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恋に、落ちました


新入生古泉と先輩キョン。







「おー、お前が新入生代表の子かー。」


やる気のなさそうな声に呼ばれ顔上げれば、何処にでも居そうな平凡な男子生徒がひとり。
先輩だろうその人がゆっくりと近づいてきた。


「ほい。入学おめでとう。」


低い声の先輩はこれまたやる気のなさそうにニセモノの花を僕の胸に付けた。
花には『入学おめでとう』の文字。入学式卒業式で貰う、いつも処理に困る定番のあれだ。


「頭良いのも大変だなー。式の前に呼び出されて。」

「いえ、そんなことは・・・。」


どちらに対する否定なのだろう。自分でも思うが人間、こういう言葉は反射的に言ってしまうのだろう。
彼も特に気になどしていない。そんなものだ。


「にしてもヒマだろ。まだ式まで30分くらいあるからな。」


コレでヒマでも潰してろ。

ポケットから出てきたのはイチゴミルクの飴玉。可愛らしいそれは彼には不似合いな感じがして却って似合っているようにも思える。


「俺のおすすめ。」


にっこりと、幼い顔で笑う彼がこの上なく可愛く見えて。見惚れて。
おそらくまだ準備があるのだろう彼は、僕にとてつもない爆弾を投下したまま行ってしまった。


「どうしましょう・・・。」


悩む前に彼に近づくための算段を頭が自動的に行っている。
とりあえず、彼の名前と、学年、クラス、ああ、部活とか入っていないのかな。入学式の手伝いをしているくらいだから生徒会なのかも。


「恋に、落ちました。」


誰も聞いていないのをいいことに。言葉にすればそれはそのまま胸に馴染む。











高校の入学式ってクラス毎の入場じゃないかな。と書いてから思った。
多分キョンは会長あたりに引っ張られたんだと思います。







あきゅろす。
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