今夜はEat It!(暗チ)
※注意。
パールジャムの能力をいい加減に都合よく使ってます。
メローネとギアッチョの扱いもひどいです。
「やべぇ…。オレ、こんな顔色、いいリーダー見たことねぇよ…」
「うわ!リーダーから後光が射してる…ッッ!」
「すっげぇ!これ天使の輪!!!!?髪の毛すごい艶々だぜ!」
「えっ、何。
フルコース食べてこうなったのか!
すげぇな、その料理人!
どこだ、そこ!
教えてくれ!!!」
「………………………………。
(俺はそんなに不健康に見えるのか……)」
「げ、元気出してリーダーさん…。
…って、あ。もう元気だった…!」
もみもみもみ……。
ここは暗殺チームアジト兼リゾットの自宅。
『マイ・ファニーバレンタイン』も終わった数日後の話。
もみもみもみもみ……………。
「リーダーさん。
いつも心配事ばかりで、仕事の命令も突然来たりするでしょ?
だから、私リーダーさんに美味しいもの食べて元気になって欲しかったの」
ただ今、リゾットは絶賛癒し中。
それはアマーロが肩を揉んでくれてるから。
任務から帰るとしてくれる肩もみは、リーダーさんを癒すんだ!と甲斐甲斐しく走り回る、彼女の誇りとする『奥さんの勤め!』らしい。
『おいし?』
『…ああ、旨い』
『良かったぁ(パァアアアア)』
『奥さんの勤め!』は色々ある。
アジトをいつもさっぱりさせる。
リゾットがよく眠れるようにベッドの寝具は全てフカフカに。
玄関でのハグしてチューの熱烈歓迎。
手をひいてリビングに連れていき熱々の出来立ての食事をだしたり。
それをリゾットが黙々と美味しそうに噛み締めてるのに、正面に座り頬杖をつきニコニコして見つめてきたり、まぁ色々だ。
たまにスプーンを出して、
「はい、あーーんして」
と言ってくるのに、リゾットは内心冷や汗をかいたりするが。
彼は、それを目にしたプロシュートが『いいご身分じゃねえかクソ野郎ッ!!』からのチキン・ウィング・フェイスロックか『テメェは頭巾じゃなくて墨まみれの蛸がお似合いだ!』からのデスバレーボムを狙ってないか、警戒してるのだ。
とはいえ、そんな理由で迷った彼が黙っていると、アマーロは有無を言わさない笑顔で、リゾットの口にスプーンを思いきり突っ込んでくる。
好きな相手はガンガン攻めまくる。そんな所はプロシュートもアマーロも兄妹揃って一緒らしい。
その後、風呂から出れば、彼女はいつも肩を揉みながらリゾットを労り、色々他愛ない話をしてくるのだ。
『ギアッチョがね、またクルクルパーマが治らないってストレートパーマ液放り投げてお風呂場で怒ってたの。
そこにあったイルーゾォ君のシャンプーもグシャグシャにしてね。
イルーゾォ君ショックを受けてたわ……。
あれ特注なんだって。イルーゾォ君、いつも髪の毛綺麗だもんね。
ギアッチョも何であんなに自分の天然パーマ嫌いなんだろうね。
あのまんまでいいのに。ううん、サラサラのギアッチョなんて想像出来ないよ。
前アイロンかけるの手伝ったんだけど、あんなに引っ張ってもクルクルクル…バチン!って戻っちゃうの。すごくクセがあるんだよっ。
髪っていえば、数日前ペッシ君がね、寝癖が酷くて髪型がなかなかキマらないって泣きそうになってたの。
だから、私、梯子出してペッシ君の横に立って髪の毛が固まるまで持って押さえてたんだよ。
おかげで腕が痺れちゃった!
…けど、すぐお兄ちゃんから拳骨されちゃって、もぐら叩きみたいに髪の毛がつぶれちゃったんだけどね。
だからもう一回手伝ったわ。
…そうそう、この前お兄ちゃんがまた逆ナンパされてたの…でね、いきなり私の肩抱いてね
『オレァ子持ちだぜ?
似てるだろ?特に睫毛』…
って突然言ったの!?…………私びっくりしちゃったよ!
…そうだ…リーダーさんは猫派?犬派?私はメタリカちゃん派!
……ね、カーテンの色は緑と水色どっちがいいだろ?
緑の方が安いんだけど水色も捨てがたい色なんだ……あ、でも緑がちょっとメロンっぽい色だから…………やっぱり水色かなぁ……
……明日のテレビ面白そうなんだよ。
ね、いっしょに観よう!……』
こんな風に小鳥のお喋りのようにパチパチと色んな所に飛ぶ話に、リゾットはポツリポツリと相づちを打つ。
不思議とやかましいと思わない。
ただまったりして、肩から抜ける力に彼はほっと息をつく。
今日もそうしてリゾットは話を聞きながら、癒されまくりの和みまくりだった。
彼女は妙にマッサージが上手い。
なんでも、老人モード時のプロシュートの厳しい教育の賜だとか何とか。
「そうか……。
お前にはいつも心配かけてしまって、すまないな…」
「ううんっ、いいの!私、リーダーさんのお世話するのが好き…目指せ通い奥さんだから!
ね、どう?
肩、少しは楽になった?」
「ああ、大分軽くなった…。
それにしても、あの料理は確かに素晴らしい効き目だったが……あの肩がえぐれたり涙が止まらないのが…な……。
お前はよくアレが平気だったな」
「うん。びっくりしたけど、大丈夫。
リーダーさんが元気になれば、過程や方法などどうでもいいのだーなの。
ね、そろそろホルさん達帰ってくるね。
私、あのご飯食べて、どうなったか気になるの」
「ああ、アイツらも行くと言ってたな、そういえば…」
「うん。今日はホルさんとイルーゾォ君だったね。
お兄ちゃんたちも別の日に行くって。
でね、私、ギアッチョとメローネが気になるの。
夜更かし良くないのにやめないんだから!それにジャンクフード食べ過ぎだよ、あの二人!」
「帰ったぜェエー」
「ただいまぁー」
その声に皿を片付けたリゾットと一緒に扉を開ければ、ご機嫌なホルマジオとイルーゾォが現れた。
頬がほんのり染まっていて、どうやらほろ酔い気分のようだ。
彼らも先日のリゾットとアマーロと同じく、肌がむいたゆで卵のようにピカピカになり、絶好調の様子だ。
「…ご苦労だった。
二人とも」
「おかえりなさい!イルーゾォ君、ホルさん!
どうだった?」
そう言ってリゾットとアマーロが互いに交代で、二人に挨拶のハグを交わし、ホルマジオはヘッへッへとリゾットへの酒を渡し、イルーゾォはアマーロにトニオ特製プリンの箱を渡す。
任務も無事に終わり飯は旨かったのもあり、和やかな雰囲気だった。
「ああ、旨かったな!最高だぜ、すげぇな。ありゃ!
イルのヤツは胃痛がなくなったっつーし、かくいうオレァ、
長 年 の 水 虫 が一発で治っちまったぜ!
」
和やかだったのだ。
ホルマジオがこの水虫発言をするまでは。
エッと顔を合わせるリゾットとアマーロ。
そしてイルーゾォはハッと顔を青ざめ、ホルマジオに向き直る。
「…!ホルさん、アンタ今なんつった!水虫!初耳だぜそりゃ」
「ハッハッハ!だーいじょうぶだ!チーム全体にゃうつってねぇ!
オレがたっぷり足を擦り付けた足ふきマットも、共同の仮眠部屋を裸足で歩き回ってても、それを踏んでるのはオレと任務かぶるオメーくれえだよ」
「!!!!?
うっ………!ふぁあああーーッッ!嘘だァアア!水虫なんて許可しないーッッ!!!
オレの足がぁああ!水虫菌の住処にぃいいいィイイイイイーッッ」
泣きながら走り去るイルーゾォ。
「ああ待って!」
そう呼んで追いかけたが、イルーゾォは真っ先に浴室の鏡に飛び込み姿を消してしまった。
「ヘッへッへッ、騙されてやがる。
ったくイルーゾォはおもしれぇなー」
「…程々にな、ホルマジオ。イルーゾォが気にして次の任務に差し支えがあったらいけない」
「わーってるってリーダー!
今から嘘だって言ってくらぁ」
そうは言うものの、鏡越しからイルーゾォをなだめるのは全員揃っても苦労した。
いくら身体の悪い所全部治す料理なんだから、仮になっててもイルーゾォもその時治ってると言っても。
また、しばらくイルーゾォは風呂場で血の滲む勢いで足の指の間と足の裏を軽石でこすりまくったり、挙げ句には水虫菌を焼き殺すと殺菌灯に足の裏をジリジリ焼く荒行を繰り出し、長いこと水虫の恐怖を引きずっていたそうだ。
…数日後。
「リーダー、今帰りやした!」
元気な声で帰ったのはペッシ。
今日の彼はやけに背筋がピシッとした立派なヤシの木ウドの木だった。
その時のペッシは変わらないように見えた。
…見た目だけは。
「ご苦労だった。
怪我がなくて何よりだな。
プロシュートは駐車中か?」
「そうっす!兄貴のいつもの場所に停めてた野郎がいたみたいで、シメにいってやす!」
「…………そうか(俺はまた近所に謝罪しにいかないといけないのか…)」
心なしか暗くなるリゾットの表情。
彼は今日プロシュートが持っていた凶器は何だったかを思い出そうとし、いや、プロシュートは素手さえも凶器だと気が遠くなりそうになった。
それでもリゾットが気を取り直して、ペッシへ部屋に戻っていいと言おうとすると、バッと出されたのは書類の束と小型カメラ。
リゾットが「え?」という顔をすれば、ペッシは待ってましたとばかりにハキハキと口にする。
「コレ証拠写真と報告書!先に出しときやす!
現場の口止めと警官への手回しも終えたし、本部へ報告も伝えたので、後はリーダーの最終確認だけですから、もし訂正があったら、すぐ呼んで下さい!
何回でもオレ直しやす!」
心なしか顔も凛々しい。
普段とはまるで別人だった。
(これはあの料理の効果か…)
リゾットは内心であの料理人に感謝したくなった。
このパイナップルのマンモーニぶりに兄貴同様、手を焼いていたので。
仄かに暖かみの混じった声で、よく休めと言うと彼はご近所への謝罪がてら任務へ向かう為出掛けていった。
そしてリゾットと入れ違いにやってきたのは、
「おかえりー。
ペッシ君!」
アマーロだった。
彼女はいつものようにペッシに近寄り、ハグをしようとした。
いつもならペッシは真っ赤な顔で照れながら、恐る恐るハグを返してくる。
だ が、
今日は違った。
「ね、どうだった?
美味しかっ「女子は黙ってろォオオオオイッッ!!!!?」
爆発した大声。
カァッと目を見開く顔!
シャゲェーーとする威嚇のポーズ!
「きゃあ!!!!?」
あのペッシが、あのビビりのペッシが、クワッと表情を変え、目を吊り上げ、ドカンと咆哮したのだ!
「…びっくりしたぁ…っ、ペッシ君急に大きな声出しちゃってどうしちゃった「じょぉおおーしは黙ってろぉおおおおオオオオ!!!!」
何だか分からないが怒るペッシを宥めようとアマーロは近付こうとした。
だが、またクワッと彼は肌を逆立てたのだ。
「なんで…?なんで、女の子は黙らないといけないの…」
と戸惑いながら聞けば、フフンと鼻を鳴らしペッシはドヤ顔をして、こう答えた。
「女は格下なんだっ!体力もねえし、うるせえし!
女は男の後ろを歩く!!!!女は男の言うこと聞かなきゃならねえし!男より早く寝ちゃならねえし、男より早く起きて飯を作って、尽くすもんなんだ!
女が男より先に口出しちゃならねぇええええ…
「こんのっ!!!!?クソパイナップルが!!!」
うげぇーーーーーー!!!!?」
何事か人が違ったようにマシンガンで暴言吐きまくりのペッシに、ますます混乱するアマーロ。
だが、ペッシは突如己の脳天に落ちた強烈な打撃に、目から火花が飛び出させて、地面に顔から叩きつけられる。
その正体は固く握りしめられた拳。その長い指は、拳を固める前は完璧に整い、花や宝石を持つのが最も映える。
が、拳になったが最後それは凶器と化し、壁に穴を空け、相手の内臓を爆発させる。
そんな容赦なくブチ落とされた鉄拳は、本気ではないにしろ強烈な一撃だった。
(本気ならばペッシの頭蓋骨は粉々になる)
握った拳はブスブス煙が出てるんじゃないかと凄まじい威力だ。
パイナップルヘアーをグシャリと潰し地に伏すペッシ。
そして、その巨体の後ろから怒りにわなわな震え現れたのは兄貴。
リゾットが心配したように、片手には土のついたスコップ。
アマーロはペッシがこのスコップで殴られなくてよかったと、どこか見当外れにほっと息を吐いた。
ちなみにこのホームセンターで買ったスコップで、一体何を埋めたか聞いてはならない。
「テメェッッ!!オレの妹に!いや、女に!なんて口きいてやがるッッ!」
「ぐふっ!!!!うう〜ごめんよー兄貴ぃいい」
「謝る相手、間違ってんじゃねえのか!ああっ!!!」
「うっ!オレは間違ってねぇよぉおお」
「ああん!?オレに口答えするのか!!!!?
いい度胸だクソ野郎!
いっぺん地獄に堕ちてケルベロスのクソになって生まれ変わりやがれ!!!!ママッ子野郎のクソパイナップル以外にな!
(※地獄ではケルベロスに喰われては排泄物からの再生、喰われては再生ひたすら繰り返しの罰があるらしい)」
ゴォオオン!!!!
「ああっ!ペッシ君!」
ぴくぴくけいれんして頭にピーチクパーチクひよこと星をキラキラ回すペッシ。
そんな頭を兄貴はガンと容赦なく踏みつける。
ペッシは小さく呻くとガクッと気絶した。
「すまねぇな、シュガーマグノリア。
コイツ、あの料理人に
『君は少し自信をつけるべきですねぇ』
なんて言われて、出されたアラビアータを食ったら、ずっとこうなんだよ。
ったく……ッ!しょうもねえ野郎だッッ」
「あれ?
お兄ちゃんもあのコックさんにみてもらったんだよね。
何も変わったように見えないけど…」
「ああ、オレか?
それはな………」
『からっ!辛いけど…うまっ!
あ、ああああ、兄貴ィ!なんだか体がポカポカしてきたよ!強くなった気が…してきた!!!』
件のリストランテにて。
時間はついさっき。
『日本の九州の有機栽培で作った鷹の爪を使いました。
唐辛子のカプサイシンは血管を広げて血液の循環をよくして、体をポカポカ温める効果がありますからね。
少し、効きすぎるかもしれませんが、イタリアは寒いですからね。問題ないでしょう』
プロシュートはトニオからそんな解説を聞きながら、機関車よろしく耳から煙を出し、拳を握って力む弟分に何だこりゃと横目で見ていた。
『さて…貴方はどうしましょうか…………』
人の良さそうな笑みでプロシュートを一望するトニオ。
だが彼はすぐに感動した様子でハッと息をのんだ。
『おうっ!!!!?貴方素晴らしいですね!
私、こんな完璧に健康な人を見た事ありませんよッッ!』
『そりゃ、どうも』
『健康の秘訣ってなんです?教えてくれませんか?』
『別に普通だぜ。
ストレスためねえのと軽い運動だけだ』
ちなみに兄貴の言うストレスを溜めない方法。
それは、彼が溺愛してやまない未来の嫁さんをギッチギチに抱き締めながら、窒息寸前のディープキスをして、ムツゴ○ウ並みにヨシヨシして愛でたり、リゾットとペッシ、もしくは標的にWWPで観たばかりのプロレス技をかける事である。
彼の言う軽い運動とは、逆立ちしながら片腕だけで腕立てをし、腕を入れ換えてもう1セット、それを1日3セットをする事だ。
(軽くない運動もあるが、プロシュートの行うそれに顔色変えずに付き合うのはリゾットだけである)
早朝の10km早歩き散歩は運動の数には入らない。
『わかりました。
私の特別料理を出すまでもありませんね…。
もしご希望なら、貴方の長所を倍増するメニューにしますが?
睫毛をもっと長くします?もっと色気出します?』
『…何だそりゃ、いらねえよ』
『はぁ。そうですか。
では、何を召し上がりますか?
普通なら私がそれぞれみあった料理を出すのですが、貴方はその必要がないようですから、ご希望のものをお作りします』
『そうかよ。
…とりあえず肉食わせろ。脂っこいの』
健康体なのにその発言にトニオがどうして?と思うと、プロシュートはその分すぐ余裕で消費されると(主に暴れたりなんだりで)、口の端を上げてワインを煽った。
「…という訳で、オレは普通にうめぇ飯を食っただけだ」
「そっか〜。
お兄ちゃん、やたら健康を気にするもんね」
「そりゃあな。
そうじゃねえと『あの姿』の時にひでぇ目に合うじゃねえか。
ありゃモロにオレの体調が影響されるんだ。
腰痛めりゃ動けなくなるわ、痛風でのたうちまわるわ、心臓マヒしちまったら一気にあの世行きだからな」
ーガチャ。
「帰ったぜぇエエーー」
「あっ!ギアッチョだ!迎えに行ってくるね!
あれ?お兄ちゃん、どこ行くの?」
ペッシを軽々と荷物のように肩に抱き、階段をサクサク上がるプロシュートにアマーロが声をかけると、彼は言う。
「トイレだ。もったいねえが、いい加減コイツがうっとおしいんだよ。吐かせてくる。
…何より、アイツらがな……。
オレは何も言わねえよ、あえて…」
振り返っていう兄は、アホ臭いと心底うんざりした顔をしていた。
「へ?どういう事?そういえば、晩御飯ギアッチョとメローネとペッシ君と食べてくるって言ってたよね。でも、なんでペッシ君とだけ…?」
そうだ。確かにそう聞いていた。
任務がかぶるのもあったが、変態のメローネとぶちギレのギアッチョ、二人を止められない、むしろ悪事の片棒かつがされるペッシの三人はリゾットかプロシュートでないと止められないから。
「…………行ってみな。すぐ分かる……オレは相手するの止めた……」
そうしてプロシュートはさっさといなくなった。
すれ違い様に何故か石鹸のいい香りを漂わせて。
(この理由はすぐ分かることになる)
しばらくして、二階のトイレから
「吐けェエ!全部吐き出せぇええええええ!!!!」
という声と腹パン(腹にパンチ)の音と共に、
「ひぇえええ…………おーぐるげぇええええええ!!!」
という悲鳴が聞こえていたとの事だ。
話は戻り。
数十秒後、兄貴の言葉を彼女は心で理解する!
リゾットの様子を見てたので自分は驚かないだろう、そう思ってたのが甘かった事に!
「二人とも!
お疲れ様…………………………って!えええええエエエエエエエエエエッ!!!!!?」
出迎えたアマーロは、あまりの光景に目玉がポーンと飛び出す勢いでぶったまげた!!!
…サラサラつやつやつや……
「しくしくしく………………」
ヴィダルサ○ーンも月まで吹っ飛ぶ衝撃ッ!!
彼女の前にいたのは、水色の髪のサラサラのストレートヘアーをなびかせ、これまで見たこともない穏やかな笑みを浮かべる!ギアッチョ…の筈の人物と、
股間を抑えながら、さめざめと泣きじゃくる変態…の筈のメローネだったのだ!
「いいな……すげぇ良いッ!オレは今猛烈に感動してる!
あのコック、最高だぜ!!!!アイツはイタリアの至宝にするべきだ!!!!」
こんないい笑顔のギアッチョを見たことがあっただろうか?
金○先生のような髪をヘドバンして、そのサラサラぶりを楽しむかのように、いちいたブンブン降り回し、
「…僕ぁ…もう駄目だァアア…………あああ、あんまりだぁあああ……」
こんなしょぼくれたメローネ、一体誰が見た事があっただろう。
泣きまくりに頬はこけ、やつれた様子のメローネを!?
「ぎ、ギアッチョ……。どうしたの、そ、その髪の毛?
メローネも何で泣いてるの?」
驚きのあまりに、ついストレートにそう聞いてしまったが、普段髪の毛について触れると怒るギアッチョが、普通に答える。
「あのコックが、オレの為に海藻サラダを作ってくれたんだよ。
オレが天然パーマを治してくれって言ったらよ。
メローネの野郎はな、自業自得だぜ。
厨房にいた黒髪の女がオレの好みだって、着いて早々飛び込んだんだよ。
それにあのコックが怒ったんだぜ」
ギアッチョは教えてくれた。
手も洗わず厨房に飛び込み、好きなキスを教えろと女の人…トニオさんの恋人に詰め寄ったことも。
プロシュートもギアッチョも止める間もなくあっという間の出来事だった。
とはいえメローネは、怒ったトニオさんの重いフライパンをふるって鍛えられた意外にマッチョな腕から出された石鹸アタックと、
兄貴の股間をぶち破る恐怖の蛇食い鷲から着想を得た蹴りのラッシュと、
ギアッチョの頭冷やせからの巨大氷を脳天にぶつけられた事で、動きを止めたそうだ。
兄貴はメローネを無理矢理頭をおさえつけて、何でも日本で知ったという土下座をさせて、自身も、ギアッチョも全力で謝った。
蛇足だが、ペッシはただオロオロしてただけである。
それにトニオさんは怒りを納めたように見えた。
見えただけだった。
自主的に厨房掃除に参加したギアッチョと兄貴とペッシには、この上なく美味しい食事を出し、丁寧にもてなしてくれた。
(とはいえ、アラビアータの件はトニオも効きすぎたと謝罪して、あまりアレだったらこれ使ってとパールジャムを追い出す成分があると、飲むヨーグルトをくれたらしい)
だがメローネに出した食事全てに入っていたのは…………。
ニンニク、ニンジン、山芋、玉ねぎ、オクラ…精力減退にはコレと定番の野菜たちに、カニ、アワビ、サザエのワタ…精子の頭の主成分アルギニンが大量に含まれる食材etcと…
精力増大の食材が大量にブチこまれていたのだ。
水をやりすぎた草木が枯れるように、
栄養をたっぷり取り過ぎて成人病になるように、
薬も量を間違えれば毒になるように…。
ドッギャアアアーーン!!!!
『GyaaAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!! 』
こうしてメローネのビッグマグナムは大爆発を起こた。
それはもう盛大に。
その場は一瞬核爆発が起きたかのような衝撃が起き、流石の股間爆発に他のメンバーは一瞬凍りついたが、メローネだからいっかと再び何事もないかのように、食事を再開した。
温厚な人を怒らせると怖い。
今回の事でメローネは嫌という程思い知った…かもしれない。
「う………っ。
私、なんといったらいいか……。
ギアッチョ良かったね。
あとは…メローネ…お、お大事にね?」
「同情するなら金をくれ!!!!
うわぁああああああ!男のシンボル使えないなんてぇええええええもう僕生きるの嫌だぁあああああああああああああッッッ!!!」
泣き叫ぶメローネ。
「…よし、オレは明日ライヴに行ってくるぜ!
憧れのヘドバンしてくらぁ!!!」
大喜びのサラサラ長髪ギアッチョ。
ギアッチョが段々アダムスファミリーのカズントに見えてきたアマーロは、ただただ唖然とするばかりだった。
その翌日。
もう何も食べられない信じないと言うメローネと、昨夜マーライオンと化したペッシ。
そんな二人を見兼ねてリゾットが作ったクックルクー。
その優しい味に
『リーダーの料理が一番だ!!!!』
と二人は感激し、泣きながらリゾットにガバッと抱きついたそうだ。
この時リゾットは、内心勝手に切られたとんでもない金額の領収書に目眩を覚えていた。
口にはしないが、こんな領収書を経費で下りるわけないと、ギリギリ胃が痛くなる思いだったという。
そしてギアッチョのクルクル天然パーマは、トニオの想像以上に頑固すぎて数日であっという間に復活してしまったらしい。
彼は再び店に行こうとしたが、トニオさんは日本に戻ってしまい、店の跡地の前で四つん這いになって落ち込んでいたそうだ。
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アホな話ですみませんでした。
イルーゾォごめん…。イルーゾォの水虫のくだりはアレ。
さくらももこの『もものかんづめ』思い出してモロぱくり。アレ、あまりに強烈だったので。
ギアッチョは天然パーマがコンプレックスって設定は私の捏造。
自分も天パーで長年苦しめられてるので、なんとなくしてしまったんです。
こんな扱いばかりですが、いつかメローネもギアッチョもいい所見せられる話を書けるように努力したいと思います。
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V(^-^)V
次は本編かバイオレットヒルを更新したいなと思ってます
2014.3.09(日)
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