもなんだけどいると思うの?アタシ達を見たがるそんな物好きが。
単に引っ越しの疲れで気のせいに決まってるわよぉ」

「嘘じゃないもん!ホントだもん!!
ホントにトト○はいるんだもん!


じゃなくて、私さっき見たのよぉ!
私が洗面所でお水を飲んでてふと鏡でムダ毛チェックしてたの、

そしたら、


鏡ごしに、

いたのよ、











すっごい沢山の目玉が私を睨みつけてたのよォーーッ!」

そういうと、ソルベはますますヒートアップしていきスマホを出しながらワアワア泣きわめく。



「もう嫌ァア!アタシ大島てるに書き込んでやる!
私らがなにやったってんのよ!


わたしんちっ、おっばけやーしきーー!!」



「はぁ、
アンタ…案外余裕あんじゃない」

カンター!と一瞬謎の老婆の空耳が聞こえつつも、幽霊が怖いとパニックになるソルベを横目に、見た目が細男のわりに現実的なオネエでもあるジェラートはもっと幽霊よりありえるものが頭に浮かんだので、とりあえずソルベをよっこいしょとソファに座らせてやるとこう言った。

「ソルベ、落ちつきなさい。

冷静になんなさいよ。
あのね、思い浮かべなさいよ。

幽霊はいないけど、もっとそれに似ていてアタシ達には触れて見えるありえる物がいるじゃあない。
きっとそれならありえるわ。

思い出してよ、







『スタンド使いは、スタンド使いにひかれあう』

…でしょ?

ならアタシ達も対抗出来るじゃないの。










ーアタシ達のスタンドで」

そうジェラート的には最高にキメた表情でドヤ顔をすると、このオネエはドヤ顔で言った。


「アタシ達は監視されているッ!!」
と。








ピーチ・ジ○ンの黒い上下の下着に上はスケスケネグリジェのいまいち緊張感が欠ける格好でッ!












(まあ…見た目はグロいが、害はねえようだな)

グレフルの目を通して隣人を見ていた兄貴は閉じていた瞳をゆっくり開くと、隣室から帰ってきたグレフルをいそいそとしまいこんだ。




(ようやくそこそこマトモな奴らがきたか…)

そう伏し目がちの傍目には憂いに満ちた麗人の表情で、彼は隣で自分の服の裾をギッチリ掴んで眠る妹の頭を撫でてやる。

この部屋の防音は完璧だ。
そして隣の部屋の防音も完璧だ。

そうなってるのだから。
何が起きても気づかれないように。

変なヤツらはお断りだ。
妹はまだ小さいのだから妙な影響を受けてほしくない。

兄貴は妹を大事に大事に世話してきた。
それは並大抵でない、それこそ命を何百回失いかける苦労をしたまでに。

今から遡ること数年前。
兄貴は決心した。妹を育てよう立派なシニョリーナにして嫁に出そう、と。







「ビェェエエン!!!ウェェエエエエエン!」

「……ったく、あのクソ両親め!育児放棄しやがって!!」

眉間に怒りの青筋をたてた若き彼は、自分達への養育費を払わせる為に両親をマグロ船と寮付き工場へ強制送還すると、これからは二人で生きていくと心に決めた。

ビービー泣く妹アマーロを背中におんぶ紐でくくりつけて、あやす為にガラガラを振る姿はなんともいえないシュールさで、一見ジゴロに見える美青年ゆえに、彼の姿を見たものは『え!?』と目を見開いたものだ。

親から仕送りを強制的にさせたものの、兄貴は自分も働かねばと決めた。
妹の結婚資金と自分の老後の為に。

ホストでもすれば顔も美しく演技力も巧みな彼なら余裕で儲かるはずだったが、

「うぇえええっ、お化けがでるよー!トイレついてきてェエ!お兄ちゃーん!」

「いる訳ねえだろ!そんなもん!!」

真夜中に一人で甘えん坊の妹を残しておくのは絶対に避けたかった訳で。

そこで選んだ仕事とは…。









「タフな男よ…ちっぽけな根性が実にタフだ…!

これまで我が現場の神砂嵐で生き残ってきた人間はあのジョセフ・ジョースター以来2人目となる。
ここまでのお前の根性を買ってやろう。
望みを言えいっ!
お前の好きな場所を住処としてくれるッ!!」


そう言ったバイト先のその1の工事現場、褌一丁を気高くなびかせる現場監督のワムウは砂嵐を駆使しながら立派なアパルトメントをあっという間に建ててしまうと、ここに住むのだ、お前の分は分譲だから家賃はいらぬ誰もお前達を追い出しはしない…と、太っ腹にもそう言い放ったのだ。

ちなみにこの現場監督との繋がりで知り合ったのがジョセフ・ジョースター。
ワムウから兄貴の働きぶりを聞いた彼からジョースター不動産の内定をもらったが、リゾットの便利屋企業に付き合って蹴ったのはその後の話。

バイト先その2の炎の工場長褌魔人エシディシも
「オレも今子育て中でなぁあァア、見てくれ俺の待合。サンタナというのだ、可愛いだろう?」
と話をしたのを皮切りに、事あるごとにやたらとグツグツのシチューをお鍋いっぱいにおすそ分けをしたてきたり、妹と行って来いと
「最終的にモフモフすればよかろうなのだァアーー!」
とモルモットやウサギの触れ合いコーナーにて叫ぶロン毛に褌姿の園長がいる動物園のタダ券をくれたりと妙に世話を焼いてきたので、死にそうな目に幾度とあいながらも兄貴は働いた分だけ貯金をガンガン出来るようになった。
それは良かった。



だが、兄貴の悩みの種は隣人の引きの悪さでもあった。

幼いアマーロに変な知り合いが出来て、言葉遣いが悪くなるなどおかしな影響を受けてほしくなかったのだ。
普通の、極めて普通の人間が引っ越してくればいい。
そう思ってたのに、これまで2人の隣にやってきたメンツときたらロクなもんじゃなかった。
ある大学生は部屋に女を連れ込み、部屋の入り口の前で長時間イチャイチャして傍目からしても目に見える公害で、ある日兄貴はアマーロから
『ねー、ゴムってなあに?お兄ちゃん。
あの隣のお兄ちゃんがね、あたしが買い物いくから、ついでにゴム買ってきてって言ってきたのぉー』
と聞かれた瞬間に兄貴の脳の血管は瞬間沸騰して、アマーロがいなくなってすぐに隣室へ飛び込むと彼女といちゃつく大学生を己の鉄拳でぶちのめしパンツ一丁のまま追い出した。

またある涙目のチンピラは、あろうことかたまたま鉢合わせたアマーロにチョコレートだと騙してハッパを吸わせようとしたので、怒った兄貴はグレフルで隣室のドアをぶちやぶり、ハッパを全部ヤクザの上の口と下の口にあるぶんだけ突っ込んで窓から外へ放り投げた。

そんなろくでもない人間ばかり。
そのたびに彼らは怒り狂った兄貴を恐れ、窓をぶち破って逃げ出す光景も珍しくない出来事となって、ワムウからの口利きをされてた警官と大家はスルーしていた。

そんな経緯で、兄貴は隣人が引っ越してくると数日間グレフルを使って厳しくチェックをするようになったのだ。

そして今現在。
兄貴の目からしてソルベとジェラートはまあ合格点にいたっていた。
2人は完璧に内面は乙女であるし、部屋も乙女一色で、アマーロを邪な目では見ないだろう。
なんと言っても、2人が引っ越しの挨拶に持ってきた蕎麦が美味しかったので、美味い食い物を持ってくるやつに悪い奴はいない。それが兄貴の持論だった。


(まあ…あれなら、追い出す必要もねえだろう)


そう思うと兄貴はよっこいせとベッドに横たわると妹を抱きしめて眠りについた。


ついさっき起きたソルベの幽霊騒ぎ以来、そろそろ潮時だろうと兄貴はグレフルの監視をやめることにした。
ソルジェラはギリギリ見逃してもらえたのだ。













ーあの時までは!

アマーロがソルジェラの部屋のピンポンを鳴らすまでは!












H.30 1.18
お久しぶりです、なかなか更新出来なくて申し訳ありませんでした。
今日のはリハビリに挑戦中のお話。
次で終わる予定です。
遅筆で申し訳ありませんが、少しずつ完成してない話を削ったり直してゆっくり進めてくので、生ぬるく見守ってくださるとありがたいです。


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