君の背中を
いつも見ていました。 越前→手塚←不二
「不二先輩。」
休憩中、水道でぬるい水で喉の渇きを潤していると後ろから自分を呼ぶ声が聞こえた。
きゅっと水道をひねって水をとめてからゆっくりと振り返る。
「なに?越前。」
「あんたさ、部長に執着するの止めたらどうなんすか?」
「君の言ってる意味が分からないな。」
「っ…分かってるクセに。」
そういって越前は帽子を深くかぶり直した。そんな越前に僕はにっこりと深く笑いかける。
「分からないよ。だって僕は手塚に執着してるんじゃない。依存してるんだ。」
「…依存なんかしたら進歩できないっすよ。」
「進歩なんか望んでないもの。僕は手塚が強くなっていくのをみていたいんだ。」
「そーゆう期待とか重いと思うんすけど。」
「越前、重いと思うってだじゃれ?笑えないね。」
そう冷たく越前に言い放つ。もちろん言葉とは、裏腹ないつもの笑顔で。越前はそんな僕をみて小さく、小さく、震えたような気がした。
「僕はまだ譲らないよ。あの背中は。」
「……譲ってくれなんて言ってないっすよ。いつか奪いますから。」
「……へぇ…。すごい自信だね。」
水道の蛇口の先からぽたりと水が垂れた。僕らはお互いにやりと笑いあった。
君の背中をいつも
見ていました。
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(後もう少しだけでいいから、君の傍に。)
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