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覚悟しとけ


「0時になったら電話しますからね。絶対絶対出てくださいね。」








最後に彼に会った時にそう宣言し、その言葉通り実行するため僕は今日の11時過ぎから携帯を片時も放していない。
新年早々。今年一番に彼の声が聞けるなんて、なんて幸先の良いことだろう。
さっきから彼とする電話が楽しみすぎて、数秒おきの勢いで時計を見ている。

ああ、あと3分もあるっ。
彼といる時は憎らしいくらい進みが速いのに、こんな時ばかりのんびりと進んで・・・・っ。

いつでも発信できるように携帯をかまえたまま、TVのカウントダウンが始まるのを待つ。


あと1分、、、30秒、、15秒、、10、9、、、、、、、3、2、1、


ピッ、プップップップッ、、


「・・・・・・・・あれ?」


繋がらない?


「も、もういっかい。」


プップップップッ


繋がらない・・・。

せっかく年明けから彼の声が聞けると思ったのに。
今年は年明けいち番に倖せになるはずだったのに。こんなの、、


「う、うぇ、さいさ、きわるすぎ、ですよ・・・・・。」

こんな大事な時に電話すら繋がらないなんて、神様が許してくれていない証拠みたい。
神様に調子に乗るなと叱責されているよう。



「おいこら。なに泣いてやがる。」

「だ、だって、キョンく、声が、聞けると思っ、のに、で、でんわ、つうじないなんて・・・っ。」

「年明けでみんな一斉にメールやら電話やらで挨拶すんだから、それくらい想定しとけ。ばか泉。」


・・・・・あれ?


「きょ、きょんくんっ!?」


なんでここにいるんですか!?


「お前に会いに来たからに決まってるだろ。」


キョンくんがデレたぁあああ!
え、なにコレっ。夢!? 都合の良い初夢!?


「夢落ちにすんな。俺だって1番最初にお前に会いたいとか思ったりするんだよ。」


理解しろ。と食むように涙を拭いとられる。
頬に、瞼に、柔らかい感触のあと唇にも。


「あ、はは、、すごく倖せです。」


倖せすぎてパンクしてしまいそう。
さっきまで泣くほど不倖のどん底だったのに。そんなもの彼が全部拭ってくれた。涙と一緒に。



「新年からこんな倖せで良いんでしょうか。」

「良いんだよ。倖せで。今年は今以上に、こわくなるくらい倖せにしてやるからな。覚悟しとけ。」















泣き泉と男前キョン。







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