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君を滑稽だとわらった僕が
一番滑稽だというのですか? 越前+不二



中2の春まで僕らはお互い部の誰よりも近い存在だとおもっていた。でもそれは僕の勘違いだったようだ。僕、不二周助と君、手塚国光は接点なんてまるでなくてきっと水の融点と沸点位の差があるんだ。テニスでも、私生活でも、気持ちも。
一番近いのは彼、越前リョーマ。
全くひどい話だよね。いきなり現れて横からとっちゃうなんてさ。
否、とったっていうのは間違いだ。もとから君は僕のものじゃなかったんだから。




「不二先輩、ちょっと相手してくれないっすか?」

「ああ…、越前いいよ。向こうのコートでいいかな?」

にこり、と彼に笑いかければ彼は大胆不敵ににやりと笑った。君はこの生意気な笑顔に魅力を感じたのだろうか。


「行きますよ。」


彼はきれいなフォームでサーブを打った。心地のよいインパクト音がコートに響く。真っ直ぐで力強いボールを打ち返す。
真っ直ぐなボールはいい。打ち返すととても良い音がする。越前はいつだって真っ直ぐだ。テニスにも勝つことにも自分の気持ちにも。本当の天才というのはきっとこういう人のことを言うんだろう。
彼の球は綺麗だ。ずっとみていたくなる。






「不二先輩!ちゃんとやってくださいよ。」


僕の前にボールはぽとりと虚しく落ちた。打ち返されることのなかったボールは寂しげに転がる。主をなくした犬のようにただ呆然と。
彼の球は打ち返したくない、だって彼は素直すぎる。
綺麗すぎる彼は僕にとって毒のように苦しい。
彼は不機嫌そうにこちらへ歩いてきた。


「なんで今のボールとらなかったんすか?」

「ごめん。とらなかったんじゃなくてとれなかったんだよ。」

「………嘘つき。とれないわけ無いじゃん初心者でもとれるよ。」

「嘘じゃないってば。あ、ほら越前、手塚が呼んでる。」

「…いつか絶対、真面目に試合やってもらいますからね。」

「ふふっ、期待してる。」



そういうと越前は手塚のほうへむかっていった。
いつか彼らともテニスともちゃんと向き合えたら真っ直ぐなテニスができるかもしれない。
そう思った。






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