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さみしがりな兎





「…すまない、不二。」


二人きりの部室、死刑宣告のように響くその言葉。自分が立っているのかも、座り込んでいるのかも分からない。浮遊しているようなそんな感覚。そっか、目の前が真っ暗になるってこのことだったんだね。


「…その………、お前の気持ちには答えられない。」

「…………うん。知っ…てる。」

「本当に……すまない。」

「……………っ。」


ああ、そんなに眉間にシワをよせないで、綺麗な顔が台無しじゃないか。なんて原因は僕なんだけどね。僕が君を好きだ、なんていうから。僕は君を苦しめる存在でしかいられなくなっちゃったみたい。そんな僕を半殺しにしないで。「本当にすまない。」だなんて言わないで。君は悪くないんだから。だから気持ち悪いって罵って思い切りフッてよ。そしたら僕はこの気持ち…、殺せる気がする。


「…不二、明日からはまた、いつも通りでいよう。」

「………う…ん。」

「………すまない。じゃあな。」


そういって手塚は部室を出ていった。ぱたり、といつもより優しい音色で閉まったドアにまた僕は罪悪感をかんじた。




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「おはよう、越前。」

「っス。」


翌朝、支度をすませて部室をでると越前が丁度向こうからやってきた。ぐっと帽子を深くかぶり、睨むような上目遣いで僕を見つめてくる。


「…不二先パイ、あんた目赤いけど、どうしたんっスか?」

「………ああ、昨日…ちょっと寝るのが遅くなっちゃってね。」

「…ふーん。」


少しうわずりが感じられる僕の声を聞いて越前は口角をくっと上げて笑った。
……ああ、そうなのか。越前の笑みで気付いた。越前は僕が手塚に告白した事も、フられたことも知っているんだ。そして越前はそんな僕を馬鹿にしている。
怒りと羞恥で頭に血がのぼっていくのが分かる。こんな顔みられたらもっと馬鹿にされるだろうから、僕はくるりと越前に背をむけた。


「…何で知ってるの?」

「たまたま。部室の外に居たら聞こえちゃっただけ。」

「立ち聞きなんて趣味悪いね。」

「あんた部長の何処がすきなわけ?」

あははっと笑いながら越前言った。軽蔑されてる。馬鹿にされてる。僕はきゅっと唇を噛み締めた。つうっと涙が頬を伝う感覚がした。視界がぼやける。


「……ねぇ、なんとかいいなよ。」

越前は、ぐっと僕の肩を掴んで僕の顔を覗きこんできた。泣いてる顔なんて見られたらまた馬鹿にされる。
僕の顔をみたその刹那、越前の目が大きく見開かれる。


「………っ先パイ!」


そう小さく呟くと越前は僕の背中に抱きついてきた。さっきまでの彼の言動からしてこんなことになる意味が分からなくて僕はただ、ただ、立ち尽くした。


「………え…ち、前………?」











「…ゴメン。俺、先パイの事…好きっス。」






さみしがりな兎
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(寂しくなんかない。)





手塚←不二←越前って感じです。
越前は不二が手塚を好きな事を知ってむしゃくしゃして不二に当たってしまった感じ。
続きは書こうか迷っています。


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