隣人はオホモたち1
繋がってるか繋がってないかの昆布だらけのパラレル世界。
今回はアンケートにお答えしてソルジェラ登場!
【人物紹介】
兄貴
男も女も振り返る芸術的美青年だが、中身は老人寄りのオッサン。好物は乾き物と愛する桃子が作ってくれたオニギリ。日課は早朝5時の老人だらけのラジオ体操、好きな番組はためしてガッ○ンと今○の健康。
妹を育てるにはバイトを増やさねばと16才の頃に決心する。
アマーロ
兄貴の年の離れた妹。泣き虫でへたれに見えるが尻百叩きをされても意見を曲げない頑固者で、兄貴の妨害に負けずにリゾットと交際中。主なデート先はブチャラティのケーキ屋。
怖いパンはコロネ。マイブームはおかゆ作り。
彼女をビェェンと泣かせるとあっという間に兄貴が駆けつけてくるので注意!
ソルベ
オネエさん・その1
剃りきれないジョリジョリ髭がコンプレックスの強面系ふんわり乙女で一人称は『私』。
幽霊が怖い。
下着はチュチュアンナ派。
ジェラート
オネエさん・その2
見た目優男ながらしっかり者、一人称は『アタシ』。意外と現実主義。
下着はピーチジョン派。
乙雅三
不動産屋。
ワムウ
現場監督。
エシディシ
炎の工場長。
カーズ
動物園園長。
ぼす
レぬ。
桃子
働きづめだった兄貴がようやく見つけた癒し。
それはアマーロが小学生の頃の話である。
-Let's Go!
とある晴れた日。
二人のおネエ、ソルべとジェラートは両手を組み合って新しい我が家ドリームにキラキラしていた。
下見にきたのだ、なぜか背中を見せない不動産屋の案内をされて、あるアパルトメントへ。
「あっら〜、思ったより小綺麗なアパルトメントねー」
「あの窓枠、形が可愛い♪ねえ、ジェラート、あそこに鉢植え置きましょうよ。お花いっぱいにしたいわァ」
「二人の愛の巣にピッタリねぇ…!」
「あ、あのう…。相当お気に入りのようですが、いかがですか?」
「「ここにするわッ!!」」
「ええっ!まだ一件目ですよ!いいんですか、そんなアッサリ決めてッ」
「ビビッときたッ、それだけ!」
「なんたって、ココは社会人ラグビーチームの練習場もあるし、スポーツジムに……男子校もある………素敵な男スィーがいっぱい拝めるじゃない!
わかんないのッ!アタシ達にとって最高の立地だって!
ここにするわァッ!」
血走った目で尻をワサワサする動作を高速で繰り出すおネエもとい野郎二人に囲まれて、乙雅三は心底恐怖した。
そりゃあ背中を覗きこまれるくらいに。
「…それでは契約書確かにいただきました、これは鍵です。
それで…あの…すみません。一つだけ
注意が…」
「何よ、アンタはっきりしないわね」
「ちゃんと言わないとソルべとアタシでアンタを挟んでチューするわよッ!」
「ひぇええ!言います!言いますよぉ!
お隣は孫と二人暮らしのご老人でして、なんでも娘夫婦が亡くなったから引き取って育ててるとか…こんなこと言うのもアレですが、かなり…気難しい方だから…気をつけて欲しいんです…」
「なぁに、大丈夫よォオ〜。アタシたち変な人には慣れてんだから」
「でも…。
あの、怒らせないよう気をつけて下さいね!!
今までそう言ったチンピラもヤクザも大学生も泣きじゃくりながら、自分の部屋の窓をぶち破って脱走したんです!
僕、もう壊れた窓ガラスも吹っ飛んだ扉もボロボロになったレンガ壁を直すのも懲り懲りですからァ!」
「「…え?」」
「やだ…どうしよう、ジェラートォオ。うっかり先にサインしちゃうんじゃなかった」
「仕方ないわよぉ。可愛いわりに家賃が妙にこの部屋だけ安いと思ったけど、そんな理由だったとはね」
「それに不動産屋さん、どうしておじいさんを追い出さないのかしら。聞いても言葉を濁してたし気になるわね」
「まあ…アタシ達まだ知り合いも少ないからうちでパーティーしないし、そんなテレビもみないし、足音だって職業柄静かじゃない?
とりあえず、スキ見せないで静かにして、あまり理不尽なこと言われたら証拠まとめたり対策を考えましょ」
「そうねぇ…。まあ殺人事件があってお化けが出るよりはマシと思えば…」
「ソルべ、お化けが怖いもんねぇ〜ウフフッかわいっ♪
ねえ、トイレから手がニュッって出てこないといいわねぇ」
「もう!やめてよォ〜、寝れなくなるじゃないッ!ジェラート、一緒に手を握って寝るのよ!約束だからッ!
…それにしても、扉がもげたっておじいさん何者かしらねぇ」
「すごいマッチョなのかしら」
そんな不安もありつつも、数日後二人のおネエはそのアパルトメントへ引っ越してきた。
お部屋をどうカスタマイズするかキャーキャーしながら、フランフ○ンで散財し、ダイエットグッズの置き場で揉め、テーブルはお花で飾り一休みと近くのパティスリーで買ったコロネとケーキを食べながら店長の息子が素敵だオカッパ頭が可愛いと盛り上がりつつ。
そして入口に
『セールスと女子はお断り!!』
と看板をひっかけている時だ。
カツカツカツ…。
甲高く世話しなく響く靴音が聞こえたのは。
「あら!!
ねえ見てソルベ!
すごいいい男よォッ!!」
「え!どこッ!!」
ジェラートの指差す先を見れば、下の階の通路を歩く若い青年がみえた。
彼は金髪に青い瞳がきらめくアランドロンにも負けない色男で、そのわりになぜか泥まみれの作業着と安全ヘルメットにツルハシという格好をしていたのだが、それでも二人がこれまで見た男の中でも飛び抜けて美しい男に変わりはなかった。
「「キャーーーーーーーーーッ!!!」」
二人のテンションは最高に上がった!
なんたって彼等の引っ越しした理由が近所の男スィー達とギュッとしてギュン!!し過ぎて大家から追い出されたせいだッ。
「もしかしてここに住んでるのかしらッ!」
「お兄さァああん!こーんにちーはーー!!」
二人が呼び掛ければツルハシを肩にかついだまま青年は、ソルべとジェラートのいる二階へと顔をあげる。
その顔に見合わない服装をしてるが、確かに素晴らしい美形に間違いない。
美しい男に弱い二人はお近づきになりたいと頬をピンクに染めて手をブンブン振った。
「私たち!666号室に引っ越してきたばっかりなんですゥーー」
「お兄さんもここに住んでるんですかァアーー!」
青年は返事をしなかった代わりに、華やかにニコッと笑うとツルハシを片手に上げて挨拶をするようにして去っていった。
「ジェラート!私、ここにきてよかったワァ!!」
「アタシも同じ気持ちよ!ソルべェ!」
ピンポーン。
二人は興奮気味にキャアキャア話ながら荷物をといてると、隣のインターホンが鳴った。
「あら?帰ってきたみたいよ!
隣のおじい様」
「どんな方か見てみましょうっ」
「おかえりなさぁああい!」
「ただいま、アマーロ。いい子にしてたか?」
「うん!うんっ、ちゃあんと洗濯物も畳んで、お風呂もいれたよー」
「さあ、おいで。
私の天使、キスをさせてくれ」
「キャー、くすぐったいよォ!」
…バタン。
「「うーーーーーん………………っ」」
隣の様子をみると二人はそうっと扉を閉めて顔を合わせた。
「うーん、普通のおじいさん…かしら?
特にガタイがいいって訳じゃあないし」
「優しそうよね。お孫さん抱っこしたの見ただけだけど」
「ね!お孫さん可愛い子ねぇ〜!
目が真っ赤でフワフワのプラチナブロンドでウサギさんみたい!
あんな子なら確かに手元に置いておきたいわァア」
「あの人なら変な人じゃないわよ。きっと今までの人がしょうもなかったのよね」
「そういえば、おじい様のお名前なんて言ったっけ……?」
「えーとねぇ…
…プロシュートさんっていったわよ」
それから数日、隣人が色々不思議だと思いつつも、ソルべとジェラートは引っ越し初日に見かけた美青年の様子をチェックしていた。
いつも大体決まった時間に帰ってくるのはわかったが、いつ彼が家を出るのか分からない。
どの部屋に住むのかもわからなかった。
彼がその甘いマスクに反して土方姿や煤まみれのツナギを着ているのは分かったのだけど。
何としてもお近づきになりたいと話しかけようとしても、姿をいつの間にか消してしまってダメだった。
「うう…。どうして追い付けないのかしら」
「あさこまで良い男、この辺りにいないのに」
あんまり詮索はよくないもんだ。
深淵が見つめ返すもといホイホイ危ない目にあうものだから。
運命はそう遠回しに言ったようだ。
…その数日後!
ソルジェラは今までの住人と同じく窓をぶち破って(しかも踊るマハラジャ並みの華麗なスピンしながら)部屋を飛び出すことになるッ!!
甘い甘いカンノーロよりも甘かった!
うっかりあの妹を溺愛する兄貴の隣に引っ越してしまったのは!!
→To be continued.
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クリスマス前なのに妙なテンションで上げました。
ソルジェラが案外好評なので、彼らをガッツリ動かすのはコッチかなと思ったのです。
ゴーストストーリーもきっちりさせねば…。最近中途半端に上げて申し訳ない。
それにしても兄貴ん家の隣に引っ越すのは幸せだけど恐ろしいでしょうね。
H.25.11.24
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