告白助長出来事 ガラガラガラ…。 「御免下さーい」 万事屋の引き戸を開けて、中に聞こえるように声を張り上げた。 いつもなら、新八君か神楽ちゃんか、出てくるところだけど…。 お留守かしら? 草履を端っこに揃えて置いて、そのまま中へ進む。 すー、すー、すー。 寝息が聞こえる。 更にはテレビの音。 中を覗くと、中央の机を挟んでおいてあるソファーに座って、銀時が眠っていた。 多分、テレビを見ながら、そのまま寝てしまったのでしょう。 「全く、しょうがないんだから。銀時は」 独りぼそっと言って、テレビの電源を切った。 手料理である肉じゃがのお裾分けを机の上に置き、銀時の隣に座った。 新八君と神楽ちゃんが来るまで、お留守番でもしてようかしら…。 何気なしに、銀時を見た。 すー、すー、すー。 規則正しく上下してる胸、鍛え抜かれた腕の筋肉、整った顔立ち、普段は死んだ魚のような瞳が隠された瞼、すっとしている首筋。 普段、中々見ることの無いパーツを、まじまじと見ている自分に気付き、慌てて目を逸らす。 それにしても、改めて見ると、本当に…。 「格好良い」 思わず呟いた。 銀時の眠りは深いらしく、起きる気配が無い。 なら。 「好き。銀時が、私はずっと前から好き。お裾分け持ってきて、不味いわボケッて言われても、へこたれずに持ってきてるのも、銀時のこと好きだから」 一気に捲し立てて、思わず顔が赤くなる。 相手が寝ているからといって、やっぱり口にするのは恥ずかしかった。 「只今帰りましたー」 タイミングを見計らったかのように、新八君と神楽ちゃんが帰ってきた。 思わず、ビクリとする。 別に、何も悪いことはしてないけど。 「あ、名前さん。こんにちは」 「こんにちは、新八君。お邪魔してます」 「銀ちゃん寝てるアルカ?」 「うん、そうみたい」 神楽ちゃんがまじまじと銀時を見つめる。 「どうします?銀さん起きるまで、待ってますか?」 「ううん、もう良いわ。そろそろ帰ろうと思ってて」 「なら、送っていきますよ」 「私も行くネ!」 「ありがとう、新八君、神楽ちゃん。あ、お裾分けの肉じゃがを置いとくから、良かったら食べて?」 「いつもありがとうございます」 「銀時がいくら不味いって言っても、口の中に押し込んじゃって☆」 「了解アル!」 銀時を起こさないように、私達はそろりと外に出た。 パチリ。 「ったくよー、あれは反則だろ」 告白だなんて。 もし、新八が帰ってくるのがもう少し遅かったら、返事を返せたのに。 本当は、ずっと起きてた。 本当は、すげー美味いって思ってる。 本当は、 「すげー好きなんだけどなー、銀さんも」 天井を見上げた。 「明日にでも告白しちまうか」 君の勇気に免じて。 end.(2010,5,21) [*前へ][次へ#] [戻る] |