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アップルシナモンの独白 リョ不二→手塚


越前×不二→手塚





「ねえ、越前。」

「なんすか。」

「僕、君のことが好きなんだ、付き合わない?」

「なんすか、その軽いノリ。……いいっすよ。不二先輩。付き合いましょう。」

「ふふ、ありがとう」


不二の告白はあまりにも唐突だった。
越前は驚いたように不二をみたがまたすぐ前をむいてその要求をのんだ。不二と同じようにさらりと。
不二と越前の視線の先には手塚がいる。乾とのラリーが先程からつづいている。インパクトがテニスコートに響く。手塚はこちらの視線には全く気付いていないようだ。

越前は分かっていた。
不二がなぜあんなことをいったのかも、不二が手塚を見つめる視線が他とは違うのも。





アップルシナモンの独白



「ねぇ、不二先輩、ちゅーしてよ?」

部活が終わり、学ランに袖を通していると隣にいた越前がそう唐突に不二に耳打ちした。

「まさかとは思うけど、いまここでじゃないよね?」

いつものように笑顔を貼り付けて不二はそう答える。

「付き合ってるんだからいいじゃん。」

小生意気な天才帰国子女は口の端を吊り上げてそういった。不二の表情が微かに崩れる。

「ははは、さすがアメリカ仕込みはちがうね?」

不二は、すうっと目を開いて越前を横目で見透かすように言った。これは俗にいう嫌み、というやつだ。そう理解した越前はその三白眼をぎらり、と光らせるようにアルカイックスマイルを貼り付けた青学の天才に向ける。

「何?怖いよ、越前」

そんなに睨まないでよ、僕達恋人だろう?不二は越前にそう囁く。にこり、と言うよりはニヤリという笑顔で。

「…っ、本当っと性格悪いよね、アンタって。」

「だって、僕、中間子だもん。」

「全国の中間子に謝った方がいいっすよ。」

越前の切り返しにクスクスと不二は笑った。学ランのメッキのボタンを留め終えて不二は鞄を手にする。


「あ、まってよ」


越前に声をかけられ不二が顔をそちらに向けると唇に柔らかさと暖かさを感じた。そのぬくもりはすぐに離れていった。



「な、にして…」

「なにってキスだよ。」

「馬、鹿じゃない…の?」



不二はハッと辺りを見渡す。周りは気づいていないようだ。
良かった、と胸をなで下ろそうとした刹那、時が止まったように動かないトパーズを見つけた。
手塚はギャッツビーの制汗剤を持ったままトパーズの瞳で、こちらをじっと見つめている


手塚に見られてしまった!

不二の心臓が警鐘のようにドクドクと鳴りだす。


数秒間見つめ合うと手塚は不意に視線を外して鞄を背負い逃げるようにして部室を出ていってしまった。
ノンフレームの眼鏡に邪魔されて、その表情は読みとれない。


呆然とドアを見つめる不二の後ろ姿に越前は満足げにニヤリと笑った。



越前は知っていた。
不二が手塚を恋愛感情で愛していると。
キャパを超えた不二が自分に助けを求めるように交際を持ちかけたのだと。
知っていた。これは自分にとって、絶好のチャンスだと。

肉食獣は獲物の首を噛む。逃げられないように、確実にしとめるためだ。

立ち尽くす不二に越前は後ろからそっと抱きしめる。

その姿は、越前の鋭利な犬歯が不二の首筋にガブリと噛みついたようだった。




end


簡潔に言うと、手塚←不二←越前と、いうことになります。
不二も越前も性格悪すぎだろ…これは…
あと、全国の中間子の皆様申し訳ありませんでした!



あきゅろす。
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