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君は僕の麻薬!









前を歩く背中に無性に抱きつきたくなる。澄ました横顔に触れたくなる。

君を僕の物にしたくなる。





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「…手塚。」

「ああ、不二か。それと菊丸も。」


昼休み英二と一緒に屋上に行くとそこには意外な人物がフェンスに寄り掛かっていた。
英二は君に、にこっと笑いかけるとタンクのハシゴによじ登ってねころんだ。その身軽さはまるで猫。そして高い所にいきたがるのも猫のようだ。


「珍しいね、君がこんなところにいるなんて。」


僕は君に視線をもどしてから問い掛けた。君の髪は屋上の風にさらさらと揺れて、とても艶やかだった。

嗚呼その髪に触れてしまいたい。
一度も脱色された事がないであろう綺麗な黒髪。僕の色素の薄い猫っ毛とも、英二のワックスで固められた硬い髪の毛とも違う、黒髪。君の黒髪は光が当たった所だけ茶色くひかって僕にとっては暗闇にあるトパーズのように見えた。


「ああ、鍵が壊れてあいていたからな。少し息抜きでもと思って。」

「そっか、僕らも1週間前に気付いたんだ。先生が気付いたら直されちゃうだろうね。」

「屋上の鍵はそう点検しないからな、一学期中は大丈夫だろう。」

「うん。そうだといいね。でも君が屋上なんて自殺でもしに来たのかと思ったよ。」


英二の寝転んでいるタンクをみつめながら僕は悪戯にいった。


「……縁起でもないことをいうな。」


手塚は呆れたような、少し傷付いたような顔をして溜め息をついた。


「ごめん、ごめん。あんまり珍しいからさ。でも死ぬ時は教えてね。一緒に死んであげるから。」

「…遠慮させてもらおう。第一、今、死ぬ予定はないしな。」

「奇遇だね、僕もだよ。」


クスリと笑えばそれを風が青空へと運んだ。君の瞳にはキラリと小さな太陽のような光が。(この瞬間の手塚国光は僕だけのもの。)





君は僕の麻薬!
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(ああ抱き止めてしまいたい。)







菊丸はきっとタンクの上で寝たふりしながら二人の会話を聞いてると思う。
ああ。上手くかけませんな…。


あきゅろす。
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