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現実の彼


「きょ、キョンくん・・・?」


唇に柔らかい感触を感じたと思ったらすぐに、目の前の見慣れた顔が離れた。
あまりの出来事に呆然となっている僕を余所に彼は人の悪そうな笑みを浮かべる。
赤い唇をぺろりと舐める様相はいつのもだるそうな彼からは想像もつかないほど淫靡で、それでいて守りたくなるほど可愛らしいから不思議だ。


「なんだ。俺とこういう事、したかったんじゃないのか?」

「・・・・・・しても、よろしいのですか?」


彼の言う通り、僕は彼と“こういう事”をずっとしたいと思っていた。
叶うのならばそれ以上もしたい。もう何度彼に触れたいと焦がれたか分からない。
彼との行為を夢想するたびに、きれいな彼が愛しくて妄想の中で汚した僕が憎くて気が狂いそうだった。
現実の彼に触れたくて、触れられなくてまた夢想して。それの繰り返し。

彼に触れることは出来ない。そう諦めていたのに現実の彼は触れてくれた。妄想が現実になるかもしれない。
そう期待する僕を嘲笑うかのように彼は今まででいち番きれいに笑んだ。


「ん? だめ。」


可愛らしくにこにこと笑う彼。一瞬だけの夢を見させておいてすぐに切り捨てる残酷な彼。



「俺に触りたいのなら、その気にさせてみろよ。」


彼をその気にさせる術を知らない僕は結局、今まで通り妄想の中の彼を求めるしかないのだろうか。










はやとが書く精一杯の小悪魔。
キョンは夢ばっかみてないで現実の自分を口説いてほしいだけです。古泉はただのへたれ。








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