なんてきれいなのだろう。 「古泉、今日で最後だから。もう、終わりにするから。お前の時間を少しだけ俺にくれないか。」 卒業式に桜の木の下。 彼に何を言われるかももう分かっているし、今更驚かない。 2年生の冬、初めて彼に好きだと言われてから僕は毎日彼から愛の告白を受け続けた。 「ずっと、ずっと好きだった。お前がいるだけで俺は救われた。友達としてでもお前の横に居られることが倖せだった。俺の気持ちの悪い告白にも付き合ってくれて嬉しかった。たくさんの倖せを有難う。」 これで最後だからだろうか。いつもの戯れのような好きではなく搾り出すような吐き出すような言葉。 まるで初めて告白されたときの彼を彷彿とさせる。 「いち年とちょっと。貴方は自分の中の好きを吐き出すため、僕に告白をし続けたんですよね。」 告白は彼の中の好きがなくなるまで。そして彼は今日で最後と言った。 それはつまり、 「貴方の中の好きはなくなりましたか?」 「・・・・・・・・・。」 もう、僕のことを諦めてしまいましたか。 明確な音に変換するだけできしり、音が鳴ってしまいそう。 今までさんざん相手にしなかったというのに。今更もう、遅いだろうか。 遅くともいい。今度は僕が愛を囁き続ければ。でも出来ることなら哀しい想いをせずにハッピーエンドにしたい。なんて、都合が良い。 「・・・・・・・・・・・・・・・なくなるわけ、ない。」 長い沈黙のあとの彼の小さな声。 「なくなるわけ、ないじゃないか。お前に好きって言うたび、もっと好きになった。狂いそうなくらい好きだから告白したのに、いち年前の比じゃないくらいお前が好きだ。」 いつも眠そうな目が滲み。 辛そうに泣く彼は、なんてきれいなのだろう。 「ごめん。結局好きを捨てられなかった。けどもう、言わないから。迷惑かけないから。」 「迷惑じゃ、ないですよ。」 迷惑なわけ、ないじゃないですか。 だって僕も、、 「好きです。」 初めて伝えるために口にした。 初めて役目を全うした二文字。 「僕のことを好きになってくれて、ずっと諦めないでいてくれて有難う・・・。」 泣かす前にとっとと告れ。とか思う。 |