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時々、我侭。

ピ。
TVを付けた。
特に重大なニュースは無いわね…。
今日も江戸は平和だわ…。
と、しみじみ思った。


「あのー、スンマセン。質問して良い?」
「どうぞ、銀さん」


大人しく右手を上げ、発言した銀さんを促す。


「どーして貴女様は人ン家来て、普通に自分の部屋みたく振る舞ってんでしょーか」
「どうして?そんなの、決まってるわ」


ふふん、と腕を組んで自慢げに言った。


「私と銀さんの仲だから」
「あー、ハイハイ。スンマセンでした」


もう全てを諦めたらしく、銀さんは右手を下げた。
何を隠そう、私と銀さんは所謂恋人同士というやつで。
なんと、付き合ってるんです。
ここまでくるのに、随分時間がかかったんだから!
今となっては、こうして、銀さんの部屋でゆったり寛げるまでになった。


「銀ちゃーん。眠いアル」


目を擦りながら、神楽ちゃんが起きてきた。
見事に右側の髪が跳ね上がっている。


「もういい加減に起きろー神楽。世間は昼だぞ」
「私の時間はまだ朝アル」
「あーもう、この子は何でああ言えばこう言うのぉ!?さっさと顔洗ってこい」


しっしと銀さんは神楽ちゃんに手を振る。
神楽ちゃんはよろよろと洗面台に向かった。


「ねぇ銀さん」
「何だ?」
「私と神楽ちゃん、どっちが好き?」
「は?」


ぼけっと私を見る銀さん。
私は、今までに座っていたソファーから立ち上がり、銀さんの前に立った。


「だって、神楽ちゃんと一緒に住んでるんでしょ?そしたらやっぱり…何かあったりとか、するんじゃない?」
「何かって何だよ、何かって」
「そんなの、何かに決まってるでしょ!」
「意味分かんねーよ」
「あー!銀さん、はぐらかそうとしてるんでしょ!?私は騙されないからね!!」
「オイオイ、何言い出してんのー、お前は」
「ふーんだ」


腕組みをして、そっぽを向いた。
すぐに、私の事が好きだって言ってほしかったのに。


「あーもう、反抗期なんですか?反抗期ですか?」


髪をぐちゃぐちゃにしながら嘆いたように言う銀さん。
…否、反抗期とは違う気がするけど。
と、私は心の中で突っ込んだ。


「名前」


名前を呼ばれたかと思えば、腕を引っ張られた。
いつの間にか銀さんは、今まで座っていたあの銀さんの席には居なくて、私の後ろに立っていた。
そのまま、私は後ろを振り向かされ、キスされた。


「ん…っ!?」


キスが終わったかと思えば、抱きしめられた。


「銀さ…」
「こんな事、名前にしかしねーよ。だから、安心しな」


本当は分かってるのよ、銀さん。
銀さんが神楽ちゃんに何かするはず無いって事。
でも、たまには甘えたいの。


「有難う、銀さん。好き」


私は銀さんの背中に手を回し、抱きしめ返した。
大きな背中だと、思った。


「バーカ。俺の方がお前の好きより大きいに決まってんだろ」


なんか、バカップルみたい。
なんて思って、少し笑った。
その時。


「…何やってるアルか、バカップル」
「か、か、神楽ァァア!?」
「え、いつから居たの!?」


神楽ちゃんの声が聞こえた瞬間、私達は同時に離れた。
嗚呼、凄く恥ずかしい。


「最初っから居たアル。子供になんてものを見せるアルか」
「まだセーフだろ!?やりかけたけど!!」
「銀さん、やりかけたって何ですか。何しようとしてたんですか」



end.(2010,8,25)



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